いじめられっ子の僕が可愛い人外娘と行く冒険旅〜但し人外娘へと変える方法が独特で〜

揚惇命

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1部 デモンズフロンティアの世界に慣れよう

現実世界でも話題になるデモンズフロンティア

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 目を覚ますと鶯の声が聞こえる。帰って来たんだな。ポケットの中に10万4千円が入っていた。1万円だけを持って、学校に向かう支度を済ませて下へと降りる。
「あら、今日はきちんと起きれたみたいね」
「うん。母さん」
「今日は、鮭の塩焼きと味噌汁とご飯よ」
「わーい。いただきまーす」
 僕は生まれた時から父が居なかった。母と2人で暮らしている。母は、サラリーマンではなく公務員だ。近くの役所に勤めている。僕を見送ってから仕事へと向かい、定時退社のバリバリのキャリアウーマンだ。そんな母が珍しくゲームの話をしている。
「フグオがやってるゲーム人気なのね?」
「えっ?母さんがゲームに興味を持つなんて意外だね」
「職場の子たちがね。話してるのを聞いたのよ。見たこともない魔物を連れている子が居たってね。ゲームの世界も広いんでしょ?見たことない魔物ぐらいあるんじゃないかと思うんだけどね。クスクス」
「そうだね。美味しかった。ご馳走様。行ってきます」
「気をつけるのよフグオ」
「はーい」
 見たこともない魔物?僕の連れてる人外娘のことかな?昨日母さんが聞いたってことは、マリンのことだよなきっと。電車に乗ると聞こえてくる会社員の声。
「おい、朝早く起きちまってよ。久々に、デモンズフロンティアにログインしたんだよ。そしたらよ。始まりの街で、辞めちまってたんだよな。体力1でw。でよ。入口の女に宿屋の場所聞いたらよ。丁寧に教えてくれたんだ。前って、街の紹介と大きな屋敷に行け的なことを繰り返してなかったけ?」
「そうそう。お前マジでそれデモンズフロンティアだった?」
「おぅ。間違いねぇよ」
「俺も久々にログインしてみるわ。前まで最強の勇者だっけ?アイツの取り巻きだっけ?」
「魔法使いと僧侶の女じゃな」
 隣に座っていた爺さんまでデモンズフロンティアの会話に参加している。
「そうなんすよ。見た目可愛いのに、弱そうなのにバトル挑んで弱肉強弱だから悪く思わないでねとか言って、金取られたプレイヤーが辞めてたんすよね。アイツらが組んでるの最強の勇者でしたし。誰も逆らいたくないっすよね」
「その勇者ならランキングから消えておったぞい」
「マジっすか?じゃあ、俺ももう一回デモンズフロンティアやるかな」
「おぅ、一緒にパーティ組もうぜ」
「ワシも混ぜてくれんかのぅ?」
「良いっすね。3人でやりましょう」
 俺の知らないところで好き勝手やってたのかよ天谷たち。心の中で、この人達に謝りながら、デモンズフロンティアに活気が戻ってきたことに喜んでいた。そして、学校に着く。クラスに入るとデモンズフロンティアの話題で持ちきりだった。
「朝、ちょっとデモンズフロンティアをプレイしてみたの」
「デモンズフロンティアってオワコンとか言われてなかったっけ?」
「うん、なんかねNPCが人間味あふれる言動になってて、びっくりした」
「えっ嘘でしょ?」
「嘘だと思うならプレイしてみてよ」
「わかったわよ。今日やってみる」
 天谷さんに手招きされる。
「おい、キモヲ、金持ってきたんだろうな」
「うん、はい」
「サンキュー。後は、昨日コケにしてくれた御礼だな」
 下を掴まれる。
「ふぐっ」
「、、、マジかよ」
「どしたの麻弥?」
「何でもねぇ。オラァ」
 少し力を入れられる。
「ふぐぅ」
「これぐらいで焼き入れは勘弁しといてやるよ」
 どうしたんだろういつもの天谷さんなら潰すぐらい掴んできてもおかしくないのに、まるで形を確かめるかのように撫でられた後、少し力を加えられた程度だ。それでも十分痛いのは痛いが。
「あっおい麻弥。今日は、デートの日だったよな。その後はホテルで。先ずは、どこ行くよ?」
「ごめん、ツカサ。気分じゃないからパス」
 天谷さんに話しかけてるのは、隣のクラスのサッカー部のイケメンエースストライカーの御離羅ゴリラ司だ。あの2人付き合ってたのか。
「はっ。待てよ。何だよ。まさか、お前他に男ができたんじゃねぇだろうな」
「違うっつーの。単に気分が乗らないってだけ。デモンズフロンティアが面白いからさ」
「何だよ、じゃあ、俺も今日ログインするから久々に組もうぜ」
「えぇ、そうね」
 天谷さんって付き合ってる彼氏に対しても塩対応なんだね。そういえば2日デモンズフロンティアの世界で天谷さんに喧嘩ふっかけられてんだった。今日もってことは、まさかの3回目あるのか。暫くは、僕の能力の都合上、始まりの町から離れられないわけだしな。嫌だな。授業は、問題なく終わって、帰ろうとした時、珍しく担任の和泉紗彩にすれ違った。授業と終わり以外で会うのは久々だな。
「キモダさん、何か用ですか?」
「いえ」
「用もないのに見ないでください」
「はい」
 小さい声で気持ち悪いって声が聞こえた。教師がそんなこと言うな。悲しい気分になりながら帰路につき。もはや日課となっているランニングを済ませて、19時に家に帰る。
「おかえり~。お風呂に入っておいで。今日は、ビーフシチューよ」
「やったー」
 お風呂に入って、ビーフシチューを食べて、眠りにつく。
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