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プロローグ

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市内のとある高校の昼休みの風景。
「おい、首なしライダーって、知ってるか?」
「怪異の?」
「あぁ、出たらしいんだよ」
「出たって、お前とうとう現実との区別がつかなくなっちまったか?怪異がどうやって現実世界に現れんだよ。馬鹿か」
「走り屋が良く走ってる久根峠で、ライダースーツを着てバイクに跨っていた、、、そいつの首は無かったんだとよ」
「お前なぁ、そんなのどうせ、遠くからしか見てねぇんだったら、服の中に首を入れて隠してただけだろ。ビビらせようとしてよ」
「お前、そんなこと言うか。ロマンってものがわかんねぇかなぁ。怪異が現実世界に存在していたっていうさ」
「そもそも首なしライダーってどんな怪異だったっけ?」
「確か道路を横断する際に張られたピアノ線に気付かずに突っ込んで首を刎ねられたライダーが夜な夜なその道路を彷徨い続けているとかじゃなかったっけ?」
「面白い話してんじゃねぇか。俺も混ぜてくれや」
走田そうだ!いや、なんでもねぇよ。取るにたらねぇ噂話だよ」
「良いねぇ。噂話。聞かせろや。つまんなかったらお前の奢りで、カレーパンと焼きそばパンな」
先ほど話していた内容を走田に聞かせる。
「お前、頭おかしいんじゃねぇの。それに言うに事欠いて、走り屋の聖地である久根峠だと。お前それは走り屋である俺に喧嘩売ってんのか?あぁ、どうなんだよ。クソつまんねぇ話だったぜ。約束通りカレーパンと焼きそばパンそれとメロンパンも追加で買ってこいや。わかってるよな。人数分だぞ」
「人数分って?」
「そんなの俺たち走り屋チーム、ファウストの人数分に決まってんだろ」
「10人分も無理だよ」
「はっ、お前のつまんねぇ話聞いてやったんだから。対価もらうのは当然だよな。それとも何。殴られる方が好みなMなの?」
「おい、図星付くのは、やめてやれよ走田」
「ゲハハハハハ」
「わかった。買ってくるから殴るのはやめてください」
「わかれば良いんだよ。5分な」
「5分?」
「あぁ、くだらねぇ話してたから経ってるな。ってことでお仕置きターイム」
「ゲハハハハハ」
「そんなひどすぎる」
「酷い?酷いのはテメェのくだらねぇ噂話だろうがよ。ムシャクシャするぜ」「オラ」「オラ」「オラ」
ボコボコにどつかれる噂話をした青年。
「どついたら汗かいちまったぜ」
「走りに行く前に銭湯よってくか?臨時収入も手に入ったことだしよ」
そう言って走田は、噂話をした青年の財布から5万円を抜き取った。
「これは、迷惑料として貰ってくな」
「それは、、、」
「何、殴られたり無いの?」
「いえ、迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした」
「わかれば良いんだよ。また、くだらねぇ噂話してたら覚悟しろよ」
「はい。もうしません」
「わかれば良いんだよ」
走田たちは去り際に
「今日は久根峠で走るか」
「良いねぇ」
とやりとりをしていた。
久根峠で首なしライダーに襲われちまえと青年は心の中で吐き捨てた。

夜になり久根峠にチームファウストのメンバーが集まる。
「ちーっす。走田さん。今日から参加させてもらうくるまっす。よろしくっす」
「おぅ、宜しくな。じゃあみんな集まったことだしやるか。全員10000円をこの中に入れたか?今日は一位の奴が11万総取りだーーーーーーーー」
「ヒューーーー」
「よっしゃぁー」
そして、始まる久根峠での走り屋レース。
最初から飛ばす走田。
喰らいつく副リーダー。
その後ろにルーキーの車。
他の奴らとの差はどんどんと広がる。
レースも終盤に差し掛かったその時、猛スピードで駆け抜けていた走田が一位でゴールする。
「チクショー走田の勝ちかよ。仕方ねぇな持ってけドロボー」
「流石走り屋界に現れた超新星っすね。チームに入れて俺嬉しいっす。今日は完敗しましたけど今度は負けねぇっす」
しかし普段なら人一倍喜んでいるであろう走田から全く反応がない。
不思議に思った副リーダーが近づくので、新人の車もも副リーダーに付いて確認に向かうが
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「走田?おい、嘘だろ。うぇ」
「うっぷ」
その反応に他のメンバーも近づいてくるが皆一様に困惑する。
「なんだよコレ。うっ」
「オェッ」
「ありえねぇだろこんなの。ゴホッ」
そこには首だけが綺麗に無くなった走田の死体があるだけだった。血が吹き出した形跡がなく、綺麗さっぱり首だけが消えているのだ。その奇妙な光景に全員が通報することも忘れて一目散に逃げ出した。

号外、首なしライダー現る!という朝刊に目を通し、髪の毛は色素が抜け落ちた真っ白な髪をしており、神鏡を首にぶら下げ、スーツをビシッと着た女性が呟く。
「首なしライダーねぇ。本物か?誰かの作為的なものか?どちらなのかしらね。そろそろ捜査一課長が泣きついてくる頃かしら。さて、職場に向かうとしますかね」

この女性の名前は、出雲美和いずもみわ警視。
昨今の奇妙な事件専門の部署として新設された怪奇課の課長を務めている。
これはそんな彼女が奇妙な事件を解き明かしていく物語である。
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