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1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう
何はともあれ
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一足先に麻弥と春香に連れられて、家に帰った僕は、帰ってきた羽陽音たちに今朝の出来事を伝える。
「そんな作智従兄様が殺されかけていただなんて」
「羽陽音様、これも御離羅貞朝の仕業でしょうか?」
「いえ、あの男は切り捨てた息子のことを一々気にするタイプとは思えません。恐らく、個人的な恨みかと。ですが薬師先生でしたか?彼女の言っていた父の愛という言葉には少し引っ掛かりますわね」
「確か大手薬品メーカーの薬師財閥の御曹司と電撃結婚したのよね。もっと警戒しておくべきだった。私の判断ミスのせいで、もう少しでフグオを失うところだった」
「それにしてもテトロドトキシンを注射されて、死なずに元気になるなんて、作智従兄様の身体はいったいどうなってるんでしょうか?」
「テトロドトキシンがフグ毒なんて言われてるけど。そもそもフグがテトロドトキシンを持っているわけじゃないのよ」
「そうなんですか正道判事?」
「えぇ、フグもテトロドトキシンを食べるのよ。でも特殊な身体の構造をしていてね。フグ毒で中毒症状を起こさないようになってるの。何はともあれフグオが無事で本当に良かったわ。明日から学校に行くのはやめておきなさい。誰が敵で誰が味方かわからない以上、狙われるだけよ」
「母さん、心配してくれてありがとう。でも、僕はもう逃げないよ。立ち向かうって決めたから」
「そう。本当、そういう所は未智そっくりね。でも義理とはいえ、貴方の育ての母だもの。教育委員会にはこの件を訴えさせてもらうわ」
「正道判事、止めた方が良いかと。風呂階家が無くなり、frontier社を我が物にしている御離羅貞朝のことです。既に、根回しは済んでいるでしょう。そうでなければ、学校で先生が見ている前で何が起こっても見て見ぬふりなんてことが続くわけがありません」
「やられっぱなしでいるのはごめんよ」
「えぇ、ですが今や御離羅貞朝は政財界や警察組織にまで融通を効かせる大物です。正道判事に何かあっては困ります。今は耐えてください。父が帰ってくれば必ず御離羅貞朝には然るべき罰を与えますから」
「そこまで力を持っているの?」
「はい」
「わかったわ。今はここだけで留めておきましょう」
「すみません。正道判事。私がもう少し力を持っていたらよかったのですが、父にどれだけ守られていたかを身にしみています」
「取り敢えず、なんだか知らないけど無事だったんだ。今日も頑張って、救出して行こう」
「えぇ、母を救うことができれば父の場所がわかるかもしれません」
「ところで羽陽音、今日はトト様・カカ様、呼びじゃないんだね」
「うっ作智従兄様、あの時は取り乱していたので、素が」
「別に良いんじゃない。僕は結構好きだよ。トト様・カカ様って」
「あの作智従兄様、そこで笑うのは馬鹿にしていると思うのですが」
「そんなことないよ~」
そんなこんなで、僕たちは飯を済ませると眠りに付き、デモンズフロンティアの世界へと向かう。一方、その頃、薬師先生は、frontier社の社長室を訪れていた。
「何をしにきた?良い報告なんだろうな?」
「お父様、申し訳ありません。肝田河豚男にフグ毒を注射したのですが何故か効果が見られず。殺し損ねました」
「失敗の報告をしに来るとは、何を考えている?それに私は事故死に見せかけて殺せと言ったな。直接手を下してどうする。この馬鹿女が!」
御離羅貞朝に蹴られて恍惚の表情を浮かべる薬師先生。
「あん。お父様、もっと私を調教してくださいまし」
