154 / 210
1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう
緊急クエスト
しおりを挟む
キシャンテの街を出ようとすると男がナライの元に飛び込んできた。
「大変だナライ。今まで魔物の出なかったセキタ採掘場に大型の百足の魔物が出たんだ」
「そんなことって!?まずいですね。セキタ採掘場から取れる石炭は汽車を動かすのに必要不可欠な資源、今まで魔物が全く居なかったのにどうしてこんなことに。マキタさんは作業員を直ぐに安全な場所に避難させてください。僕は、キチヨさんにこのことを報告して、判断を仰ぎます」
「わかった。すぐに知らせて安全な場所に避難する」
この光景は、デジャヴってやつだ。緊急クエスト、セキタ採掘場に突如として現れた魔物を討伐せよの一幕だ。このクエストで出てくる魔物、マモリムカデは、レベル21の魔物なんだよな。前回のクロウキッドナップの件があるし、クエストボスが実は女の魔物だったパターンの例もあるし、ここは俺も見に行くべきだろう。それに、個人的にこのマモリムカデに関して、心残りがある。勇者ラディッシュだった時に、このクエストを受けて、マモリムカデを討伐するとこれ以降、このセキタ採掘場に魔物が溢れるようになるのだ。まるで、このマモリムカデが作業員たちだけでなく、このキシャンテの街にとっても守り神であったかのように、誰にも姿を見せず密かに採掘場と作業員それを必要とするキシャンテの街を守っていたマモリムカデ。どうして、姿を現したのか。それについては当時知ることはできなかった。でも、この能力を持っているからこそ知れることもある。クロウキッドナップが子供を誘拐していたのが守るためだったと同様、この行動にも何かしらの意味があるはずなのだ。そして、マモリムカデという魔物は、この一体だけなのだ。他には存在しない。即ち、このマモリムカデが女であることは明らかなのである。そして、そのマモリムカデの行動にも多くの矛盾があった。行動パターンの多くが、様子を見るなのである。だがステータスはレベル21にしては、この周辺の魔物どころか後半の魔王の城周辺の魔物と比べても見劣りしないのだ。それが、ただただ様子を見るだけを選択し、倒される。多くの人間は、このマモリムカデを気にもしないで踏み潰す。倒さなければ、このキシャンテの街における汽車移動を解放できないからだ。
「ナライ君、これも何かの縁だ。よかったらそのムカデの魔物のことは僕たちに任せてもらえないだろうか?」
「そんな、皆様ほど強い冒険者なら願っても無いことですが、キチヨさんに判断を仰いで、クエスト登録しようかと考えていたのですが」
「ナライ、その必要はないよ。その冒険者一向に任せようじゃないか」
白いコートとズボン姿で肩にカモメを乗せ、口にキセルを咥えた女性が現れる。
「キチヨさん、良いんですか?」
「あぁ、だってその人たちだろさっきあの悪漢共から我が街の作業員たちを救出してくれたのは?」
「はい。ひょっとして、見ておられたのですか?」
「ナライ、アタイを誰だと思ってんだい。この街の町長であり、皆様の夢と希望を運ぶドリームトレインの機長様だよ。この街でアタイの知らないことは何一つないと思っておきな」
「だったら助けてくだされば、、、、」
「ナライ、何か言ったかい?」
「いえ、キチヨさんがそう言うのでしたら、フグサク御一行様、宜しくお願いいたします。解決してくださった暁には皆様限定で、ドリームトレインの乗り放題パスを進呈させて頂きます」
「ナライ、太っ腹だねぇ。まぁ、それぐらいは良いさ。大いにやんなアンタたち」
いやテキストしかなかった時は、大柄な女が肩で風を切って、なんか言ってるぐらいだったけど、なんていうか、海の女って感じなのは何で?そもそも、石炭をくべる蒸気機関車の機長だよね。白かったら真っ黒になるだろうが!なんで毎日毎日服が白くて綺麗なんだよ!ひょっとして何着もあるパターンか。そうなのか。とツッコミたい所は山ほどあるんだけどやめておこう。
「キチヨさんの許可も頂きましたので、よろしくお願いいたしますフグサク御一行様。セキタ採掘場は、キシャンテの街の北東に位置しています」
「じゃあ、ちょっと行ってくるよ」
フグオたちが出ていく背中を見つめながら呟くキチヨ。
「フグオか。お尋ね者であるアンタが名前を偽って、何をしようとしてるのか目を光らせていたんだけどねぇ。悪漢から町人を助けてくれたり、ナライに親身になってくれたり、挙げ句の果ては、魔物の討伐まで請け負うだなんてねぇ。やれやれ、この街の汽車ギルドのマスターであるアタイにも届いているこの手配書だけど、何かの間違いなんじゃないかねぇ。最近、上のやることがきな臭いったらありゃしないよ。向こうも偽名、こちらもわからなかったで暫く様子を見るとするさね。せいぜいアタイをガッカリさせないでくれよ」
キシャンテの街の北東に位置するセキタ採掘場。この採掘場には魔物が存在しない。それでいて、上質な石炭が手に入ることから蒸気機関車による交通で生計を立てているキシャンテの街にとって必要不可欠な場所なのだった。ここに出たムカデの魔物の目的とは一体何なのか?
