いじめられっ子の僕が可愛い人外娘と行く冒険旅〜但し人外娘へと変える方法が独特で〜

揚惇命

文字の大きさ
上 下
166 / 210
1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

デンドロに薬を渡した女の容姿

しおりを挟む
 デンドロことアレッサンドロに有る事無い事を吹き込んで操っていたのもまた御離羅貞朝だった。そんなアレッサンドロに一つ聞き忘れたことがあり、質問するフグオ。
「もう一つ聞きたいことがあるんだけど良いかな?」
「何でしょうか作智様」
「一つ目の化け物、確かサイクロプスだっけ?あれになってた記憶はあるんだよな?」
「人間の姿を保てていた時は、意識がありましたが、もうその化け物の時は、意識はほとんどなかったかと。ただ、大事な人を助けるためという本能のままに暴れていました」
「じゃあ、君をそんな風にした相手については何もわからずじまいだよな。はぁ、きっと現実世界で僕にテトロドトキシンを盛ったやつと同じ人だと思うんだけど」
「作智様が現実世界で殺されかけた!?なんということを!許せん。そいつの特徴を詳しく。俺がこの手で葬ってくれる」
「良いんだ。なんかテトロドトキシンに抗体があったみたいで、効かなかったし、むしろ暴行を受けて死にそうだった体力が回復したし」
「はっ!?テトロドトキシンに抗体?解毒剤がないことで有名な致死性の毒、いやフグはテトロドトキシンを持つバクテリアを探して好んで食べると聞いた事が。しかし、人間がテトロドトキシンの抗体を?いや、今は感謝するべきですな。命が失われずに済んだのですから。ですが聞いた事のない事例で、困惑してしまいますな」
「母さんも言ってたな。貴方もフグと同じ体質なのかもしれないわねと」
「母さんって?未智様が見つかったのですか?」
「あっ、いや僕の言う母さんは育ての母さんで、寧ろ本当の母とは産まれてすぐ離されたわけだからなんというか実感すらないんだよね。羽陽音に言われて、急に従兄だと言われても。うーん、だったしなぁ。育ての母さんは、その未智さんって人と親友だったらしいんだけど」
「そうでしたか。では、未智様は、未だ行方知れずなのですな?御離羅貞朝め。俺の桶階社長に対する忠誠心を利用して、俺が桶階社長を見つけたらまとめて葬り去る腹積りだったのだな。許せん」
「どうして御離羅貞朝は、学生時代は親友同士だと父様からお聞きした作斗叔父様を執拗に殺そうとするのでしょうか?」
「親友同士?桶階社長と御離羅貞朝が?俺が入った時には既に社長派と専務派みたいな感じで、毎日のように派閥がバチバチやり合っていたが。本当にあの2人は親友同士なのか?俄かにはしんじられん」
「その話も重要なんだけど。考えても仕方ないことだよ。真相は2人にしかわからないんだから。でも困ったなぁ。アレッサンドロさんなら、あの状態になった原因がわかるかと思ったんだけど」
「うーん。あの女武闘家に殴られた後のことですか?よく思い出せんが、何かあったか?うーん」
「思い出せねぇならアタイが何倍にして返してやろうか?この腐れ外道!」
 化け物になっていたアレッサンドロにボコボコにされて今まで気を失っていたバナンキーが勝手に入ってくる。
「あの時は気付かなかったがその姿は魔物か?いや、しかしどこからどう見ても人間にしか見えん。俺の目がおかしくなったのか?」
「ジロジロみんじゃねぇ!アタイのことを好きにして良いのは、マスターだけなんだからな!人の死を何とも思わねぇ外道が!」
「悪かった。あの時はあれが正しい行いだと信じていたのだ。そうしなければ、大事な人を助けられないと。俺に生きる意味と居場所をくれた大事な人を」
「そんな、顔したってアタイは騙されないんだからな!マスターに何しようってんだ!この外道が!」
「やめろバナンキー!アレッサンドロさん、ゴホン。デンドロさんは、もう味方だ。悪いことをしたと心から反省している。やり直す機会を与えることも大事なんだ!」
「うっ。マスターがそう言うならわかったよ。でもアタイはずっと目を光らせてるからな!マスターに何かしようとしたらアタイがアンタを殺してやる」
「宜しく頼む。俺も恩人の息子に手をかけるようなことがあれば、そうしてもらえると幾分か心が軽くなるのでな」
「もう。次から次、話を脱線させてさ!今、重要なのは、アレッサンドロさんに誰があの危険な薬を渡したか。それを知ることなんだよ。まぁ、犯人はわかってるよ。十中八九、薬師先生だろう。でもね、相手のこちらでの姿がわからない以上、こうやって被害にあった人間に聞くしかないんだ。真相に迫るために必要なことを聞こうとしている最中なんだから、バナンキー、少し黙っててもらっても良いかな?」
「マスター、悪かったよ。アタイは、マスターが心配だっただけなんだ」
「わかってる。ありがと心配してくれて」
「マスター、後でバナテインくれよな!」
「そこー!」
「ん?薬?薬なら何か貰ったな?この薬を飲めば、あの女武闘家に勝てますよって、ただの強化薬だと思っていたが?あれなのか?」
「それだ!!!!」
「うおっ。それなら確か。ウェディングドレスのような真っ白な服とヴェールを頭から被っていた女だ」
「貴重な情報をありがとう。次にどんな手を考えているのかわからないけど、姿がわかったことは一歩先に進めたと思える」
「いえ、お役に立てたのなら幸いです」
 こうして、薬師先生のこちらでの姿を聞くことのできたフグオは、一歩進むことができたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
 疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。  そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。  逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。  猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。  リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~

むらくも航
ファンタジー
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。 ☆10/25からは、毎日18時に更新予定!

処理中です...