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捜査の基本は現場にあり
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7時に起きて、支度をして、早めに家を出る。最寄駅から職場まで電車で15分。降りて、駅前の行きつけの珈琲屋で朝食を食べるのが出雲美和の朝のルーティンだ。
「マスター、いつもの」
「美和ちゃん、ブレンドコーヒーと卵サンドのセットだね」
「これこれ~これ食べないと朝が始まらないって感じです」
「美和ちゃんの美味しそうに食べるの見てるとおじさんとても嬉しいよ」
「マスター、今日も激ウマです」
「ヘヘっ美和ちゃんのは愛情2倍マシマシだからね」
「マスター、大好き」
「うっやられた~」
美和のバッキュンポーズにやられるマスター。
ペロリと完食し、勘定を済ませる。
「行ってらっしゃい。美和ちゃん」
「マスター、行ってきまーす」
挨拶を済ませると加賀美警察署の怪奇特別捜査課に向かう。
「おはようございます」
「おはようさん」
帰ってくるはずのない返事が返ってきたので驚く美和。
「佐々木一課長、いらしてたんですか?」
「まぁね。美和くんは元部下なわけだし、心配だからね。ちょっと様子を見に」
「御心遣い頂き感謝します」
「まぁ、くれぐれも頼んだよ」
「はい、御期待に添えるように頑張ります」
「じゃあね。あっほんとに頼むよ」
佐々木一課長が出ていくと美和は「フゥーー」と息を吐き出した。佐々木一課長は、美和に首なしライダー事件について早期の解決をするように釘を刺しにきたのだ。昨今の奇妙な事件に対応するために警察庁が作った怪奇課が解決できなかったでは面目丸潰れも良いとこだ。その責任は、少なからず佐々木一課長にも降り注ぐ。俺に迷惑をかけるなという圧力がそこに介在していた。
「さて、今日は現場を一度確認しに向かいましょう」
そういうと現場である久根峠に向かった。
久根峠に着くと、現場写真と照らし合わせながら周辺に見落としが無いかを白手袋を付けて探る美和。そんな美和の頭上から声が響く。
「おい、そんなところで屈んでると危ねぇぞ」
聞こえた声の方に眼を向けると歳は私と同じぐらいか少し上、髪は金髪で耳にイヤリングの付けたガタイが良い見た目チャラそうな男性だ。
「おい聞こえてんのか?」
「あっすみません。私こういう者でして」
美和は警察手帳を男性に見せる。
「へぇーアンタ警察官だったのか。こりゃ心配して損した。俺は運送会社で働いてるもんでよ。深夜の荷下ろしを終えて帰るところだ。じゃあな。何があったのか知らねぇけど頑張りな」
そう言って去ろうとするその男性を引き留める。
「すみません、深夜に荷下ろしってことは、この久根峠で暴走してるバイクを見ませんでしたか?」
「暴走してるバイク?あぁ、走り屋のことか。そういや3日前に賭けレースをやってるのを見たな。それがどうかしたのかい?」
「輪廻という新聞を見てませんか?」
「おぉ、アンタも輪廻の愛読者かい。嬉しいねぇ。そういや最後のページに首なしライダー現るってのがあったな。そうかアレって、ここで起きた事件のことだったのか」
「えぇ、亡くなったのは、貴方が見たという走り屋のメンバーの1人で、私はその捜査で、首なしライダーを探しています」
「首なしライダーを探している?おいおい、首なしライダーは、都市伝説だぜ。それにアイツがそんな事件起こすかよ」
「アイツ?」
「いや、何でもねぇ。そうだなぁ。俺は久根高等学校の卒業生なんだがよ。そこの掲示板はOBでも書き込めるし見れんだ。そこに首なしライダーについて書いてある掲示板が確かあったはずだ。URLとパスワード教えてやっから後は勝手に調べてくれ。俺はアイツはそんな事しねえって信じてるけどな」
それだけ言うと男性は一目散に走り去っていった。
首なしライダーをアイツ?まるで首なしライダーの正体を知っている感じね。とても怪しいわ。追求する前に逃げられたけどこの事は覚えておきましょう。
