いじめられっ子の僕が可愛い人外娘と行く冒険旅〜但し人外娘へと変える方法が独特で〜

1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

パピキーシャ山脈を超えて

　マンドレイクのレイ・トレントのキキー・ヴァンパイアレディのアケミは、拠点の防衛を担うとのことで、モンキーボクサーのバナンキー・ファルコンライダーのファランを加えたメンバーで、次なる街キシャンテの街を目指す。キシャンテの街は、交通の要所となる街で、当初想定されていた10の島を結ぶ世界最大の鉄道駅である。しかし、フグオが勇者ラディッシュだった頃、実装されていたのはここ通称1の島しかなかったので、キシャンテの街は、鉄道で他の街とを結ぶ移動駅としての役目を果たすのみであった。そんな街へ、空から乗り込もうとしているフグオであった。
「うわぁ～～～～メチャクチャ風が気持ちいいし景色も最高～～～～」
「主様が気に入ってくれて、あちきも嬉しいでありんす」
「ファランがこんな大型の鷹に変形できるなんて」
「昔、叔父様からお聞きしたことがあるのですが元々、ファルコンライダーという魔物は背に他の魔物を乗せる予定だったんだけど何を乗せるかで悩んだ結果、乗り手の居ない魔物となったと」
「成程ね。って？なんでパピィの声が聞こえるの？拠点にいるんだよね？」
「えぇ。どうやらこのリストバンドに新しい機能が搭載されているようです。どれだけ運動したかとかまで教えてくれるんですよ。そして、こうして会話まで」
「本当だ。まるでスマート、、、」
「はーい、それ以上は言ってはダメよ～」
「やっぱりダメ？」
「ダメに決まってるでしょ」
「ウォッチッチ」
「ハル、アンタ、ふざけてんの？ってかそれもう言ってるから！」
「あっ、アッチッチと言おうとしたら滑っちった」
「なんの弁明よそれ！」
「あまり背中で暴れるられると不安定になるのでやめてほしいでありんす」
「ごめんなさい」
「後、どれぐらいで着きそう？」
「主様に景色を楽しんで欲しいでありんすからのんびりと飛んでいたのでありんすが急いだ方が良いでありんすか？」
「いや、風が気持ちいいからこのままの速度で」
「了解でありんす。それんしても、この服とやらを着るだけで、本当に熱さを感じんでありんす」
「ファランによく似合うと思ったんだよなぁ。花魁服っていうんだけどね」
「花魁服というのは、何でありんすか？」
「僕たちが普段いる現実世界ってところで、ファランが話しているような言葉遣いをしていた人たちが好んで来ていた服をアレンジしてみたんだけどね」
「そうなのでありんすか。こんな素敵な服があるのでありんしたら、主様の世界とやらに行ってみたいでありんすな」
「そんなに気に入ってくれたのなら嬉しいよ」
「マスター、アタイのこれは何だ？」
「それは武道着って言って、武道を好む人間が動き易くて好んで着る服なんだ。バナンキーに合うでしょ」
「アタイの動きやすさを考えてくれるなんて、さすがバナテインを生成できる人間の言うことは違うね。この服でより一層マスターの役に立つと誓うさ」
「頼りにさせてもらうよ」
「あぁ、任せときな。礼はマスター特製のバナテインで頼む」
「えっ？僕特製のバナテインって、まさか」
「皆まで言わせんなよな。そんなの勿論マスターのアレに決まってんだろ」
「だよなぁ」
「それより、話は変わるんだけどさ。フグオ、こっちの世界に菜奈が囚われてると仮定するとして、探す場所って決めてんの？」
「いや、僕の能力的にも場所場所でレベルアップしながら探すしか無い。本当に囚われてるかどうかもわからないし最悪このまま見つからないなんてこともあるかも。隣のクラスの司だっけ？アイツも行方不明なんだろ？まぁ、あんなクズ野郎、もう2度と関わるのごめんなんだけどさ」
「それが不思議なのです。いくら御離羅貞朝と言えど天谷様を意のままに操ることができないことだけで、犯罪行為に手を染めるのかに疑問を抱かずに」
「ちょっと待って、パピィ。こっちの世界でその話は、用心するようにって秋塚さんも言ってたから」
「えぇ、よくわかっているのですが、このリストバンドは作智従兄様のものです。そして、これで話している内容なのですがどうやら他の人には聞こえていないみたいなのです。聞こえるのは、このリストバンドを持つ私・梨里杏・天谷様・今宮様・そして作智従兄様だけです。だからこれを通して話す時だけは気にしなくても良いかと」
「成程。でも非道な男なんだろ御離羅貞朝という男は。ならそれぐらいやるんじゃないか？」
「秘密裏に処理できる機関が無いとできないことかと。可能性として最悪なのは、処理できる機関が御離羅貞朝にとっては、このデモンズフロンティアの世界なのでは無いかと。だから、この世界に作斗叔父様の親族であり株を多く所有していた私の家の者を閉じ込めた。そして、今はさらに別の使い方として役立たずの烙印を押した息子を捨てるなどでも利用しているのでは無いかと」
「親が子供を捨てるなんて、司って奴は酷いやつだったけど同情しちまうな」
「フグオは優しすぎるんだよ。私たちだけでなく司のことも許そうとするなんて」
「そうよ。アイツは絶対許しちゃダメよフグオ君。ほんと、あの操られるのマジで苦痛なんだから」
「経験者は語るってやつだな。おっ話してるうちに見えてきたな」
「主様、何か話をされていたのでありんすか？急に静かになりんしたので、お休みになられているのでありんしょうと思っておりんした」
「ごめんごめん。流石に空からいきなり現れたら相手もびっくりするだろうから近くに降ろしてくれるかい？」
「了解でありんす」
　こうして、この世界で第二の僕は、始まりの街から３つめの街となるキシャンテの街へと辿り着いたのである。