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1章 黄巾の乱

決して引かぬ張宝の本気

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 劉備軍と張宝軍が対峙する。
 波才「張宝様、汝南で邪魔をしてきた義勇兵です」
 張宝「フフフ。リベンジの機会を下さるとは。我が妖術にて惑うが良い」
 張宝が天に祈ると竜巻が発生する。
 義勇兵「何だよこれ。うわぁー」
 数人の義勇兵が竜巻に飲み込まれ無惨な姿になる。
 劉備「クソっ厄介な妖術か」
 張飛「これじゃあ近づけねぇぞ」
 関羽「術師を何とかするのだ」
 慌てふためく劉備軍。間髪入れずに次の妖術が劉備軍をさらなる混乱に陥れる。
 張宝「次はこれです」
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴと音が鳴り水が凄い勢いで流れてくる。
 義勇兵「うわぁー水だどこからこんな水が。ハフッハフッゴボボボボ」
 激流に呑まれて、半数の義勇兵に損害が出た。
 義賢「兄上、これ以上失えば、とても継戦できません」
 劉備「丁、わかっている。しかし、どうすれば?」
 義賢「一か八かこの位置から張宝に弓を射る他ありません」 
 幸い、前回の足の傷が効いているのか張宝は2人の将に支えられながら術を唱えているようだ。まぁ竜巻に激流ときたら次は大火事なんて事もある。どうやら天候を自由自在に操って術を使っているようだ。霧が出たら幻惑からの同士討ちの危険性もある。張宝殿には悪いがここで退場してもらうことにしよう。そう考え作戦を伝えようとするが頭を抱えてうずくまる。
 義賢「兄上、作戦ですが。うっ」
『ここで張宝を討つことが最悪の未来につながります。討ち取ってはなりません。龔都を使い何儀・黄邵・何曼・劉辟を寝返らせ。張宝と張梁を張角の籠る祭壇部屋に撤退させるのです。できなければわかっていますね。命を持って償っていただきます』
 おいおい嘘だろ。張宝を討たずにどうしろってんだよ?あの厄介な妖術を止めようにも今回の張宝は頭しか見えてねぇんだよ。ヘッドショットの討ち死に狙いしかねぇのにそれしたら詰みってそんなのねぇよ。脇を抱えている2人の将は見えてすらねぇしよ。それに寝返らせる4人がどこにいるかなんてわかんねぇよ。何か方法は無いのか?まさか龔都が絡んでいるのか?この可能性には思い至らなかった。だが薄い可能性でも手繰り寄せなければならない。
 劉備「丁、大丈夫か?」
 義賢「兄上、心配をおかけしました。悩みすぎて頭が痛くなってしまったようです」
 張飛「おいおい。しっかりしてくれよ。アンタは大兄者の知恵袋だろうが」
 関羽「うむ。頼りにしておるぞ」
 義賢「張宝を討ち取るのは簡単です」
 劉備「それなら、何が問題なんだ」
 義賢「龔都、お前隠していることあるだろ?」
 龔都「!?。何のことでやすか」
 義賢「張宝の狙いは何だ?どうしてここまで頑なに抵抗する。民を思って立ち上がったのではないのか」
 龔都「!?。ここまででやすかね。話やす。張角様が病気なんでやす。それから黄巾党はおかしくなって行きやした。族が蔓延り、その族が朝廷の民は太平道に仇名すものだとして暴行を加えやす。頭を抱えた張宝様は、病で先のない張角様のそばで張梁様と太平道を始めた始まりの地である広宗で討ち死にしようとしているんでやす。俺はそれを防ぐために劉備軍に投降したんでやす」
 義賢「張角を救えるとしたらどうする?」
 龔都「そんなことができるんでやすか?」
 義賢「どんな病気も治せる仙人の記した書物があるそうだな」
 龔都「何故そのことをしってるでやすか?」
 義賢「太平道とは医学によって民を救う教典だよな」
 龔都「その通りでやす」
 義賢「何でも治せる秘書太平清領書がどこにあるかを知っているとしたらどうする?」
 龔都「知っているのでやすか?それなら張宝様も撤退してくれるかもしれやせん」
 義賢「龔都、俺を張宝の元に連れて行ってもらえるか?」
 龔都「へい。構いやせんが命の保証はできかねやす」
 義賢「構わない。この黄巾の乱に決着をつけられるならな。我が命を賭けよう」
 カッコつけては見たものの中身は高校生だよ。脚がガクブルだよ~。
 劉備「あまりにも驚きすぎて聞いてるだけしかできなかったが。つまりこういうことか丁は張角たちを救いたい」
 義賢「えぇ、民を癒せる張角は貴重な存在です。ここで殺すには惜しいほどに。なら死んだと見せかけて姿をくらませて貰えれば今後助けになるかと」
 劉備「ハハハ。黄巾軍の首領ですら利用するか。全く面白い弟だ。だが危険を犯すことを兄である私が許せると思うか。残念ながら拒否だ」
 張飛「それに張角がそうでなくてもこの乱の首謀者なんだぜ。無理ってもんだろうよ」
 関羽「兄者や翼徳の言う通りよ」
 義賢「兄上方、この選択が兄上の未来を左右しそうな気がするのです。お願いします。俺に張宝を説得する機会をどうか」
 龔都「劉備様、俺からもおねげぇしやす。張角様を救えるなら劉備様にも損はさせやせん」
 劉備「どうしても行くと言うのなら憲和。丁のことを頼めるか?」
 簡雍「えっ俺ですかい?」
 劉備「舌がたつお前ならば何があっても張宝を丸めこめると信頼しているからな」
 簡雍「その信頼はありがたいですがねぇ」
 義賢「兄上、供は龔都だけで行きます。他に誰かいれば余計な警戒を与えるだけです」
 劉備「誰に似たのか知らぬが頑固だな丁は。わかったそこまで言うのなら一つだけ約束してくれ。必ず帰ってくると」
 義賢「勿論です兄上」
 言ってみたは良いがお告げが正しいならミスしたら死ぬんだよなぁ間違いなく。トホホ。
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