もう一度現場を確認しようとした美和は、さっきまでそこに無かったはずの何かを溶かしたような液体状の異様なシミに戦慄を覚え悲鳴を上げる。
「きゃあーーーー」
何よアレ。何なの?まるで何かをドロドロに溶かしたかのようなシミ。さっきまで無かったわよね。まさか怪奇現象?だとしたら何かが今そこにいたって事?うそでしょ。一応この液体状のシミについても採取しておきましょう。何かの手掛かりに違いないわ。美和はいつも持ち歩いている鑑識グッズを使い液体状のシミを採取する。
「これでよし」
美和は一息吐き落ち着きを取り戻すと先ほどの男性に教えてもらったサイトにアクセスして、パスワードを入力し、首なしライダーについて書かれているという掲示板を流し読みする。
以下、必要そうなところを抜粋した。
『都市伝説の首なしライダーは存在する。その正体は、久根峠で、走り屋により、無念の死を遂げた同校の生徒、神崎大和である。彼は、夜な夜な自分を殺した走り屋を怨み、復讐してまわっているのだ。神崎大和に狙われた走り屋は、本人と同じように首だけが決して見つからない。走り屋に次ぐ、神崎大和に気を付けろ。首なしライダーは、都市伝説などではない。そこに確かに存在するのだ。狙われたくなければ久根峠は避けるのだ。それでも走るというのであれば、身に起こる不幸を覚悟せよ。byその眼を開きし者』
なるほどね。それにしても、その眼を開きし者って何よ。厨二病っぽい名前ね。まっそこは今はどうでも良いけど。先ほど出会った男性は、神崎大和の知り合いって事ね。そして、彼は神崎大和をよく知っている。だからこそ、アイツって発言が出たのね。それにしても亡くなった走田一はこの掲示板の存在を知らなかったのかしら?久根高校。さっき出会った男性も久根高校の元在校生。そして首なしライダーについて書かれていた掲示板も久根高校の物。今回亡くなった走田一が率いるチームファウストのメンバーが多く在籍しているのも久根高校。これだけ揃ってたらまず間違いなく久根高校に何かあるわね。昼食を食べてから次は久根高校で聞き込みをするとしましょうか。
「マスター、いつもの」
「美和ちゃん、ブレンドコーヒーと卵サンドのセットだね」
「これこれ~これ食べないと朝が始まらないって感じです」
「美和ちゃんの美味しそうに食べるの見てるとおじさんとても嬉しいよ」
「マスター、今日も激ウマです」
「ヘヘっ美和ちゃんのは愛情2倍マシマシだからね」
「マスター、大好き」
「うっやられた~」
美和のバッキュンポーズにやられるマスター。
ペロリと完食し、勘定を済ませる。
「行ってらっしゃい。美和ちゃん」
「マスター、行ってきまーす」
挨拶を済ませると加賀美警察署の怪奇特別捜査課に向かう。
「おはようございます」
「おはようさん」
帰ってくるはずのない返事が返ってきたので驚く美和。
「佐々木一課長、いらしてたんですか?」
「まぁね。美和くんは元部下なわけだし、心配だからね。ちょっと様子を見に」
「御心遣い頂き感謝します」
「まぁ、くれぐれも頼んだよ」
「はい、御期待に添えるように頑張ります」
「じゃあね。あっほんとに頼むよ」
佐々木一課長が出ていくと美和は「フゥーー」と息を吐き出した。佐々木一課長は、美和に首なしライダー事件について早期の解決をするように釘を刺しにきたのだ。昨今の奇妙な事件に対応するために警察庁が作った怪奇課が解決できなかったでは面目丸潰れも良いとこだ。その責任は、少なからず佐々木一課長にも降り注ぐ。俺に迷惑をかけるなという圧力がそこに介在していた。
「さて、今日は現場を一度確認しに向かいましょう」
そういうと現場である久根峠に向かった。
久根峠に着くと、現場写真と照らし合わせながら周辺に見落としが無いかを白手袋を付けて探る美和。そんな美和の頭上から声が響く。
「おい、そんなところで屈んでると危ねぇぞ」
聞こえた声の方に眼を向けると歳は私と同じぐらいか少し上、髪は金髪で耳にイヤリングの付けたガタイが良い見た目チャラそうな男性だ。
