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1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

アンデッド地獄

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 ワクワクしているナナと打って変わり恐怖で顔が引き攣っているマヤとハル。触手で僕の手をぐいぐいと引っ張るマリン。腹を括って、入るしかない。この恐怖の館の一つ目のステージはアンデッド地獄だ。ゾンビ・グール・リビングデッド・マミー・スケルトンを始めとする死者たちがお出迎えしてくれる。これだけ聞けばいや倒せばええやんそんなんっと思われるかもしれないが、コイツらの厄介なところは人間に擬態できるところだ。ここに出てくる死者共は人間に化けている。だからパッと見、この恐怖の館に挑んだ冒険者の成れの果てにしか見えない。
「フグオ、私恨むからアンタがもう一回初めからになったことを恨むから!」
「フグオ君、今回ばかりはマジで無理無理無理。怖い怖い怖い。リアルなお化け屋敷とか無理ーーーーーー」
「いや、僕もこの館だけは避けたかったよ」
「マスター、怖気ついてるのだ?今までと大差無いのだ。邪魔な奴らは、マリンたちが排除してやるのだ」
 ん?あれっそうかあの時は僕とマヤとハルの3人パーティだったから怖かったけど、今はマリンたちがいるから多分死んだふりしてるゾンビとかも容赦なく殺されるよな、、、、怯える必要ないのでは?寧ろ、怯えるマヤとハルに抱きつかれてムフフなのでは?
「フグオ、早く行こうよ。私、お化け屋敷大好きなのよね」
 ナナはこんな感じでワクワクしてる。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ。何考えてんのよ。こんなところアタシ入らないんだからーーーーー」
 リーシャはこんな事を言ってるがマリンに背中を押されて、イヤイヤしてる。リーシャは魔物なのに怖いものが苦手みたいだ。
「、、、、良し行こう」
 僕が言うと恐怖の館へと足を踏み入れたのだが、結果はこの通りだ。
「死んだフリなんてアタイに効くと思ってんのかい?舐められたものだね。アンタらをアタイの修行の糧にさせてもらうぜ」
 バナンキーは容赦なく死んだふりしてるゾンビを拳でそのまま潰していく。まるでプチプチを潰すように。これを見て、マヤとハルの中にあった恐怖も無くなっていた。
「マヤ、私、怯えすぎてたかも」
「えぇ、あの時は3人だったから怖かったけど今は、マリンたちがいるんだった。そうか、こうなっちゃうのか」
「ねーマヤ・ハル、見てみて鎧が動いてるんだけど。アハハ」
「みぃたぁなぁ」
「見たなだって、アハハハハ」
 ナナは終始こんな感じで恐怖の館を楽しんでいる。
「ナナ、そいつ斬りかかってくるわ!」
 マヤの言葉でナナが大剣を抜いて、受け止めて、横薙ぎで薙ぎ払った。
「すご~い。本当に斬りかかって来たんだけど~。中に何も入ってない~。アハハハハ」
「ナナ、やるじゃねぇか。アタイも負けてらんないね」
 ナナに触発されたのかバナンキーも鎧を粉砕してるし、、、この娘たちにかかれば、赤子の手をひねるようなものだってことか。にしてもナナってクールだから魔法戦士とかそっち方面なのかと思ったら筋肉にステータスを振りまくった脳筋戦士なんだな。
「マヤ・ハル、見てよ。包帯に巻かれて可哀想な人がいるよ!」
「マミーだからそれ!」
「あっこれがマミーなんだ。そぉれぇ」
 まるで遊女の帯を引っ張る容量で包帯の切れ目をとって回すナナ。
「あーれーってこうだったっけ?」
 包帯を引っ張られてどんどん小さくなるマミー、やがて全部巻き取られたマミーが崩れ去った。
「へぇ、マミーの中ってこうなってるんだ。初めて出会ったけど。包帯引っ張っただけで消滅しちゃうなんて。アハハハハ」
 マミーはこの館にしか出現しない珍しい魔物なのだ。そして、僕が次に人外娘にしないといけない魔物だ。それが次々とナナによって捲られて消滅させられてる。あの中に女のマミーが居たらどうするだよ。だが、そんな杞憂する必要はなかった。だって、今まさに目の前に女のマミーがいるのだから。
「ナナ、面白いことやってんな。アタイもやってやるぜ」
 バナンキーがナナと張り合う形となった。
「負けないわよバナンキー」
「へっ。勝つのはアタイだナナ」
「鎧が動いてる。アワワワワ。石像も動いてる。アワワワワ。死者と骨がたくさん。もういやぁぁぁぉぁぁぁぁ」
 リーシャはこんな感じでずっと狼狽えてる。
「マミー、みっけ。ほらほらめくってあげるんだから」
「ぐっナナに先越されちまった」
 そしてナナにひん剥かれたマミーが消えなかった。それどころか包帯の中から大きな胸とハリのある肌。安産型のお尻にキュッと引き締まった脚。顔だけが包帯で巻かれているなんとも言えない姿である。
「見つけたのだ。ナナ、お手柄なのだ」
「へっ?」
 マリンに褒められたナナだが意味を理解できてないみたいである。しかし、さっきまで消滅してたのに、ご都合主義的な感じで女のマミーは消滅しないんだよな。まぁ、恐らく頭の部分の包帯が残ったから大丈夫だったって事なんだろうけど。その時、パピィが叫んだ。
「そんな、あの胸の上にあるホクロはま見間違うわけありません。あれは、私のボディガードのキリリですわ!」
 この言葉で確信した。このマミーが風呂階家から消えた使用人の1人だということに、やれやれこれも人助け、そう覚悟を決めるフグオであった。
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