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1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう
夏休みもまもなく終わり
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部屋の扉を叩く音が聞こえる。
「作智坊ちゃま、御無事ですか?」
この声は、羽陽音のメイド長を務めている菜多莉愛さんだ。
「大丈夫です」
「やっとお声が聞けて安心しました。ここの鍵だけ見つからずマスターキーでも開かなくて、もう救急車を呼ぼうかと思っておりました」
「御心配をおかけして申し訳ありません」
「そのようなこと。作智坊ちゃまが謝る必要はありませんよ。朝食と言ってももう昼食のお時間ですが。どうされますか?」
ぐぅーとお腹がなった。
「食べます!」
「では、温め直してきますので、ゆっくりと降りてきてくださいませ」
「ありがとうございます」
俺はすぐに用意を整えると下へと降りていくのだった。その道中、慌てている春香に出逢う。
「ヤバいって麻弥。遊びすぎたっての!」
「春香、アンタ、まさか、またなの?」
「夏休みの宿題、全然やってない!」
「アンタね」
「麻弥だって、デモンズフロンティアの世界に行ってて、時間なくてやってないよね?今回は私だけじゃないよね?」
「残念でした!今回も春香だけよ。遊びも勉強もこなしてこそよ」
「そんなぁ。あっちょうど良いところにフグオ君はやってないよね?」
「何が?」
「何って?夏休みの宿題だよ」
「えっ?」
「まさか、フグオ、アンタ、やってないの?」
「宿題なんかあったっけ?」
「この馬鹿!アンタは先生に目をつけられてて、量が私たちの2倍出されてたでしょ!今からだと間に合わないわよ。今日が何日かわかってるの?」
「いや、色々ありすぎて、麻弥とお父さんの件とか。春香と司の件とか。アハハ。どうしよう」
「もう。アンタが先生に目をつけられる原因を作ったのも元はと言えば私たちだし手を貸してあげるわよ。って春香は無理か。まだ終わってないって慌ててるぐらいだし。仕方ない、フグオには私がみっちりマンツーマンで教えてあげるわ」
「麻弥、ズルい。そうやってフグオ君のことを独り占めする魂胆ね」
そこに梨里杏がやってきた。
「2人きりが嫌だと言うんだったら、アタシも協力してア・ゲ・ル」
「梨里杏、向こうの世界とは随分な変わりようね」
「だって、こっちの方がアタシの素っていうか。羽陽音様の前じゃなかったら良いかなって。キャハ」
「梨里杏に勉強なんてできるの?そもそも宿題終わってなかったりして」
「春香、愚問だよ~。宿題なんて、夏休みが始まって1週間で終わらせちゃった。テヘ」
「春香、アンタ。梨里杏はこう見えて、菜奈の次に頭が良くて学年2位よ」
「そういうこと~春香と一緒にしないでくれるかなぁ」
「ムキー、2人して、フグオ君と一緒にお部屋で勉強なんて、私も次の冬休みの時には、真っ先に宿題終わらせて、フグオ君の側で勉強するんだからぁ」
春香は叫びながら自分の部屋へと駆け込んでいくのだった。
「俺、冬休みも宿題終わってない予定なんだな」
「そうね。じゃあ、私たちも宿題をやりましょうか?」
「いや、ちょっと待って。さっき起きたばかりでお腹が」
「アンタね。今日が何日か知ってて、そんな悠長なこと言ってんの?」
「ん?」
「はぁ、嘘でしょ!今日は30日よ。あと2日しかないの。わかってんの?」
「マジか?」
「呆れて何も言えないわ!かといって、腹が減っては戦はできぬというし、私たちは先にフグオの部屋で待ってるから。ちゃっちゃとご飯食べて戻ってきなさいよ」
「わかり、ました」
俺は久々に味のわからないぐらいの勢いでご飯を流し込んだ。
「フグオ、どうしたの。そんなに勢いよく食べるなんて」
「母さん、実は、学校の宿題をやるのを忘れてたんだ」
「えっ?フグオ、私と初めにした約束を覚えているかしら?」
「遊びも勉強もきちんとやること」
「えぇ、そうね。暫く、デモンズフロンティア禁止ね。大丈夫よ若いから1週間ぐらい寝なくても」
「あの母さん、それは流石に」
「それが嫌なら、とっとと宿題を済ましてきなさーい!」
「アイアイサー」
俺は母さんから逃げるように自分の部屋へと戻る。そこでは、梨里杏と摩耶が待っていた。
「やっと戻ってきたの。じゃあ、やってくわよ」
「学年2位のアタシが手取り足取り教えてア・ゲ・ル」
あの2人とも宿題をやるんだよね?僕を誘惑するんじゃないよね?何で、そんな胸元を強調している服なの?目のやり場に困るんだけどーーーーー。
「何よ。集中しなさいよねって、どこ見てんのよ!」
「ごめん。でも、その服で見るなって無理があるというか」
「私がどんな服を着ようと私の勝手でしょ!だからってセクハラして良いわけじゃないから。いやらしい目で見るな!」
「作智様は、こっちの勉強の方がしたいのかなぁ。きちんと宿題終わったら、御相手してア・ゲ・ル」
「良いんですか!」
「良いよ~」
軽いなんて軽い、でも梨里杏とできるチャンス。
「やめなさいよ。羽陽音に怒られるわよ」
「それは困ります。この話は無かったことに」
