いじめられっ子の僕が可愛い人外娘と行く冒険旅〜但し人外娘へと変える方法が独特で〜

揚惇命

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1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

イラサトヒの街でクエストの受注

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 パピルス王都の北に位置するイラサトヒの街。パピルスと王都と打って変わり、ここはスラム街と呼ばれる貧困街だ。どこもかしこも物乞いがいて、裏路地には、高額で何でも取り扱う闇商人がいる。そんな街に一際大きな教会があり、神父兼孤児院を営んでいる老人メジトモこそ。クロウキッドナップ討伐のクエストを出す人である。俺の案内で、その教会に向かっていた。
「ホント、いつ来てもこの街に似つかわしくないこの煌びやかな教会だけは慣れないわね」
「というか、ここの装飾売ったらこの街の貧困問題どうにかできると思うんだけどマジで」
「マーヤもハルも中に入ってからはそんな暴言やめてくれよ。前までの世界じゃなくて、今のこの世界は本当に生きてるかのように受け答えが返ってくるんだからな」
「わかってるわよ」
「フグオ君も心配性だなぁ。大丈夫よ」
「ここがマスターの心当たりなのだ?」
「あぁ、中に入るぞ」
 教会の中ではメジトモ爺さんが予想通り困り果てていた。
「あのカラスがふざけおって、ワシの大事な。か」
 こちらに気付いたメジトモ爺さんが紳士そうな態度で接してくる。
「ようこそ。迷える子羊よ。我が教会に何の御用ですかな?」
「僕たちはこの通り旅をしている冒険者なのですが何かお困りのように見受けられましたが何かあったのですか?」
「これはみっともないところをお見せしてしまったようですな。なーに、何も問題は。いや、ちょっと待ってくだされ。見たところ腕が立つ冒険者とお見受けする。ちょいと頼みを聞いてくださらぬか?」
「僕にできることなら」
「最近、この孤児院では子供の連れ去り事件が多発していましてな。犯人はわかっているのですが相当狡猾な奴で、中々尻尾を掴むことができぬのじゃ。アヤツを討伐してくれぬか?頼む。この通りじゃ」
「子供の連れ去り事件とは、穏やかじゃないですね。ですが中々尻尾を掴むことができないのに犯人はわかっているのですか?」
「それはじゃな。そう、連れ去られた子供の側に真っ黒な羽が落ちていたのじゃ。それで、わかったということじゃ」
「成程。で、犯人とやらは一体、何者なのですか?」
「クロウキッドナップという狡猾なカラスの魔物じゃ」
 キターーーーーーーー!!!!!!!!待て待て、まだ雌と決まったわけではない。それに居場所もわかっていない。
「何だってーーーーーーーー!!!!そんな、子供を攫う魔物なぞ討伐してくれましょう。居所はわかっているのですか?」
「このイラサトヒの街の北方にある山々に囲まれたその真ん中に去っていくところを見たと聞いております」
 良し、クロウキッドナップの新たな生息地の情報は得た。消えた子供達の行方ってのは、前回もわからなかったので気になるがラディッシュの時は報酬で貰える癒しの杖がこの時点では破格過ぎて、情け容赦なく叩き潰したんだよな。癒しの杖の効果は、対象のHPを毎ターン回復させるって効果で、攻撃特化で動けるようになるからお得なんだよな。まぁ、今の俺には必要ないというより人外娘たちが強くて全く無用の長物と言って良い。今回の目的は討伐ではなく勧誘。ドンマーマーって名前なんだから雌なのは間違い無いと思っているからな。
「冒険者殿?」
「いや、すいません。その討伐任務、喜んでお引き受けしましょう」
「おお、受けてくださるか。くれぐれも子供たちのことを頼みましたぞ」
「心得ました」
 教会の外でマリンたちには待たせていた。魔物嫌いとわかっている爺さんの元に連れて行ったら話が拗れるだろうと思っていたからな。
「で、どうだったのだ?」
「バッチリ。この街の北の方角にある山々に囲まれたその麓にクロウキッドナップがいるみたいだ」
「マスター、良くやったのだ。すぐに向かうのだ」
「あの山を登るのはマジ勘弁なんだけど」
「登る必要なんて無いのだ。道が続いてるなら1つ面白いのを見せてやるのだ」
「道が続いてる?じゃなくて、山が続いてるならだな」
「いいえ、山の反対側ならね」
「何でも良いのだ。とにかく付いてくるのだ」
 俺やマーヤの訂正を無かったことにして、マリンは山に向かっていく。山に着くとマリンは、山の一点を円状にスライムを押し付けると俺を呼ぶ。
「これで良いのだ。さぁ、マスター飛び込むのだ」
「はっ?いやいや、スライム貼り付けただけのところに飛び込めとか頭打つわ!」
「大丈夫なのだ。とっとといくのだ」
「やめろってマリン。マジでやめろって。うわぁーーーーーーーーー」
 俺の身体がどんどんスライムに吸収されて、次の瞬間には反対側に弾き出されていた。
「ちょっとフグオ。大丈夫なの?」
「あぁ、マジかよ。本当に反対側だぞ」
「嘘、じゃあ私も。、、、何これ。マリン、何やったの?」
「エッヘンなのだ。これぞマリン式、簡易スライムワープなのだ」
「へぇ、たまには有用じゃん」
「そんなこと言うハルは山登りすれば良いのだ」
「嘘、冗談だから。マリン、いえマリン様、私が悪うございました。だから、そのワープ私も使わせて~」
「初めから素直にそう言えば良いのだ」
「マリン、ちょろいちょろ過ぎ」
「何か言ったのだ?」
「なんでもなーい」
 俺たちは、マリンのお陰で山登りをせずに山の反対側、つまりクロウキッドナップがいるところの近くに着いたのだった。
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