いじめられっ子の僕が可愛い人外娘と行く冒険旅〜但し人外娘へと変える方法が独特で〜

揚惇命

文字の大きさ
上 下
28 / 210
1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

王都に行く前に拠点の防衛設備を

しおりを挟む
 ラディッシュの時は何度もお世話になった銀行にやってきた。
「いらっしゃいませ。御新規様ですね」
「はい」
「ではここに名前をお書きください」
 書いた名前を見て、登録手続きを済ませる職員。
「はい、御登録ありがとうございますフグオ様。当店が預かっている金額は現在ございません。何か御用がありますでしょうか?」
「400万G、預けたいのですが」
「わかりました。現在フグオ様から400万Gを預かっております。またの御利用をお待ちしております。って400万G!?」
「すいません、仕入れたものを売った金額なんです」
「あーマテさんが話してた凄い商人って貴方のことだったんですね。そんな人を担当できて嬉しいです。マネコと気軽にお呼びください」
「マテさんの知り合いなんですか?」
「マテさんの担当も私なんですよ」
「そうだったんですね」
「えぇ、でもこんだけのお金を持っていたら不動産で拠点を買う人が多いんですけどね。拠点はお求めにならないんですか?」
「拠点は、もう持っているんです」
「そうなんですね。近頃は拠点狩りを生業としている人もいると聞きます。防犯設備のお買い求めをお勧めしておきます」
「そうなんですか?」
「えぇ、拠点からアイテムや金品を持ち去られたと街の治安も担当しているギルドに訴え出る人がいるんです。部屋に勝手に入ってくる方もいて、ホント困りますよね」
 拠点狩り?部屋に勝手に入ってくる人?プレイヤーのことか!?今まで何の反応も示さなかったNPCの家の物を好き勝手売り捌いていた人がいるのだろう。その人が狙う獲物をNPCから他のプレイヤーに変えた。空き巣狙いということだろう。だとしたら防衛設備が必要ってことか?困ったな。いくらかかるんだ?わからない時は聞いてみるか。
「あの防衛設備ってどんなのがあるんですか?」
「そうですわね。ギルドの職員がすぐに駆けつけるギルコム。侵入者を容赦なく撃ち殺すならバルカン砲。犯人を特定するモニターシステム。物品を盗んで外に出ようとしたら見えない赤外線に切り刻まれるとかですかね」
 何だよ某コマーシャルが浮かびそうなギルコムってw。まぁ侵入してくる奴が悪いんだけど。バルカン砲とか赤外線は高そうだよな。犯人を特定するだけとか何の意味が?
「御値段は?」
「ギルコムは、月々500G。バルカン砲は1000万G。赤外線は安いものなら300G程で手に入りますよ。高ければ高いほど高性能ですけどね。モニターシステムは1000Gで取り扱っています」
 いやバルカン砲だけやたら高いな(ヲイ)。そして、この世界では銀行が防犯も取り扱ってたんだったな。ギルコムと契約するか?うーん、どうしたものか?
「悩んでいるようでしたら一度拠点に帰って、皆様と相談してみてはいかがでしょうか?」
「そうですね。そうします」
 僕は400万Gを預けて手持ちに502万Gを持って、素材屋で素材を売り捌いて3万Gを追加して5万Gでみんなの服を買って、拠点へと帰った。珍しくアイツらも襲ってこなかった。
「うーん、どうしたらいいんだ?」
「マスター、何を悩んでいるのだ?」
「マリン、この拠点の防衛設備をどうしようかと思って」
「要らないのだ」
「えっ?」
「こうすれば誰も拠点とは思わないのだ」
 マリンがスライムを石と同化させて囲い込んだ。
「擬態か!?でも、何かの拍子で入られたら終わりだよな」
「入れないのだ」
 ドヤ顔でそういうマリン。
「えっ?」
「マスター、外に一旦出てみるのだ」
 マリンに言われるまま外に出て、中に入ろうとしたら触手に絡み取られた。
「うわぁ。離してくれぇ」
 そういうとすぐに離してくれた。
「一時的にマスターを登録から外したのだ。もう入ってきても良いのだ」
 今度はすんなりと中に入れた。
「凄い。でも、これマリンがいないと意味ないんじゃ?」
「いや、関係ないのだ。分身たちが勝手に仕事してくれるのだ」
 マリンを抱きしめる。
「マスター苦しいのだ」
「マリン、天才だ。君は天才だよ」
「エヘヘ。もっと褒めても良いのだ。悪人を栽培するのだ」
「成敗だよ」
「そうともいう~」
 それにしても防犯設備がこんな形で解決するなんて、持つべきものは人外娘たち。そして有能すぎるマリン様々だよ~。僕はようやく安心して眠りに付いた。

 ここは魔王城、勇者ラディッシュが死に光が溢れた日、ここ魔王城でも異変が起こっていた。
「魔王様~ラディッシュが死にました」
「何じゃと!?ワシを散々弄んだあの男が死んだ?誰が倒したのじゃ」
「それがわかりません~」
「魔王様、魔物の一部が人外娘化するということが起こっています」
「何じゃそれは!?」
「スライム・ゾンビなのですが、その能力値が魔王様よりも上どころか勇者ラディッシュなんか遥かに凌ぐ能力値です」
「ガクガクブルブル。ワシは、もう引き篭もる。後は四天王のみんなに任せるのじゃ。ガクガクブルブル」
「はぁ~(勇者ラディッシュですら怖かったですもんね。それ以上と聞いたらこうなりますよね。お願いだからここには来ないでくださいよ。新たな勇者御一行様)」
 引きこもりの魔王と新たな噂が流れる日も近いかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...