羽陽音が出た途端、素に戻らないでーーーーーーーー。そんなこんなで、2人がみっちり宿題に付き合ってくれたお陰で、31日の夜にようやく終わったのだった。結論から言うと徹夜した。完徹だ。
「作智坊ちゃま、御無事ですか?」
この声は、羽陽音のメイド長を務めている菜多莉愛さんだ。
「大丈夫です」
「やっとお声が聞けて安心しました。ここの鍵だけ見つからずマスターキーでも開かなくて、もう救急車を呼ぼうかと思っておりました」
「御心配をおかけして申し訳ありません」
「そのようなこと。作智坊ちゃまが謝る必要はありませんよ。朝食と言ってももう昼食のお時間ですが。どうされますか?」
ぐぅーとお腹がなった。
「食べます!」
「では、温め直してきますので、ゆっくりと降りてきてくださいませ」
「ありがとうございます」
俺はすぐに用意を整えると下へと降りていくのだった。その道中、慌てている春香に出逢う。
「ヤバいって麻弥。遊びすぎたっての!」
「春香、アンタ、まさか、またなの?」
「夏休みの宿題、全然やってない!」
「アンタね」
「麻弥だって、デモンズフロンティアの世界に行ってて、時間なくてやってないよね?今回は私だけじゃないよね?」
「残念でした!今回も春香だけよ。遊びも勉強もこなしてこそよ」
「そんなぁ。あっちょうど良いところにフグオ君はやってないよね?」
「何が?」
「何って?夏休みの宿題だよ」
「えっ?」
「まさか、フグオ、アンタ、やってないの?」
「宿題なんかあったっけ?」
「この馬鹿!アンタは先生に目をつけられてて、量が私たちの2倍出されてたでしょ!今からだと間に合わないわよ。今日が何日かわかってるの?」
「いや、色々ありすぎて、麻弥とお父さんの件とか。春香と司の件とか。アハハ。どうしよう」
「もう。アンタが先生に目をつけられる原因を作ったのも元はと言えば私たちだし手を貸してあげるわよ。って春香は無理か。まだ終わってないって慌ててるぐらいだし。仕方ない、フグオには私がみっちりマンツーマンで教えてあげるわ」
「麻弥、ズルい。そうやってフグオ君のことを独り占めする魂胆ね」
そこに梨里杏がやってきた。
「2人きりが嫌だと言うんだったら、アタシも協力してア・ゲ・ル」
「梨里杏、向こうの世界とは随分な変わりようね」
「だって、こっちの方がアタシの素っていうか。羽陽音様の前じゃなかったら良いかなって。キャハ」
「梨里杏に勉強なんてできるの?そもそも宿題終わってなかったりして」
「春香、愚問だよ~。宿題なんて、夏休みが始まって1週間で終わらせちゃった。テヘ」
「春香、アンタ。梨里杏はこう見えて、菜奈の次に頭が良くて学年2位よ」
「そういうこと~春香と一緒にしないでくれるかなぁ」
「ムキー、2人して、フグオ君と一緒にお部屋で勉強なんて、私も次の冬休みの時には、真っ先に宿題終わらせて、フグオ君の側で勉強するんだからぁ」
春香は叫びながら自分の部屋へと駆け込んでいくのだった。
「俺、冬休みも宿題終わってない予定なんだな」
「そうね。じゃあ、私たちも宿題をやりましょうか?」
「いや、ちょっと待って。さっき起きたばかりでお腹が」
「アンタね。今日が何日か知ってて、そんな悠長なこと言ってんの?」
「ん?」
「はぁ、嘘でしょ!今日は30日よ。あと2日しかないの。わかってんの?」
「マジか?」
「呆れて何も言えないわ!かといって、腹が減っては戦はできぬというし、私たちは先にフグオの部屋で待ってるから。ちゃっちゃとご飯食べて戻ってきなさいよ」
「わかり、ました」
俺は久々に味のわからないぐらいの勢いでご飯を流し込んだ。
「フグオ、どうしたの。そんなに勢いよく食べるなんて」
「母さん、実は、学校の宿題をやるのを忘れてたんだ」
「えっ?フグオ、私と初めにした約束を覚えているかしら?」
「遊びも勉強もきちんとやること」
「えぇ、そうね。暫く、デモンズフロンティア禁止ね。大丈夫よ若いから1週間ぐらい寝なくても」
「あの母さん、それは流石に」
「それが嫌なら、とっとと宿題を済ましてきなさーい!」
「アイアイサー」
俺は母さんから逃げるように自分の部屋へと戻る。そこでは、梨里杏と摩耶が待っていた。
「やっと戻ってきたの。じゃあ、やってくわよ」
「学年2位のアタシが手取り足取り教えてア・ゲ・ル」
あの2人とも宿題をやるんだよね?僕を誘惑するんじゃないよね?何で、そんな胸元を強調している服なの?目のやり場に困るんだけどーーーーー。
「何よ。集中しなさいよねって、どこ見てんのよ!」
「ごめん。でも、その服で見るなって無理があるというか」
「私がどんな服を着ようと私の勝手でしょ!だからってセクハラして良いわけじゃないから。いやらしい目で見るな!」
「作智様は、こっちの勉強の方がしたいのかなぁ。きちんと宿題終わったら、御相手してア・ゲ・ル」
「良いんですか!」
「良いよ~」
軽いなんて軽い、でも梨里杏とできるチャンス。
「やめなさいよ。羽陽音に怒られるわよ」
「それは困ります。この話は無かったことに」
羽陽音が出た途端、素に戻らないでーーーーーーーー。そんなこんなで、2人がみっちり宿題に付き合ってくれたお陰で、31日の夜にようやく終わったのだった。結論から言うと徹夜した。完徹だ。
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