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王立貴族学院 一年目
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「シャルロット・ラぺーシュ、マリア・スリィズ、メアリ・モランゴ!」
室内に響く重々しい声と蔑むような失笑。
わたしとマリアとメアリはしょぼんと身を竦めるいつもの流れ。
オホホホホ、ただ今、黒髪をひっつめた眼鏡の貴婦人こと、礼儀マナーのシリンダ先生が指し棒片手に怒りを露わにしておりますわよ!
決意を新たに気を引き締めて大人しく擬態しているはずだったのに。
何の強制力なのか、願い虚しくあっさりとバレちゃったよ、エセ貴族ってことが!
それに伴い、いろいろと知ることになる事実が盛りだくさん。
でもってマリアとメアリの身の上もわたしと似たようなものってこともね。
入学式から1週間後、発端はマリアのミス。
それは礼儀マナーの初回授業、先生から令嬢の嗜みと称して一人ひとりのチェックを行なったことによる。
わたしたちは円状に並ばされ、輪の中で一歩前に出てからお辞儀をさせられることになったのだ。
否応なしに注目を浴びることになる地獄のような時間とか予測などできなかったし!
生粋のお嬢様方はそれはそれは滑らかな流れで綺麗なカーテシーとやらをこなしてた。
セレーヌさんは淑女のお手本というべき完璧な所作を見せ、他のご令嬢たちはそれに倣うかのように次々と披露して見せたわけ。
そこで初めてぎこちない仕草をしたマリアは流れを乱したと不審がられてしまった。
で、それに続いて王子の件で目を付けられていたメアリも不自然な所作をして見せた。
また流れを乱したと周りを腹立たせ、極めつけとして同じようにやらかしたのがこのわたし。
貴族教育が付け焼き刃の1年では頭に本を載せて落とさないようにするって体幹が不完全だったみたいでブレまくり。
幼い頃から基本として身に付けさせられる当たり前の所作をバランス悪くグラつくカーテシー披露。
怪しげな動きをして見せたわたしたち3人に違和感を覚えたご令嬢の視線は厳しかった。
不自然な仕草を訝しげ、スリィズ子爵家の家庭事情を知っていた誰かが探り始めたらしい。
マリアとソフィアさんが異母姉妹でどこで育ったのかということを。
まるで貴族としての雰囲気が感じられない要注意人物認定されたという訳で。
そこからわたしたちの共通点を見出そうとしたまた他の誰かがすぐに調べたみたいであっという間。
なんとメアリまでも暴かれ、それからすぐにわたしも暴露されてしまった。
僅か1か月足らずでエセ貴族だとあっさりバレてしまったあああああ!
だから礼儀作法もまともに出来ないのは当たり前の元平民だ、とおおおおお。
さすがは模擬社交界、ご令嬢内ではヒソヒソと噂され、知らないうちによそのクラスにも広がりを見せた。
もう誤魔化しようのない事実として知れ渡り、陰の有名人化としたらしい。
授業でも平民感が露呈して粗が目立つばかりでやたらと3人ともやり玉にされることが多くなって注目の的。
わたしの地味に目立たず騒がず大人しく計画はあっさり終了した。
そんな訳でマリアとはもともと顔見知りだったけど、自然とメアリとも親しくなっていたということで。
平民生活を送ってきた経験もあるから何となくしっくりくる部分もあったしね。
で、3人とも席も近いこともあり、既にクラスではエセ貴族のトリオとして認識されることになったよ。
……ってなにこの取って付けたような偶然感。
可愛らしい風貌で元平民の女の子って何なのさ!