「おい聞こえてんのか?」
「あっすみません。私こういう者でして」
美和は警察手帳を男性に見せる。
「へぇーアンタ警察官だったのか。こりゃ心配して損した。俺は運送会社で働いてるもんでよ。深夜の荷下ろしを終えて帰るところだ。じゃあな。何があったのか知らねぇけど頑張りな」
そう言って去ろうとするその男性を引き留める。
「すみません、深夜に荷下ろしってことは、この久根峠で暴走してるバイクを見ませんでしたか?」
「暴走してるバイク?あぁ、走り屋のことか。そういや3日前に賭けレースをやってるのを見たな。それがどうかしたのかい?」
「輪廻という新聞を見てませんか?」
「おぉ、アンタも輪廻の愛読者かい。嬉しいねぇ。そういや最後のページに首なしライダー現るってのがあったな。そうかアレって、ここで起きた事件のことだったのか」
「えぇ、亡くなったのは、貴方が見たという走り屋のメンバーの1人で、私はその捜査で、首なしライダーを探しています」
「首なしライダーを探している?おいおい、首なしライダーは、都市伝説だぜ。それにアイツがそんな事件起こすかよ」
「アイツ?」
「いや、何でもねぇ。そうだなぁ。俺は久根高等学校の卒業生なんだがよ。そこの掲示板はOBでも書き込めるし見れんだ。そこに首なしライダーについて書いてある掲示板が確かあったはずだ。URLとパスワード教えてやっから後は勝手に調べてくれ。俺はアイツはそんな事しねえって信じてるけどな」
それだけ言うと男性は一目散に走り去っていった。
首なしライダーをアイツ?まるで首なしライダーの正体を知っている感じね。とても怪しいわ。追求する前に逃げられたけどこの事は覚えておきましょう。
もう一度現場を確認しようとした美和は、さっきまでそこに無かったはずの何かを溶かしたような液体状の異様なシミに戦慄を覚え悲鳴を上げる。
「きゃあーーーー」
何よアレ。何なの?まるで何かをドロドロに溶かしたかのようなシミ。さっきまで無かったわよね。まさか怪奇現象?だとしたら何かが今そこにいたって事?うそでしょ。一応この液体状のシミについても採取しておきましょう。何かの手掛かりに違いないわ。美和はいつも持ち歩いている鑑識グッズを使い液体状のシミを採取する。
「これでよし」
美和は一息吐き落ち着きを取り戻すと先ほどの男性に教えてもらったサイトにアクセスして、パスワードを入力し、首なしライダーについて書かれているという掲示板を流し読みする。
以下、必要そうなところを抜粋した。
『都市伝説の首なしライダーは存在する。その正体は、久根峠で、走り屋により、無念の死を遂げた同校の生徒、神崎大和である。彼は、夜な夜な自分を殺した走り屋を怨み、復讐してまわっているのだ。神崎大和に狙われた走り屋は、本人と同じように首だけが決して見つからない。走り屋に次ぐ、神崎大和に気を付けろ。首なしライダーは、都市伝説などではない。そこに確かに存在するのだ。狙われたくなければ久根峠は避けるのだ。それでも走るというのであれば、身に起こる不幸を覚悟せよ。byその眼を開きし者』
なるほどね。それにしても、その眼を開きし者って何よ。厨二病っぽい名前ね。まっそこは今はどうでも良いけど。先ほど出会った男性は、神崎大和の知り合いって事ね。そして、彼は神崎大和をよく知っている。だからこそ、アイツって発言が出たのね。それにしても亡くなった走田一はこの掲示板の存在を知らなかったのかしら?久根高校。さっき出会った男性も久根高校の元在校生。そして首なしライダーについて書かれていた掲示板も久根高校の物。今回亡くなった走田一が率いるチームファウストのメンバーが多く在籍しているのも久根高校。これだけ揃ってたらまず間違いなく久根高校に何かあるわね。昼食を食べてから次は久根高校で聞き込みをするとしましょうか。
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