「そうであったな。お前はこんなことをされて喜ぶマゾであったな。それも超が付くほどの」
「あん。お父様~もっと~私を罵倒してくださいまし~」
「お前は、わざと失敗したのであろう。私にこうされたくて」
「カハッ。首締め気持ちイイーーーーー」
「フン。次、ミスすればどうなるかわかっていような」
「これ以上の罰を頂けるのですか」
「逆だ。お前とは2度と会わん。だが、肝田河豚男を殺したらお前にまた種を仕込んでやろう。旦那の子を身籠りたくなくて薬品で種無しにするほどの馬鹿娘にな」
「あぁん。必ず、必ずあの豚を殺します~」
「ちょっと待って、毱。デモンズフロンティアの世界に行き、殺してこい」
「ゲームの世界で、人を殺せませんよお父様?」
「ククク。そこがVRゲームの恐ろしさよ。何度も死を与え続けた場合、どうなると思う?廃人となるのだよ。文字通りな。俺はこのやり方でムカつく奴らを排除してきた」
「わかりました。では、何度も何度も殺して、あの豚を廃人にしてやります。お父様のために」
「あぁ、頼んだぞ」
薬師毱が去っていく。
「全く、あの馬鹿娘は本当に良い駒だ。私のためになんでもしてくれるからな。馬鹿とハサミは使いようってな」
「失礼します」
「山西君か。司の件、どこまで進んでいる?」
「言われた通りに、脳内麻薬を限界以上に投与し、ゲーム内の新しい魔物として、猛威を奮ってくれるかと。ですが本来開発主任の秋塚さんを通すところ。どうして俺に?」
「僕はね期待しているんだよ。君の忠誠心に、最近秋塚君は、よからぬことを考えているのではないかと疑っていてね。君には秋塚君の監視も頼みたいんだ。宜しく頼むよ」
「社長にそのように言ってくださるなんて、感激です。わかりました。秋塚主任の行動を逐一報告させていただきます」
「ありがとう。もう戻って構わないよ」
「はっ」
山西と呼ばれた研究員が帰って行く。
「あの使えない馬鹿息子にももう一働きしてもらわないとなぁ。最早、薬漬けの善悪の判断ができない化け物でしか無いがな。ククク」
あっちもこっちも大変なことになりつつあるのだった。
「そんな作智従兄様が殺されかけていただなんて」
「羽陽音様、これも御離羅貞朝の仕業でしょうか?」
「いえ、あの男は切り捨てた息子のことを一々気にするタイプとは思えません。恐らく、個人的な恨みかと。ですが薬師先生でしたか?彼女の言っていた父の愛という言葉には少し引っ掛かりますわね」
「確か大手薬品メーカーの薬師財閥の御曹司と電撃結婚したのよね。もっと警戒しておくべきだった。私の判断ミスのせいで、もう少しでフグオを失うところだった」
「それにしてもテトロドトキシンを注射されて、死なずに元気になるなんて、作智従兄様の身体はいったいどうなってるんでしょうか?」
「テトロドトキシンがフグ毒なんて言われてるけど。そもそもフグがテトロドトキシンを持っているわけじゃないのよ」
「そうなんですか正道判事?」
「えぇ、フグもテトロドトキシンを食べるのよ。でも特殊な身体の構造をしていてね。フグ毒で中毒症状を起こさないようになってるの。何はともあれフグオが無事で本当に良かったわ。明日から学校に行くのはやめておきなさい。誰が敵で誰が味方かわからない以上、狙われるだけよ」
「母さん、心配してくれてありがとう。でも、僕はもう逃げないよ。立ち向かうって決めたから」
「そう。本当、そういう所は未智そっくりね。でも義理とはいえ、貴方の育ての母だもの。教育委員会にはこの件を訴えさせてもらうわ」
「正道判事、止めた方が良いかと。風呂階家が無くなり、frontier社を我が物にしている御離羅貞朝のことです。既に、根回しは済んでいるでしょう。そうでなければ、学校で先生が見ている前で何が起こっても見て見ぬふりなんてことが続くわけがありません」
「やられっぱなしでいるのはごめんよ」
