上 下
160 / 210
1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

デンドロ一家総出で報復

しおりを挟む
 話が終わり外に出ようとしたところで、ナライ君に、セキタ採掘場に魔物が出たと慌てて飛び込んできたマキタと呼ばれる男があの時以上に慌てて、飛び込んできた。
「大変でやす~キチヨ様~大変でやすよ~」
「一体何の騒ぎだい。それに、今はお客人の応対中だと鍵をかけていたであろう」
「そんなこと言ってる場合じゃないでやすよ。デンドロ一家があのムカつく野郎と女武闘家を出せと街の中で暴れ回ってるでやす。その数、いつもの3倍でやす。もう既に何軒か飲み屋がタダ飲みとタダ酒の餌食にあって、挙げ句の果てに酔って暴れて壊されたでやす。住民にも被害が。目の前を横切ったからという理由で切り付けられた初老の男性が病院に運ばれたでやす。華が足りねぇなとか言って、住民の女性も連れ去られたでやす」
「なんで、そんなになるまで報告をしに来なかったんだい!このクズ。ウスノロ」
「キチヨ様、もっと言ってくだせぇ。ハァハァハァ」
「このドMの変態が!さては、アタイに怒られたくて放置してたね。後でたっぷりお仕置きしてあげるよ」
「グヘヘヘ。キチヨ様からの御褒美でやす」
「マキタさん、ことの重大をわかっているんですか。住民に被害が出てるのに報告を今までほっとくなんて、何をしているかわかってるんですか!」
「ナライ、そう言ってもでやすよ。アッシにはその力はないでやすから無理でやすよ」
「はぁ。全く呆れて何も言えませんよ」
「ナライ、仕方ないさね。この馬鹿は死ななきゃ治らないよ。直ぐに汽車ギルドの精鋭を集めて、デンドロ一家の討伐に当たりな。ボスのデンドロ以外は、ただの盗賊の集まり、デンドロだけに注意しな」
「キチヨさん、色々と助けてくれたのに黙ってみているなんてできない。ボスのデンドロは、俺を探しているんだろ。そっちは任せてくれ」
「すまないね。ほんと、良い男さねアンタは。アタイの目に狂いは無いよ。そっちは任せたよ」
 フグオが外に出るとマリンたちが居なかった。
「みんなどこに行ったんだ?」
「旦那様、皆盗賊どもの討伐に行っていますわ」
「アイツら、全く。流石だな」
「パパの意思が深く浸透しているでちゅ。コロネは戦闘は弱弱でちゅから隠れてるでちゅ」
「あぁ、わかったよ。センティは逃げ遅れた住民を救出。ファランは、俺を背に乗せて、デンドロを探してくれ」
「旦那様、了解しましたわ。くれぐれもお気をつけくださいませ」
「主様、あちきにかかればすぐに見つけてやるでありんす」
 街を荒らし回っているデンドロ一家。
「食って飲んで壊せ」
「やっ止めてくだされ。ここはみんなの憩いの場なのですじゃ」
「ウルセェ。恨むんならあのクソ生意気なガキと女武闘家を恨むんだなぁ。イッヒッヒ」
「あぁ、ワシの店が」
「お父様、今は耐えてくださいませ」
「おい娘。お前、良い女だなぁ。カシラが喜ぶぜ。貰ってくぞ」
「キャーーーーーーー、離して離してーーーー」
「店だけでなく娘まで、許せん。許さんぞー」
 切り付けられて、倒れる男にトドメを刺そうとするデンドロ一家の男。
「やめてください。どこにでもついて行きますから」
「物分かりのいい娘で助かったな。これに懲りたら2度と歯向かうんじゃねぇぞ。このジジイ。うがぁ」
「全く、ボム。こんなに胸糞悪いの3度目。1度目は、子供を道具として使ってた村。2度目は子供の母親を娼婦として囲ってた館。そして、今回の人を殺すことに躊躇がないクソ盗賊」
「お前、何してくれたかわかってんだろうな。天下のデンドロ一家に手を出して、ただで済むと思ってんのか。あぁ。はがぁ」
「お前らと語る言葉なんてない。ボムの業火の炎で焼き尽くしてやる。そしたらボム、また殿に褒められる」
「ありがとうございます。お父様、そんな返事をしてください」
「おぉ、無事で良かった。ワシはもうダメじゃ。お前だけでも避難するんじゃ」
「ちょっと安静にしてるのだ」
「これはゼリーみたいな?すっスライム!?魔物がどうしてこんなところにワシはもうダメじゃ」
「終わったのだ。もう大丈夫なのだ」
「おぉ、これは凄い身体が動くぞ」
「お父様。良かった。本当になんとお礼を言えば良いか」
「気にするななのだ。マスターは、人命を尊ぶ人なのだ。その意思に従ったまでなのだ」
「おぉ、マスターということは、君たちは魔物使いに飼われているのですな。先ほどは失礼な態度を取り申し訳なかった」
「気にするななのだ」
「これはこちらで良いでしょうか?」
「なんと店が元通りに、重ね重ねなんとお礼を申せば良いか」
「いえ、気にしないでくださいませ。御主人様の意思に従ったまでのことですから。それよりもバナンキー様は、どこまで行ったのでしょうか」
「勝手に突撃して、ほんと世話のかかるやつなのだ」
「指名を受けて、ほっとくなんて漢じゃねぇとか、なんとか言ってましたわね」
 その頃、バナンキーはデンドロと相見えていた。
「おい。こないだ散々に頭がしてやったのに懲りない男だな。アタイがもう一度コテンパンに打ちのめしてやるよ」
「フハハハハ。飛んで火に入る夏の虫とはこのことを言うのだな。前回までの俺と同じと思ってもらっては困るぞ。あの怪しげな医者の格好をした女から貰ったこの薬で、俺の能力は10倍強化じゃーーーー。ゲハハハハハ。襲え襲え、女を攫い、俺に刃向かったこの街を滅ぼしてしまえ」
「勝手なやつだ。そんなことはアタイがさせない。打ちのめしてやるから覚悟しな!」
 デンドロとバナンキーのバトルが始まろうとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

処理中です...