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2章 反董卓連合

韓馥の降伏

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 公孫瓚の追撃が失敗に終わり捕らえた厳綱を連れ本陣に戻ろうとしていた張郃の行手を遮る髪の毛や髭が毛むくじゃらの大男。
 張郃「何奴だ?」
 張飛「へぇ。本当にここを通るとはな。オメェが張郃か?」
 張郃「人に名前を聞く時は先に名乗るべきだと思うが」
 張飛「こりゃあ失礼したな。俺の名は張翼徳ってんだ。劉備義勇軍で一軍を預かってるもんだ」
 張郃「張翼徳?聞かぬ名だが。俺も名乗ろう。お察しの通り河問の張儁乂だ。何の用だ」
 張飛「そうか。テメェが張郃なんだな。大兄者が公孫瓚殿に世話になっててな。そいつを連れてかれると困るんだ。どうだい、腕に自信がある者同士一騎討ちってのは?」
 張郃「良いだろう。この河問の張儁乂に挑む度胸に応えよう」
 張飛「そりゃあ。ありがてぇ」
 張郃は所詮、名前も知らぬ相手と張飛のことを侮っていた。だが打ち合うこと数百合、その考えを改めることになる。
 張郃「(まさか、これほどの豪傑が無名だと!?気を抜くとやられる河問で負けなしだったこの俺が。くっ馬が不味い斬られる)」
 張飛「なかなかやるな。(こいつは恐れ入ったぜ。この俺と数百合打ち合う相手と巡り会えるとは。義賢の言ってた通り、俺や兄者以外がこいつの相手をしてたら殺されてたかもしんねぇな。アイツの馬の方がへたっちまったなぁ。まぁ、義賢からは討ち取るな捕えろって言われてるからなぁ。絶好のチャンスだが仕方ねぇ)おい張郃、馬から降りろ」
 張郃「そちらもな。(こいつ、絶好のチャンスだったのに見逃すってのか。全く雨白い漢だ)お前に免じて、コイツは返してやろう。一騎討ちは、次回に持ち越しだ」
 張飛「おい、待て」
 張飛の言葉を背に受け厳綱を放した張郃はその場を撤退した。
 厳綱「張飛殿、すまぬ助かったぞ」
 張飛「気にすんな。(義賢の作戦、俺のせいでミスったりなんかしねぇよな)」
 厳綱も幽州へと撤退した。張飛はそれを見ると劉備の元に向かう。関羽は白馬儀従を散々に打ち負かし尚も公孫瓚軍の殲滅に動いていた麴義と対峙していた。
 麴義「何奴?」
 関羽「ほぅ。某に対してもその気迫を保っているとは、なかなかの将であるな。我が名は関雲長。其方が麴義殿か?」
 麴義「関雲長?聞かぬ名だがお察しの通り麴義だ」
 関羽「そうであったか。うむ、義賢の読み通りであるな。兄者のため、公孫瓚殿のためこの戦ひっくり返させてもらうぞ」
 麴義「公孫瓚軍の将であったか。討ち取ってくれよう」
 関羽と麴義は、20合ほど打ち合う。形勢不利と見た麴義は逃げるタイミングを伺うが関羽がそれをさせない。
 関羽「そろそろ終わらせるとしようぞ」
 麴義「(馬鹿な!?公孫瓚軍にこれほどの将がいるというのか)関雲長、聞かぬ名であったが覚えておくとしよう」
 間一髪のところで麴義も馬を反転させ撤退することに成功した。
 関羽「何と!?逃げるのか。戻ってきて某と戦え麴義」
 麴義「勝負は次の機会にさせてもらおう」
 関羽「ぐぬぬ。(まぁ、公孫瓚軍の救援には成功したのだ。義賢に頼まれたことを果たせなかったが仕方あるまい)」
 関羽は劉備の元へと戻ることにした。劉備軍の精強さに恐れを抱き逃げる韓馥の元に6人の将の討ち死にと張郃と麴義の敗北が伝令より伝えられるが自身も絶体絶命のピンチを迎えていた。
 伝令「朱漢様・程奐様、討ち死にです」
 韓馥「何じゃと!?どうすれば、、、」
 伝令「閔純様・耿武様、討ち死になされました」
 審配「閔純殿と耿武殿まで討ち死にですと!?。いったい今の公孫瓚軍のどこからこんな力が」
 伝令「趙浮様・李歴様、討ち死にです」
 沮授「馬鹿な!?。散々に打ち破り包囲していた彼らを討ち取り、我らを追う力までも有しているとは」
 韓馥「公孫瓚め。隠し玉を後方に置いていたのか。くそくそくそ。後一歩で打ち取れたはずだった。それをこうも覆しおって、何としても冀州まで引くぞ」
 伝令「張郃様、敗北。撤退中とのことです」
 田豊「張郃殿が負けた!?それは真か?」
 伝令「はい。奇妙な矛のような武器を持った毛むくじゃらの大男に一騎討ちにて敗北したとのことです」
 沮授「その者の名は?」
 伝令「張翼徳と名乗っていました」
 沮授「聞かぬ名だ」
 田豊「楼桑村へ黄巾党が進軍してきた際に義勇兵300人で黄巾党の主導者の1人張梁を追い払った劉備率いる義勇軍の1人で、劉備の義兄弟の1人だ」
 韓馥「劉備義勇軍じゃと!?。ワシも聞いておる。広宗の黄巾党殲滅戦でも活躍したそうだな」
 田豊「えぇ、そのようですな」
 伝令「麴義様、撤退しました」
 沮授「麴義殿まで!?」
 伝令「はい。偃月刀を持つ髭が2尺もある男に一騎討ちにて敗北したとのことです」
 田豊「恐らく劉備のもう1人の義兄弟である。関羽でしょう」
 韓馥「だが、なぜその2人が張郃と麴義を的確に狙えたのだ!?」
 田豊「偶然というわけではないでしょうな。誰かが行動を予測してそこに張飛と関羽を配置したと考えるのが妥当ですな」
 沮授「そこまでの策を弄する者までいるというのか?」
 田豊「黄巾の乱以降に加入した張郃殿や麴義殿が知らなかったのも無理はない。恐らく力を過信し、その結果負けたのでしょうな。殿、追いかけてくる兵も劉備義勇軍だとしたらこの戦我々の完全敗北です」
 韓馥「ワシは、死にとうは無い。降ることにする」
 審配「殿、それはなりませぬ」
 田豊「いえ、劉備殿なら悪いようにはしないでしょう。それも一つの手ですな」
 沮授「事ここに至ってはそれもやむなしかと」
 審配「田豊・沮授、貴様らは冀州を売り渡すつもりか。そうはさせんぞ。殿、絶対になりませぬ」
 韓馥「審配よ。ワシは死にたくは無いのじゃ」
 審配「仕える主を間違えたわ。審栄、行くぞ」
 審栄「兄上、かしこまりました」
 審配と審栄は、韓馥の元を去り、袁紹の元へと身を寄せる。間も無く劉備軍に追い付かれた韓馥は、降伏の意思を示し、その身柄は公孫瓚の元へと連れていかれる。こうして公孫瓚は、幽州と冀州を手に入れ、反董卓連合軍に合流するのである。
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