いじめられっ子の僕が可愛い人外娘と行く冒険旅〜但し人外娘へと変える方法が独特で〜

揚惇命

文字の大きさ
上 下
163 / 210
1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

再び勇者の力?

しおりを挟む
 フグオは周りを見回して、驚愕する。側には、数多の死体が築かれていた。骨の山だ。そして、1人の兵士を捕まえて、口に何かを流し込んでいた。
「離せ。この化け物!キチヨ様の元には行かせんぞ。何を流し込んだ。かはっ」
「ぐへへへへ。おで、ちぃかぁらぁ、もつと。もつと。ほしぃぃぃぃぃぃぃ」
 兵士の姿が魔物へと変わるのを見届けた化け物と成り果てたデンドロは、その兵士を生きたまま喰らう。
「あががががが」
「ムシャムシャ。パリポリ。プッ。こぉいつぅもぉ。まぁずぅいぃぃぃぃぃぃぃ」
 かろうじて聞き取れる声がおどろおどろしさと周りの骨の山がどうしてできたのかを物語っていた。そして、化け物と成り果てたデンドロの視線には、気を失っているバナンキーが映った。
「あぃつぅはぁ。まぁもぉのぉ。じょぉしぃつぅ。うまうま。たぁべぇるぅぅぅぅぅぅぅ」
 その行動を見て、ようやくフグオもあの化け物の狙いがバナンキーだと気付く。
「まずい。ファラン、バナンキーを救出して、空高く飛ぶんだ」
「主様、了解でありんす」
 全速力で、ファランがバナンキーを救出して、空に飛び上がるが化け物と成り果てたデンドロは、片腕を空へと伸ばして、捕まえて、地面に叩きつけ、待っていた棍棒を振り下ろす。
「あちきが捉えられるなんて、なんて力でありんすか。振り解けないでありんす。そんな力任せに、地面へと。くふっ」
「ぐへへへ。にぃがぁさぁなぁい。もぉひぃとぉりぃ、ふぅえぇたぁぁぁぉぁぁぁ」
「そんなファラン、返事をしてくれ!僕のせいだ。僕の判断ミスが更なる悲劇を」
「御主人様、お気を確かになさってください!バナンキー様もファラン様も気を失って居られるだけで、死んでは居ません」
「良かった。でも、あの速度を捉えるあの化け物をどうやって倒す?その時、悲鳴が聞こえる」
「ひぃぃぃぃぃぃぃ。あんな化け物に敵うわけねぇ。仲間はみんなやられちまって、ここに隠れてたってのに、なんなんだ。この魔物のせいで、こうなったらお前だけでも殺してやる」
 隠れてた冒険者は、魔物の姿であるファランに待っていた槍を突き立てようとする。その寸前、捕まえられる冒険者。
「俺なんか食っても美味しくねぇよ。ほら、ここに行きのいい魔物が。なっ、見逃してくれよ」
「おでぇにぃ。さぁしぃずぅ。すぅるぅなぁ。おまぁえはぁ。どぉんなぁ。あじぃがぁすぅるぅ?」
 デンドロは薬の瓶を開けると冒険者の口へと流し込む。
「やめろやめろやめろ化け物。それは仲間たちが魔物に変わった薬、やめろやめろ化け物。嫌だ嫌だ嫌だ。あんな姿になりたくねぇ。しにたくねぇよぉ。熱い熱い身体がぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「なぁにぃもぉ。おとぉ、きぃこぉえなぁい。おでぇ。ちぃかぁらぁかぁげぇん。まぁちぃがぁえたぁ?」
 次の瞬間、化け物と化したデンドロの手が溶け、中からドロドロの液状の何かが飛び出す。その姿はまるでスライムだった。そして、逃げ出した先には横たわるバナンキーとファランが。
「一難去ってまた一難ってか!どうしたら良い。間に合わない」
 化け物と貸したデンドロはまるで飲み物を飲むかのように、スライムとなった冒険者を啜った。
「おでぇのぉ。うでぇ、おまぁえ、じょうもぉのぉ。たぁべぇるぅぅぅぅぅぅぅ」
 スライムとなった冒険者を喰らったデンドロの腕が生えてくる。
「はっ!?マジかよ!あのスライムを喰らって、治癒能力を獲得したってのか?とんでもないレベルアップしてんじゃねぇよ!」
「御主人様、驚いてる場合ではありません。あのような化け物に勝つことは不可能。バナンキー様とファラン様を救出して、街の皆を避難させねばなりません」
「ピグミィ、何を言ってるの?それは、この街を見捨てるってことだよ」
「その通りです御主人様。あの化け物の強さは私たちの遥か上を行く存在です。皆で束になっても勝てるかわかりません。それに、私たちが全滅しては元も子もありません。今は、退くことが大事です」
「いや、僕は逃げない。ここで逃げたらキシャンテの街は滅ぶ。ここが滅んだら。他の島へ行くという楽しみが奪われることになる。そんなことになれば、またこのゲームがサービス終了になってしまうかもしれない!」
「御主人様、何を言っているのですか?サービス終了?そんなことを言っている場合ではありません。直ぐにここから撤退するのです」
「僕は逃げないったら逃げないんだーーーーーー」
 フグオの身体を光が包み込む。
「これは?」
 あの時と同じだ。司を倒した時に発現した勇者の力。これなら、あの化け物にも勝てるか?いや、考えるな。僕が負けたらキシャンテの街が滅んで、他の島からこちらに来る人やこちらからまだ見ぬ他の島へと行くという楽しみが奪われることになる。そんなことになったらまたユーザーに飽きられて、サービス終了まっしぐらだ。そんなことは僕がさせない。ユーザーの楽しみを奪いかねない。こんな危ない薬、根絶してやる。
『フグオは勇者の力を発現した。相手の強化状態を打ち消し、防御無視の一撃必殺、ライトキルを覚えた』
「力が溢れてくるのを感じる。覚悟しろこの化け物」
 フグオと化け物と成り果てたデンドロとのバトルが始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
 疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。  そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。  逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。  猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。  リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

処理中です...