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4.セシールの罠
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「私、今までのお詫びと歓迎の意味を込めてお姉さまに贈り物を
準備したの」
あんなに私を忌み嫌っていた
セシールからの申し出に素直に嬉しい気持ちになった。
「まぁ、セシールさん。ありがとう。嬉しいわ」
「今日の14時に街のはずれにある靴職人のお店に行って欲しいの。
王家の紋章を入れたとびっきり素敵な靴を準備しているわ。
サイズをぴったりに合わせるためにも、一度お姉さまも靴屋へ
足を運んで欲しいの。
とっても素敵な靴屋よ。
きっと気に入ると思うわ」
セシールからの思いがけない贈り物にとても驚いたが、
嬉しくもあった。
婚約発表の日に王家の紋章の入ったものを身に着けて行くことが出来るなんて
夢のような話。
王家の紋章入りの物を身に着けていくことは、
王子様だけでなく、その家族からも受け入れられている証。
こんな有難い申し出を断る理由はどこにもなかった。
「まぁ、素敵なお話ね。
セシールさんありがとう。
では、今日の14時に教えてもらった靴屋へ伺うわ」
その返事を聞いて、セシールは嬉しそうに笑い
「明日はきっと素敵な婚約パーティーになると思うわ。
私もとっても楽しみだわ。
それでは、お姉さま。
ごきげんよう。」
そういうと帰っていった。
私はセシールから言われた通りに約束の14時に街のはずれにある靴屋へと
足を運んだ。
靴のサイズ調整が終わり、迎えのいる場所へと向かうも誰もいない。
今までそんなことはなかったが、トイレにでも行っているのかと特に気にすることもなく
迎えの者が戻ってくるのを待っていた。
立っていると、若い男性が道を尋ねてきた。
どうやらこの先にある帽子屋へ行きたい様子だった。
この靴屋から帽子屋への道のりは僅かだったので、案内することにした。
この若い男性は別の国からやってきたらしく、この国について色々と知りたい
様子だった。
おしゃべりな男性と談笑しつつ、帽子屋を目指した。
男性を案内した後、迎えのいる場所へと戻ると、迎えの者も戻ってきていた。
どうやら迎えの者は幼い子供が迷子になっているのを見つけ、その子と一緒に親を探していたとの事だった。
今思えば、どちらもセシールの刺客だったのだ。
私達はまんまと騙されたのだ。
セシールが私が「若い男性と楽しそうに歩いていた。」
と言っていたが、どうやらこの証言を裏付けるために
わざわざセシールが他の国からこの男性を呼び寄せていたのだ。
全てはセシールの仕組んだ罠で、
私は最初から王家の嫁になど、なれないようになっていたのだ。
準備したの」
あんなに私を忌み嫌っていた
セシールからの申し出に素直に嬉しい気持ちになった。
「まぁ、セシールさん。ありがとう。嬉しいわ」
「今日の14時に街のはずれにある靴職人のお店に行って欲しいの。
王家の紋章を入れたとびっきり素敵な靴を準備しているわ。
サイズをぴったりに合わせるためにも、一度お姉さまも靴屋へ
足を運んで欲しいの。
とっても素敵な靴屋よ。
きっと気に入ると思うわ」
セシールからの思いがけない贈り物にとても驚いたが、
嬉しくもあった。
婚約発表の日に王家の紋章の入ったものを身に着けて行くことが出来るなんて
夢のような話。
王家の紋章入りの物を身に着けていくことは、
王子様だけでなく、その家族からも受け入れられている証。
こんな有難い申し出を断る理由はどこにもなかった。
「まぁ、素敵なお話ね。
セシールさんありがとう。
では、今日の14時に教えてもらった靴屋へ伺うわ」
その返事を聞いて、セシールは嬉しそうに笑い
「明日はきっと素敵な婚約パーティーになると思うわ。
私もとっても楽しみだわ。
それでは、お姉さま。
ごきげんよう。」
そういうと帰っていった。
私はセシールから言われた通りに約束の14時に街のはずれにある靴屋へと
足を運んだ。
靴のサイズ調整が終わり、迎えのいる場所へと向かうも誰もいない。
今までそんなことはなかったが、トイレにでも行っているのかと特に気にすることもなく
迎えの者が戻ってくるのを待っていた。
立っていると、若い男性が道を尋ねてきた。
どうやらこの先にある帽子屋へ行きたい様子だった。
この靴屋から帽子屋への道のりは僅かだったので、案内することにした。
この若い男性は別の国からやってきたらしく、この国について色々と知りたい
様子だった。
おしゃべりな男性と談笑しつつ、帽子屋を目指した。
男性を案内した後、迎えのいる場所へと戻ると、迎えの者も戻ってきていた。
どうやら迎えの者は幼い子供が迷子になっているのを見つけ、その子と一緒に親を探していたとの事だった。
今思えば、どちらもセシールの刺客だったのだ。
私達はまんまと騙されたのだ。
セシールが私が「若い男性と楽しそうに歩いていた。」
と言っていたが、どうやらこの証言を裏付けるために
わざわざセシールが他の国からこの男性を呼び寄せていたのだ。
全てはセシールの仕組んだ罠で、
私は最初から王家の嫁になど、なれないようになっていたのだ。
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