いじめられっ子の僕が可愛い人外娘と行く冒険旅〜但し人外娘へと変える方法が独特で〜

揚惇命

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1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

急げ、急げ

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 街の外れにとてつもなく大きな魔物が現れ、近くにいた汽車ギルド所属の冒険者が討伐に当たるが圧倒的な力を前になす術なかった。
「ここは街の外れだ。しかし、これ以上キチヨ様のいらっしゃる本部に行かせてはならん。ここで食い止めるぞ」
「オーーーーーーー」
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。つぶすぅ。いきぃとぉしぃもぉのぉぜぇんぶぅ」
「ギャァ」
「馬鹿な!?剣も槍も全く効かないだと!?ゴフッ。申し訳ありませんキチヨ様」
 次々と汽車ギルドに所属している冒険者が踏み潰されていく。大きい敵の姿を見たフグオが居たのは、本部を出て反対側に向かって、仲間と合流していた。距離は遠く、仲間を連れて向かうには間に合わない距離だった。
「マスター、街で暴れてるデンドロ一家の方はマリンたちに任せるのだ。マスターはバナンキーを助けてやって欲しいのだ」
「マリン、だけど」
「フグオ、行って、マリンたちのことは私が面倒を見てあげるから」
「心配ないのだ。ファラン、ピクミィ、マスターのことをよろしく頼むのだ」
「マリン様、心得ました。御主人様のことはお任せください」
「マリン、わかったでありんす。主様のことはあちきがきちんと送り届けるでありんす」
「フグオ君、あの化け物派、恐らくかつて司君が飲んだあの薬を飲んだことによる副作用よ。あの薬を作ったのは」
「薬師先生だろ?」
「えっえぇ。現実世界では、男の疲れたアレを元気にする薬ってだけだったけどファンタジー世界ではとんでもない力を得ているみたい。それも司君に使われた時よりもさらに強化されてるみたいだし、その気を、気をつけてねフグオ君」
「そっちもな。マリンに迷惑かけるなよ」
「はっ?迷惑かけられるの間違いじゃないの」
「それだけ元気があれば大丈夫そうだ。じゃあな」
 ピグミィと一緒にファランに乗って、一際大きな魔物の元へと向かう。
「ファラン、バナンキーが心配だ。飛ばしてくれ」
「主様、了解でありんす。しっかり捕まっておくんなんし」
 ファランの最高速度は思った以上に速くて、近くの森に降り立ったフグオはこの状態である。
「オェェェェェェ」
「御主人様、水です」
「ありがとう。オェェェェェェ」
「主様、申し訳ないでありんす」
「いや、最高速度があんなに速いって思わなかった僕が悪いんだ。ファランのせいじゃないよ。オェェェェェェ」
「御主人様がこれでは、すぐに戦うのは不可能でしょう。こちらは私とファラン様しか居ません。少し休憩しませんか?」
「ダメだ。その間にもバナンキーが。オェェェェェェ」
「主様、そんな状態では助けられるものも助けられないでありんす」
「バナンキー様は、相当タフです。直ぐにやられるなんてことはないでしょう。せめて、落ち着くまで」
「ピグミィの気遣いは素直に嬉しい。だけど、なんか嫌な予感がするんだ。オェェェェェェ」
「主様にこんなに想われて、バナンキーも幸せでありんすな」
「えぇ、少し嫉妬してしまいます」
「馬鹿だな。これがファランであってもピグミィであっても、僕は心配するさ。大事な仲間なんだから」
「主様、そこは大事な女と言うところでありんす」
「まぁ、そういう素直じゃないところが御主人様らしいです。夜の激しい姿も好きです。ポッ」
「夜?(もう1人の僕、また勝手なことしてる?)」
「(お前が奥手すぎるからであろうが。女のケアをするのも大事な仕事であろう)」
「(それでも、激しくして傷つけたりしたら許さないよ)」
「(安心せい。俺を誰だと思っている。お前のもう一つの顔だぞ。酷いことなどするわけなかろう)」
「(なんか。そう思うと。罪悪感が押し寄せてくるんだけど。僕の中に君みたいな人格がいるってことだよね)」
「(何を言っておる。現実世界では、あの2人の女子と楽しんであるだろうが)」
「(うっ!それを言われると弱い。でも、無理やりはしてない)」
「(俺も無理やりなんてせんわ。この大馬鹿者が。乗り物酔いをする腑抜けめ)」
「(煩いな。仕方ないだろ。何処の現実世界に時速500キロで、生身で運ばれる体験ができるっての!)」
「(まぁ、俺と話せるのもファンタジー世界だけだからな。だが覚えておけ、現実世界のお前の中にも俺という人格が眠っているということを)」
「(怖いわ!そんな人格出てきたら母さんに心配かけるっての)」
「(確かにな。あの女は良い。母でなければ、1発お相手してもらうものを)」
「(わーわーわー。僕はマザコンじゃない。僕はマザコンじゃない)」
「(そんなことを言っても何も変わらんぞ。俺はもう1人のお前。そう思っているお前もいるってことだからな)」
「(否定できないから嫌悪感が。それにしても、あの化け物が薬による物だとしたら。あの化け物はデンドロっていう。キシャンテの街に入った直後にバナンキーにふっとばされた奴ってことだよな)」
「(だろうな。お前を毒で殺そうとした時は肝を冷やしたぞ。咄嗟に、テトロドトキシンを分解するのに身体を活性化させた)」
「(へぇ。もう1人の僕のお陰だったわけか。その節は助かったよ)」
 自分との対話で、テトロドトキシンがどうして効かなかったのかを知ることができたのも束の間、凄い乗り物酔いでフラフラになりながらも化け物と貸したデンドロの元に向かうのだった。
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