いじめられっ子の僕が可愛い人外娘と行く冒険旅〜但し人外娘へと変える方法が独特で〜

揚惇命

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1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

傷ついた皆を看病

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 それにしてもまさかハジメがあのランスールだったなんてな。背中に白い翼の防具に手には槍だなんて、まるでヴァルキリーじゃないか。思い出して、クスクス笑ってしまう。そういえば、いじめられてた僕を助けてくれた時も掃除用具のマップとか長い枝とかを槍に見立ててたね。全く変わらないってことか。まぁ、でも本当に助かった。マヤとハルとナナは瀕死で動けそうにないし、マリンたちは揃って戦闘不能だ。そんな猛威を奮ったサイクローザを対処するなんて、やっぱりハジメは凄いし僕の英雄だな。まぁ、あのハジメが家ではあのケンゴとかいう男?現実世界では女なんだっけかに好き勝手されてるってのも優しいハジメらしいなって。どうせ、お腹すかしてうずくまってた女の子をほっとけなくて世話したら懐かれたってお決まりのパターンだろうな。それにしても、マリンたちがここまでやられるなんて。あの薬は危険すぎるな。そんな危ない薬を開発し続ける薬師先生には、お灸を据えてやらないとな。それにしても僕を指名手配したギルド総本山所属の人が僕を助けてくれるなんて、ハジメ怒られたりしてないかな。それが心配だ。なんて、考えては間になんとかみんなを拠点に運べた。誰も目を覚ます気配はない。
「痛かったよな。僕のためにごめんな」
 僕はそう言いながらルルとミミを撫でる。気持ちよさそうに見えるのが救いだ。今回わかったのは、どうやら人外娘が戦闘不能になっても消滅したら死ぬわけではないということだ。どうやら、少しインターバル?睡眠?休息?みたいな感じで動けないみたいだ。それは良かった。僕のために危うくみんな死んじゃうところだったんだもんな。もっと慎重にならないとな。それよりも深刻なのはマヤとハルとナナの方だ。みんな僕なんかのために無茶してさ。虐めてた側なんだから僕のことなんてほっといてログアウトすれば良かったのに。
「できるわけないでしょ。フグオにあんなことしといて、命を貰うほどの恩を貰ったんだから」
「マヤ、話しちゃだめだよ。痛いんでしょ」
「フグオの心の傷に比べたら身体の傷なんてマシよ。本当にごめんね。ナナの頼みだったとしても断るべきだったのよ」
「気にしないで、それに悪いことばかりじゃない。今はこうしてマヤもハルも側に居てくれる。僕は嬉しいよ」
「ホント、お人好しすぎて、自分が情けなくて何も言えないわ。ありがとねフグオ」
「ゆっくり休んでマヤ。マリンが起きたらすぐに治療してもらうから」
「えぇ、ありがとう。ハルとナナは?」
「まだ目を覚さない。相当手酷くやられたから」
「そうだった。司は?どうして私たち拠点に?」
「もう黙って、今は回復に徹して、大丈夫だから」
「そんなこと言ったって。んぐっ」
 僕は強引に唇を奪って黙らせた後、離す。
「起きてたらエッチなことしちゃうぞ」
「ハルじゃないけどそれはちょっと嬉しいかも。フグオを独り占めできるってことでしょ?」
「バーチャルで良いの?本物が欲しくない?欲しいなら今は僕の言うこと聞いて寝て欲しいな」
「その頼み方はずるいわね。私が既にフグオの虜だって知ってる癖に」
「うん。だから効果的かなって」
「えぇ、そうね。だいぶ効果的よ。大人しく寝てるわ」
「マヤ、好きだよ」
「!?そんなこと言うなんて、フグオらしくないわね。いつものように私は道具って言えば良いのに」
「こんな無茶、次やったら一生、抱いてあげないぞ」
「それは、ちょっと笑えないかな。この身体はもうフグオに依存しちゃってるからさ。それを守って欲しいならフグオも約束してよ。危なくなったらログアウトするって」
「わかった。だからマヤも自分の身体を大切にしてね」
「わかったわ」
 マヤはこの後寝息を立てて眠っていた。マリンが目を覚ましたのは、3日後だった。
「ふわぁ~よく寝たのだ。マッマスター!?ずっと看病してくれてたのだ?」
「あぁ、良かった。本当に目を覚さないんじゃないかと思った」
「大袈裟なのだ。ところであの化け物はどうしたのだ?まさかマスターが撃退したのだ?流石、マリンのマスターなのだ」
「そうできれば良かったんだけどね」
「な、な、な、としたらここは天国というやつなのだ?」
「違うよ。みんな生きてる。この前戦ったギルド総本山の人たちがね。港町アクアの惨劇を許さないと言って、僕たちに協力してくれて、追い返したんだ」
 僕の友人だったことは伏せておこう。
「成程なのだ。マスターを狙う者が協力してくれたのだ?」
「そういうこと。利害関係の一致ってやつ」
「それにしてもみんな酷い有様なのだ。すぐに治療してあげるのだ」
「あぁ頼むよ。マリンだけが頼りなんだから」
「先ずはハルからなのだ。回復魔法が使えるハルからなのだ」
「ふにゃあ。えっ何々、この触手、そんなとこに入っちゃダメーそこはフグオ君、専用なんだから」
「ハル、我慢するのだ。治療に恥じらいは必須なのだ」
「その理屈何よ。マリン、あんた後で覚えときなさいよ。どこまで入ってくるつもりよ。この変態触手!」
「俺だって、こんなとこ入りたかねぇんだよ。マリン姐さんの頼みじゃなかったらやってねぇってんだ。少しぐらい感謝しろってんだ」
「アハハ」
 相変わらず触手の声は俺にしか聞こえない。その言葉を聞いて苦笑いを浮かべるしかできなかった。こうしてマリンとハルによって、みんなの傷の治療が終わるのだった。
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