いじめられっ子の僕が可愛い人外娘と行く冒険旅〜但し人外娘へと変える方法が独特で〜

揚惇命

文字の大きさ
上 下
159 / 210
1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

赤ちゃんの行方

しおりを挟む
 フグオはキチヨにセキタ採掘場での出来事を話す。
「成程。セキタ採掘場に捨てられていた赤ちゃんを魔物が育ててたってかい。アッハッハッ。こりゃとんでもない話さね」
 身体を小さくして、フグオのポケットに隠れていたセンティが大きくなる。それを見て驚くナライ。
「あわわ。また魔物が人に!」
「笑うなんて失礼な人ですわね。嘘ではありませんことよ」
「いやいや、悪かったね。魔物が人の子を育てるなんて、そんなことがあるもんだと思ったものでね」
「アタクシのしていたことは、それだけではありませんことよ。セキタ採掘場を訪れる作業員の皆様にも加護を与えていましたの。魔物に襲われない加護ですわ」
「魔物が人に加護を?まるで神様のようなことを?どういうことなんでしょうキチヨさん?」
「へぇ、成程ね。確かにセキタ採掘場で魔物が出現したなんて話を聞いたこともなければ、作業員が襲われたって話も聞いたことないさね。でもどうして人と敵対している魔物であるお前さんが加護をくれたりしたんだい?」
「お前さんではありませんことよ。アタクシには旦那様が名付けてくださったセンティという素敵な名前がありますの。何かを尋ねるのなら名前でお呼びなさい!」
「アッハッハ。こりゃ1本取られたさね。失礼したねセンティ。先ほどの質問だけどどうしてセンティが加護をくれたりしたんだい?」
「そんなの当然ですわ。アタクシ、作業員の皆様が出す採掘の音が好きなんですの。コロネなんて、仲間たちと踊り出すんですもの」
 センティの言葉を聞いて、同じくフグオのポケットで小さくなっていたコロネが飛び出してくる。それをみて、また驚くナライ。
「またまた魔物が人に!!!!」
「大の男がいちいち驚いて騒ぐんじゃないよナライ。フグオがそういう能力者だってことは、話してくれただろう?」
「でも叔母さん」
「叔母さんじゃなくてキチヨさんと呼びなさいっていつも言ってるさね」
「ごめんなさいキチヨさん」
「センティ、恥ずかちぃでちゅ。あのリズミカルな音を聞くと身体が勝手に踊り出しちゃうのでちゅ」
「小さくて可愛らしいじゃないかい。お前さんがいつも石炭を作ってくれているんだってね。全作業員を代表して、礼を言わせてもらうさね。ありがとう」
「人間さんに頭下げられると照れちゃうでちゅ。こちらこそ、いつも楽しい音を聞かせてくれてありがとうでちゅ。頑張ってお仲間さん増やしてるでちゅ。採掘日を3日に1回程度にしてくれると嬉しいでちゅ」
「アッハッハ。魔物に物申される日が来るとはね。フグオがデンドロ一家を撃退してくれたからね。まぁ撃退してくれたのはあの武闘家の女の子なんだけどね。アッハッハッ。でも暫くは往来の頻度も落ち着くだろうさね。善処すると約束することでどうだい?」
「お願いするでちゅ。お仲間は経験値を寄越せ~と冒険者さんに狩られたりするでちゅ。やっと手に入れた安住の地があの採掘場なんでちゅ。コロネたちは頑張って石炭作るでちゅ。センティたちが作業員さんたちを守ってくれるでちゅ。作業員さんたちは、安心して採掘して良いでちゅ。たまに御褒美が欲しいでちゅ。宝石が嬉しいでちゅ」
「アッハッハッ。宝石を求める魔物がいるなんて。笑わずにいられるかいナライ?」
「キチヨさん、宝石なんでありませんよ」
「それは残念でちゅ。石でも良いでちゅよ。宝石ならもっとたくさん石炭生み出せたでちゅ。でも上質な石でも何とかできるでちゅ」
「???宝石を石炭に?なんて勿体無いことを!!!!」
「鉱物なら石炭に変えれるでちゅよ。宝石だとたくさん生み出せるでちゅ。石でも問題ないでちゅよ」
「たっ助かります。採掘を担当しているハヤテさんに石を運ぶように伝えましょう。どこにお運びすれば良いでしょうか?」
「そうでちゅね。作業員の皆様を驚かせたくないでちゅから帰る時に中頃に置いといてくれてると夜のうちに頑張るでちゅ」
「了解しました。ハヤテさんにそのようにお伝えしましょう。良いですよねキチヨさん?」
「あぁ、勿論さね。こちらとしても汽車を動かす燃料として石炭は欠かすことのできない資源さね。こちらは対価に石で良いならいくらでもあげるさね」
「嬉しいでちゅ」
「良かったですわねコロネ。アタクシからは後一つお願いが、あの子のことについてですわ」
「あぁ、セキタ採掘場に捨てられていた赤ちゃんのことさね?今まで通り、育ててくれて構わないさね」
「いえ、やはりあの子には人里でスクスクと育ってもらいたいのですわ。そこで、キチヨさんに育てて欲しいのですわ」
「何言ってんだい!アタイが人の親って、そんな柄じゃないってんだ」
「キチヨさんは適任だと思いますよ。なんたって、父さんと母さんが長く家を空ける間、僕を世話してくれたのはキチヨさんなんですから。その恩を返すためにこうして汽車の操縦士見習いに」
「あーあーあー。なんも聞こえないさね」
「バブー。チャイ」
「かっ可愛い。なんて可愛いんだい。でもダメダメ。アタイは仕事一筋に生きるって決めたのさ」
「まんま」
「アタイがママだって!かっ可愛い。アタイで良いのかい?」
「チャイ」
「わかったよ。ここまで懐かれちゃ仕方ないさね。責任を持ってこの子は預かろうじゃないか」
「ありがとうございますですわ。坊や、せいぜい可愛がってもらうのですわ」
 いやいや、それはなんか捨て台詞に聞こえるんだけど。でも、なんとか共存も受け入れてもらえて、取り敢えずなんとかなったってところかな。ひとまずは安心ってところだな。どっと疲れたよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
 疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。  そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。  逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。  猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。  リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。

安全第一異世界生活

笑田
ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん) 異世界で出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて 婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の冒険生活目指します!!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...