上 下
164 / 210
1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

姿を取り戻したデンドロ

しおりを挟む
 勇者の力を発現したフグオと化け物と成り果てたデンドロとのバトルが始まる。
「御主人様?何を考えておられるのです?あのような化け物に挑んではなりません!」
「ピグミィ、心配ない。すぐにバナンキーとファランを救出して、離れていてくれ。皆んなは、この僕が守る」
「御主人様!いえ、信じます」
 バナンキーとファランを救出に向かうピグミィに棍棒が振り下ろされる。それを弾くフグオ。
「おまぁえ、だぁれぇ?おでぇのぉ、じゃまぁすぅるぅなぁ!」
 良し、注意がこちらに向いた。これでピグミィは、2人を助けられるだろう。
「おい、デカブツ。散々暴れてくれたな。この勇者フグオ様が討伐してやるからかかってこいよ」
「ゆぅしゃあ?おまぁえ、いいぃぃぃぃぃぃぃぃ。じょおしぃつぅぅぅぅぅぅぅ」
 更なる薬の改良のため、この様子を眺めている怪しい女。
「へぇ、キモブタと蔑まれている貴方がこの世界の勇者って、世も末よねぇ。お父様にとって、この世界は邪魔者を消すための都合の良い世界。成程ねぇ。お父様が危険視する意味がよーくわかったわ。デンドロがここで殺してくれることに期待して、私はデータ収集に注力しないとね。それにしても哀れな男ねデンドロ。そうね。暇だし、デンドロの昔話でもしてあげましょうか。むかーしむかーし、外国の血が混じっていた男の子がいましたとさ。その男の子は、外国の血が混じっているから純潔じゃ無いからと虐められていました。そのいじめを忘れさせてくれたのは、大好きなゲームでした。成長して大人となった彼はとあるゲーム会社の門を叩きます。その会社は、外国人だからと差別するような会社ではありませんでした。入社した彼の仕事ぶりを評価した社長に気に入られて、彼はとても喜んでいました。そして、自分を受け入れてくれた社長のためリリースしたゲームを海外でも広めるために飛びました。でも、そんな彼を悲劇が襲うのです。その間に社長は行方不明となってしまいました。歩道に暮れた彼は、新しく代理で社長に付いた人に、こう言われたのです。お前の大事な社長は、ゲームの世界に囚われている。助けたいならゲームの世界で、探すのだ。そのための手段など選ぶな。社長がゲームの世界に囚われたのは、お前が最も憎んでいるこの国の奴らのせいだ。決して許すな。根絶やしにしてでも社長を助けだせ。彼は、その言葉を信じましたとさ。お父様が確実に桶階社長を殺すためとも知らずにホント哀れな男よね」
 見下ろしている間もデンドロとフグオのバトルは続いている。
「おでぇのじゃまぁお、すぅるぅなぁ」
「邪魔するさ。もう誰もお前に殺させない!」
 圧倒的パワーから振り下ろされる超高速の棍棒の振り下ろしを交わして、棍棒に飛び乗って、走って、身体を切りつけようとするが、もう片方の手で薙ぎ払われて、振り落とされる。
「ぐっ」
 もうちょっとだったんだが今のは危なかった。あの化け物。見た目の割には、物凄く速い。ファランが捉えられたのも納得できる。どうするべきか。せめて動きを封じるか、何かで注意を逸らしてくれれば。
「ぜぇんぶぅ、つぶぅすぅ。こぉのぉしぃまぁおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
 とてつもない憎悪だ。どうして、ここまでの執念を?でも何かおかしい?この街ではなくこの島って言ってる?まるでこの島が仇のように憎くて仕方ないってことか?そもそもコイツって2の島の人間なんだよな?それにしては、今まで接点もなかった1の島に対して、恨みが並々ならないってことか?どういうことだ?いつのタイミングで接点があった?こいつから話が聞きたい。聞きたいが男である以上、コイツを人間に戻す方法はない。殺したところでゲームの世界だから元の世界に戻るだけだと思うが。何か、すごく胸騒ぎがする。この胸騒ぎはなんだ。でも、コイツを倒さないとキシャンテの街が。背に腹は代えられない。
「皆さん、兎に角この投石器で石を投げてください」
「こんなんで、あのあんちゃんの援護になるってのかいナライの坊主」
「ハヤテさん、今は従ってください」
「わーったよ。ほらお前さんたち、今こそセキタ採掘場を守ってくれたあんちゃんに恩を返す時だ。ありったけの石をぶつけてやんな」
「うぉぉぉぉぉぉぉ」
 突如降ってくる石によって、化け物の注意が丘の上に向く。
「いぃつぅもぉ。こぉうだぁ。ちぃがぁうかぁらぁと。なぁげぇつぅけぇるぅ。ゆぅるぅさぁなぁい」
 あの丘からの攻撃か?誰か知らないけどありがとう。お陰で、一撃を叩き込める隙が生まれたよ。
『フグオは、飛び上がるとライトキルを放った』
「こぉのぉひぃかぁりぃは!?うがぁぁぁぁぁぁ」
 この結末を見届けた怪しい女は、その場を後にする。
「あらあら、デンドロったら全く役に立たないわね。でもデータ収集はできたし、充分かな。次はさらにこの薬を改良して、キモブタちゃんを追い込んでア・ゲ・ル」
 倒れたデンドロはみるみる小さくなって、元の姿に戻るだけでなくその姿も人へと戻るのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

異世界帰りの【S級テイマー】、学校で噂の美少女達が全員【人外】だと気付く

虎戸リア
ファンタジー
過去のトラウマで女性が苦手となった陰キャ男子――石瀬一里<せきせ・いちり>、高校二年生。 彼はひょんな事から異世界に転移し、ビーストテイマーの≪ギフト≫を女神から授かった。そして勇者パーティに同行し、長い旅の末、魔王を討ち滅ぼしたのだ。 現代日本に戻ってきた一里は、憂鬱になりながらも再び高校生活を送りはじめたのだが……S級テイマーであった彼はとある事に気付いてしまう。 転校生でオタクに厳しい系ギャルな犬崎紫苑<けんざきしおん>も、 後輩で陰キャなのを小馬鹿にしてくる稲荷川咲妃<いなりがわさき>も、 幼馴染みでいつも上から目線の山月琥乃美<さんげつこのみ>も、 そして男性全てを見下す生徒会長の竜韻寺レイラ<りゅういんじれいら>も、 皆、人外である事に――。 これは対人は苦手だが人外の扱いはS級の、陰キャとそれを取り巻く人外美少女達の物語だ。 ・ハーレム ・ハッピーエンド ・微シリアス *主人公がテイムなどのスキルで、ヒロインを洗脳、服従させるといった展開や描写は一切ありません。ご安心を。 *ヒロイン達は基本的に、みんな最初は感じ悪いです() カクヨム、なろうにも投稿しております

処理中です...