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好きの反対
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築2年と比較的新しい鉄筋コンクリート造の4階建て
徒歩7分の場所に地下鉄線、バス停があり学校にも通いやすい立地
児童相談所の職員から貰った退院後におそらく入居するであろう学生寮の資料。
住民票の手続きなどは全部あちらがやってくれるらしく、今度寮母さんと直接話をするのに俺も同席することになると聞いた。
この寮を勧めたのは神崎先生で、俺の高校に近いかつセキュリティ面の対策がしっかりとされている所を選んでくれたという。
本当にあの人には頭が上がらない。
「引っ越し?」
「元の家には帰れないから、住む場所を決めるんだよ。」
間取り図を覗き込む葵には、両親とは色々会って一緒には暮らせないとだけ言った。
元々察しがいい子だったのか、深掘りはしてこない。
以前住んでいたマンションは警察による現場検証の後、部屋は無人状態。
両親は裁判にかけられ判決は有罪。
それぞれ15年以下の懲役または50万円以下の罰金。
警察には両親との面会をするかと問われたが拒否した。
言付けておくなら「今まで苦労させてごめんなさい。今後は一切関わらなくて結構です。」と添えて。
入居予定日は3月末、主治医の診断の通り4月には学校に復帰できる。
院内学級での単位に特例を合わせて進級も問題ないと広尾先生からも確認が取れた。
「…じゃあ、春には出ていくんだ。」
「ここにはお世話になったし、ボランティアにでもたまに来るつもりだ。」
葵は生まれつき体が弱く入院生活も長い。
少しずつだが他の子供達ともコミュニケーションが取れるようになったし、別に俺がいなくてももう大丈夫だろう。
「龍一先生にも会えるしね。」
ピンポイントに神崎先生の名前を出す。
思わず吹きそうになるのをなんとか堪えた。
「好きでしょ?」
「…いや、好きっていう訳じゃ」
「嫌いなの?」
純真無垢な目を向けられれば返す言葉が見つからない。
分かっていてからかっているなら質が悪いにも程がある。
「俺のこと嫌いか?」
いつの間に来ていたのか神崎先生が後ろから姿を現した。
(…どうすれば)
確信犯だと言わんばかりに葵は笑っている。
クリスマス会の余興の時といい、こいつは年の割に策士な性格をしている。
「…嫌いじゃない。尊敬はしてるし、好きっていうのはもちろん先生として。」
「そうか。ありがとな。」
小学生相手にタジタジになっているのが恥ずかしい。
礼を言われると照れくさくて、この人の前だと素直になれない自分がもどかしい。
「二人って何でそんなに仲いいの?兄弟みたい。」
「気づいたら」が正直一番近いかもしれない。
先生とここまで親しいのは珍しいと聞くと、優越感が心のどこかに浮ついてしまいそうになる。
「二人でいる時間が長いから、かな。…俺といるのが楽しいってくれるのは嬉しかった。」
「遠慮しがちだけど、頼ってくれることもあったな。」
羞恥心で見れなかったせいか俺は気づけなかった。
先生の耳が若干赤く染まっていたことに。
徒歩7分の場所に地下鉄線、バス停があり学校にも通いやすい立地
児童相談所の職員から貰った退院後におそらく入居するであろう学生寮の資料。
住民票の手続きなどは全部あちらがやってくれるらしく、今度寮母さんと直接話をするのに俺も同席することになると聞いた。
この寮を勧めたのは神崎先生で、俺の高校に近いかつセキュリティ面の対策がしっかりとされている所を選んでくれたという。
本当にあの人には頭が上がらない。
「引っ越し?」
「元の家には帰れないから、住む場所を決めるんだよ。」
間取り図を覗き込む葵には、両親とは色々会って一緒には暮らせないとだけ言った。
元々察しがいい子だったのか、深掘りはしてこない。
以前住んでいたマンションは警察による現場検証の後、部屋は無人状態。
両親は裁判にかけられ判決は有罪。
それぞれ15年以下の懲役または50万円以下の罰金。
警察には両親との面会をするかと問われたが拒否した。
言付けておくなら「今まで苦労させてごめんなさい。今後は一切関わらなくて結構です。」と添えて。
入居予定日は3月末、主治医の診断の通り4月には学校に復帰できる。
院内学級での単位に特例を合わせて進級も問題ないと広尾先生からも確認が取れた。
「…じゃあ、春には出ていくんだ。」
「ここにはお世話になったし、ボランティアにでもたまに来るつもりだ。」
葵は生まれつき体が弱く入院生活も長い。
少しずつだが他の子供達ともコミュニケーションが取れるようになったし、別に俺がいなくてももう大丈夫だろう。
「龍一先生にも会えるしね。」
ピンポイントに神崎先生の名前を出す。
思わず吹きそうになるのをなんとか堪えた。
「好きでしょ?」
「…いや、好きっていう訳じゃ」
「嫌いなの?」
純真無垢な目を向けられれば返す言葉が見つからない。
分かっていてからかっているなら質が悪いにも程がある。
「俺のこと嫌いか?」
いつの間に来ていたのか神崎先生が後ろから姿を現した。
(…どうすれば)
確信犯だと言わんばかりに葵は笑っている。
クリスマス会の余興の時といい、こいつは年の割に策士な性格をしている。
「…嫌いじゃない。尊敬はしてるし、好きっていうのはもちろん先生として。」
「そうか。ありがとな。」
小学生相手にタジタジになっているのが恥ずかしい。
礼を言われると照れくさくて、この人の前だと素直になれない自分がもどかしい。
「二人って何でそんなに仲いいの?兄弟みたい。」
「気づいたら」が正直一番近いかもしれない。
先生とここまで親しいのは珍しいと聞くと、優越感が心のどこかに浮ついてしまいそうになる。
「二人でいる時間が長いから、かな。…俺といるのが楽しいってくれるのは嬉しかった。」
「遠慮しがちだけど、頼ってくれることもあったな。」
羞恥心で見れなかったせいか俺は気づけなかった。
先生の耳が若干赤く染まっていたことに。
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