「えぇ、ですが今や御離羅貞朝は政財界や警察組織にまで融通を効かせる大物です。正道判事に何かあっては困ります。今は耐えてください。父が帰ってくれば必ず御離羅貞朝には然るべき罰を与えますから」
「そこまで力を持っているの?」
「はい」
「わかったわ。今はここだけで留めておきましょう」
「すみません。正道判事。私がもう少し力を持っていたらよかったのですが、父にどれだけ守られていたかを身にしみています」
「取り敢えず、なんだか知らないけど無事だったんだ。今日も頑張って、救出して行こう」
「えぇ、母を救うことができれば父の場所がわかるかもしれません」
「ところで羽陽音、今日はトト様・カカ様、呼びじゃないんだね」
「うっ作智従兄様、あの時は取り乱していたので、素が」
「別に良いんじゃない。僕は結構好きだよ。トト様・カカ様って」
「あの作智従兄様、そこで笑うのは馬鹿にしていると思うのですが」
「そんなことないよ~」
そんなこんなで、僕たちは飯を済ませると眠りに付き、デモンズフロンティアの世界へと向かう。一方、その頃、薬師先生は、frontier社の社長室を訪れていた。
「何をしにきた?良い報告なんだろうな?」
「お父様、申し訳ありません。肝田河豚男にフグ毒を注射したのですが何故か効果が見られず。殺し損ねました」
「失敗の報告をしに来るとは、何を考えている?それに私は事故死に見せかけて殺せと言ったな。直接手を下してどうする。この馬鹿女が!」
御離羅貞朝に蹴られて恍惚の表情を浮かべる薬師先生。
「あん。お父様、もっと私を調教してくださいまし」
「そうであったな。お前はこんなことをされて喜ぶマゾであったな。それも超が付くほどの」
「あん。お父様~もっと~私を罵倒してくださいまし~」
「お前は、わざと失敗したのであろう。私にこうされたくて」
「カハッ。首締め気持ちイイーーーーー」
「フン。次、ミスすればどうなるかわかっていような」
「これ以上の罰を頂けるのですか」
「逆だ。お前とは2度と会わん。だが、肝田河豚男を殺したらお前にまた種を仕込んでやろう。旦那の子を身籠りたくなくて薬品で種無しにするほどの馬鹿娘にな」
「あぁん。必ず、必ずあの豚を殺します~」
「ちょっと待って、毱。デモンズフロンティアの世界に行き、殺してこい」
「ゲームの世界で、人を殺せませんよお父様?」
「ククク。そこがVRゲームの恐ろしさよ。何度も死を与え続けた場合、どうなると思う?廃人となるのだよ。文字通りな。俺はこのやり方でムカつく奴らを排除してきた」
「わかりました。では、何度も何度も殺して、あの豚を廃人にしてやります。お父様のために」
「あぁ、頼んだぞ」
薬師毱が去っていく。
「全く、あの馬鹿娘は本当に良い駒だ。私のためになんでもしてくれるからな。馬鹿とハサミは使いようってな」
「失礼します」
「山西君か。司の件、どこまで進んでいる?」
「言われた通りに、脳内麻薬を限界以上に投与し、ゲーム内の新しい魔物として、猛威を奮ってくれるかと。ですが本来開発主任の秋塚さんを通すところ。どうして俺に?」
「僕はね期待しているんだよ。君の忠誠心に、最近秋塚君は、よからぬことを考えているのではないかと疑っていてね。君には秋塚君の監視も頼みたいんだ。宜しく頼むよ」
「社長にそのように言ってくださるなんて、感激です。わかりました。秋塚主任の行動を逐一報告させていただきます」
「ありがとう。もう戻って構わないよ」
「はっ」
山西と呼ばれた研究員が帰って行く。
「あの使えない馬鹿息子にももう一働きしてもらわないとなぁ。最早、薬漬けの善悪の判断ができない化け物でしか無いがな。ククク」
あっちもこっちも大変なことになりつつあるのだった。
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