「大変だナライ。今まで魔物の出なかったセキタ採掘場に大型の百足の魔物が出たんだ」
「そんなことって!?まずいですね。セキタ採掘場から取れる石炭は汽車を動かすのに必要不可欠な資源、今まで魔物が全く居なかったのにどうしてこんなことに。マキタさんは作業員を直ぐに安全な場所に避難させてください。僕は、キチヨさんにこのことを報告して、判断を仰ぎます」
「わかった。すぐに知らせて安全な場所に避難する」
この光景は、デジャヴってやつだ。緊急クエスト、セキタ採掘場に突如として現れた魔物を討伐せよの一幕だ。このクエストで出てくる魔物、マモリムカデは、レベル21の魔物なんだよな。前回のクロウキッドナップの件があるし、クエストボスが実は女の魔物だったパターンの例もあるし、ここは俺も見に行くべきだろう。それに、個人的にこのマモリムカデに関して、心残りがある。勇者ラディッシュだった時に、このクエストを受けて、マモリムカデを討伐するとこれ以降、このセキタ採掘場に魔物が溢れるようになるのだ。まるで、このマモリムカデが作業員たちだけでなく、このキシャンテの街にとっても守り神であったかのように、誰にも姿を見せず密かに採掘場と作業員それを必要とするキシャンテの街を守っていたマモリムカデ。どうして、姿を現したのか。それについては当時知ることはできなかった。でも、この能力を持っているからこそ知れることもある。クロウキッドナップが子供を誘拐していたのが守るためだったと同様、この行動にも何かしらの意味があるはずなのだ。そして、マモリムカデという魔物は、この一体だけなのだ。他には存在しない。即ち、このマモリムカデが女であることは明らかなのである。そして、そのマモリムカデの行動にも多くの矛盾があった。行動パターンの多くが、様子を見るなのである。だがステータスはレベル21にしては、この周辺の魔物どころか後半の魔王の城周辺の魔物と比べても見劣りしないのだ。それが、ただただ様子を見るだけを選択し、倒される。多くの人間は、このマモリムカデを気にもしないで踏み潰す。倒さなければ、このキシャンテの街における汽車移動を解放できないからだ。
「ナライ君、これも何かの縁だ。よかったらそのムカデの魔物のことは僕たちに任せてもらえないだろうか?」
「そんな、皆様ほど強い冒険者なら願っても無いことですが、キチヨさんに判断を仰いで、クエスト登録しようかと考えていたのですが」
「ナライ、その必要はないよ。その冒険者一向に任せようじゃないか」
白いコートとズボン姿で肩にカモメを乗せ、口にキセルを咥えた女性が現れる。
「キチヨさん、良いんですか?」
「あぁ、だってその人たちだろさっきあの悪漢共から我が街の作業員たちを救出してくれたのは?」
「はい。ひょっとして、見ておられたのですか?」
「ナライ、アタイを誰だと思ってんだい。この街の町長であり、皆様の夢と希望を運ぶドリームトレインの機長様だよ。この街でアタイの知らないことは何一つないと思っておきな」
「だったら助けてくだされば、、、、」
「ナライ、何か言ったかい?」
「いえ、キチヨさんがそう言うのでしたら、フグサク御一行様、宜しくお願いいたします。解決してくださった暁には皆様限定で、ドリームトレインの乗り放題パスを進呈させて頂きます」
「ナライ、太っ腹だねぇ。まぁ、それぐらいは良いさ。大いにやんなアンタたち」
いやテキストしかなかった時は、大柄な女が肩で風を切って、なんか言ってるぐらいだったけど、なんていうか、海の女って感じなのは何で?そもそも、石炭をくべる蒸気機関車の機長だよね。白かったら真っ黒になるだろうが!なんで毎日毎日服が白くて綺麗なんだよ!ひょっとして何着もあるパターンか。そうなのか。とツッコミたい所は山ほどあるんだけどやめておこう。
「キチヨさんの許可も頂きましたので、よろしくお願いいたしますフグサク御一行様。セキタ採掘場は、キシャンテの街の北東に位置しています」
「じゃあ、ちょっと行ってくるよ」
フグオたちが出ていく背中を見つめながら呟くキチヨ。
「フグオか。お尋ね者であるアンタが名前を偽って、何をしようとしてるのか目を光らせていたんだけどねぇ。悪漢から町人を助けてくれたり、ナライに親身になってくれたり、挙げ句の果ては、魔物の討伐まで請け負うだなんてねぇ。やれやれ、この街の汽車ギルドのマスターであるアタイにも届いているこの手配書だけど、何かの間違いなんじゃないかねぇ。最近、上のやることがきな臭いったらありゃしないよ。向こうも偽名、こちらもわからなかったで暫く様子を見るとするさね。せいぜいアタイをガッカリさせないでくれよ」
キシャンテの街の北東に位置するセキタ採掘場。この採掘場には魔物が存在しない。それでいて、上質な石炭が手に入ることから蒸気機関車による交通で生計を立てているキシャンテの街にとって必要不可欠な場所なのだった。ここに出たムカデの魔物の目的とは一体何なのか?
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。
そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。
逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。
猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる