おいしい毒の食べ方。

惰眠

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カレー

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 彼女が席に着く。

 僕が机に置いた軽食を見て感謝をしてくれる。

「わざわざ、ありがとう。」

「このくらい苦じゃないから、いいよ。」

 僕は、奥からワイングラスを持ってくる。

「どうぞ。」

「ありがとう。」

 彼女は、グラスを受け取り微笑む。

 若干濡れたその髪が、色っぽい。
 温まったその赤みを帯びた頬が、綺麗に僕の瞳に映る。

「今日はどれを飲む?」

「この右のにしようかな。」

「わかったよ。」

 僕は、右のワインを一本取り出し、コトリと机に置く。

 残りのワインを箱に入れたまま奥へと持って行った。
 ついでに、コルク抜きを持ってくる。

「開けるね。」

 僕は、クルクルとコルク抜きをコルクの奥にねじ込む。

 固いコルクに力を入れて引き抜く。

 ポンと気持ちのいい音を立てて開かれる。

 ワインボトルからゆったりと芳醇なワインの香りが溢れ出す。
 ゆったりと誘うようなその香りが、僕たちを急かす。

「先に注いであげるよ。」

「ありがとう。」

 彼女のグラスに、ゆっくりとワインを注ぐ。

 綺麗なワインレッド。
 ワインボトルからさらさらと注がれる。

「今度は私が注ぎますね。」

「ありがと。」

 僕は、静かにグラスを差し出す。

「乾杯。」

「乾杯。」

 僕たちはその合図とともに、軽食をつまみつつワインを口に運ぶ。

 入浴後の血行が良くなった体には、ワインが素早く回る。

 彼女とともに、軽く目を回しながら会話をする。

 いつも以上に、笑い声の止まらない夜となった。


 僕たちは、互いの体を支え合い寝室を目指す。

 倒れるように、ベッドにダイブする。

 何が楽しいのか面白いのかもわからないまま、笑いながら夜が過ぎ去った。

 そして、いつものように目を覚ます。

 互いに酔いやすいが、後に残らないタイプのため、すっきりとした目覚めだ。

 リビングに向かい、ワインの残りを見る。

 昨日は、一本すべて空けてしまったようだ。

 昨日の残りの軽食を一つの皿に移し、ラップをかけて冷蔵庫にしまう。
 きっと、今日の夕食に出ることだろう。

 僕は、身支度をするために彼女に朝食を任せ、自室に向かう。

 スーツに着替え、いつものように大きなカバンを持ってリビングに再び戻る。


 そして、いつものように職場に向かう。

 彼女は、優しく一言。

「いってらっしゃい。」
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