何となく距離を取られ、クラスから完全に浮いた状態になってる3人組。
もう擬態することすら不可能な現状。受け入れるしかない。
エセ貴族同士、どうせなら仲良くなってやる! と開き直り、打ち解けることにした。
それに前々からヒロイン感を漂わせる二人のことをもっと知りたいとも思ったから。
さすがは元平民とあってすぐに気が合うこととなり、名前で呼び合うようにもなる。
そこで二人の事情を知った。もう完全にヒロインじゃん! と思ったのは言うまでもない。
マリアはソフィアさんより数カ月早く生まれた母親違いのスリィズ子爵の娘。
平民のお母さんと恋仲になったけど結婚に反対されて隠れるように身を引いてひっそりと二人で暮らしてたとか。
だけど子爵の方はずっとお母さんを捜していて見つけた時には既に他界。異母妹のいる子爵家に引き取られたのがちょうど1年前だったとか。
……何だか可哀そうなこの身の上の既視感よ。
メアリは商人上がりの男爵令嬢の娘。貧しくて苦労した家族と共に地道に真面目に商売をしてきて、高貴な方に気に入られ、強引にお墨付きにされたらしくちょうど1年前に爵位を貰ったとか。
……何この如何にも平民が無理やり貴族させられました感!
そしてわたし、パン屋の娘で火事で両親を亡くしたところにお母さんの父である伯爵家の祖父に引き取られる。
……ってどういう設定なんだよ。不幸な身の上からスターダムを駆け上がるとかシンデレラ?
二人とも同じくこの1年で貴族にさせられた強引感はただものじゃないよね?
室内に響く重々しい声と蔑むような失笑。
わたしとマリアとメアリはしょぼんと身を竦めるいつもの流れ。
オホホホホ、ただ今、黒髪をひっつめた眼鏡の貴婦人こと、礼儀マナーのシリンダ先生が指し棒片手に怒りを露わにしておりますわよ!
決意を新たに気を引き締めて大人しく擬態しているはずだったのに。
何の強制力なのか、願い虚しくあっさりとバレちゃったよ、エセ貴族ってことが!
それに伴い、いろいろと知ることになる事実が盛りだくさん。
でもってマリアとメアリの身の上もわたしと似たようなものってこともね。
入学式から1週間後、発端はマリアのミス。
それは礼儀マナーの初回授業、先生から令嬢の嗜みと称して一人ひとりのチェックを行なったことによる。
わたしたちは円状に並ばされ、輪の中で一歩前に出てからお辞儀をさせられることになったのだ。
否応なしに注目を浴びることになる地獄のような時間とか予測などできなかったし!
生粋のお嬢様方はそれはそれは滑らかな流れで綺麗なカーテシーとやらをこなしてた。
セレーヌさんは淑女のお手本というべき完璧な所作を見せ、他のご令嬢たちはそれに倣うかのように次々と披露して見せたわけ。
そこで初めてぎこちない仕草をしたマリアは流れを乱したと不審がられてしまった。
で、それに続いて王子の件で目を付けられていたメアリも不自然な所作をして見せた。
また流れを乱したと周りを腹立たせ、極めつけとして同じようにやらかしたのがこのわたし。
貴族教育が付け焼き刃の1年では頭に本を載せて落とさないようにするって体幹が不完全だったみたいでブレまくり。
幼い頃から基本として身に付けさせられる当たり前の所作をバランス悪くグラつくカーテシー披露。
怪しげな動きをして見せたわたしたち3人に違和感を覚えたご令嬢の視線は厳しかった。
不自然な仕草を訝しげ、スリィズ子爵家の家庭事情を知っていた誰かが探り始めたらしい。
マリアとソフィアさんが異母姉妹でどこで育ったのかということを。
まるで貴族としての雰囲気が感じられない要注意人物認定されたという訳で。
そこからわたしたちの共通点を見出そうとしたまた他の誰かがすぐに調べたみたいであっという間。
なんとメアリまでも暴かれ、それからすぐにわたしも暴露されてしまった。
僅か1か月足らずでエセ貴族だとあっさりバレてしまったあああああ!
だから礼儀作法もまともに出来ないのは当たり前の元平民だ、とおおおおお。
さすがは模擬社交界、ご令嬢内ではヒソヒソと噂され、知らないうちによそのクラスにも広がりを見せた。
もう誤魔化しようのない事実として知れ渡り、陰の有名人化としたらしい。
授業でも平民感が露呈して粗が目立つばかりでやたらと3人ともやり玉にされることが多くなって注目の的。
わたしの地味に目立たず騒がず大人しく計画はあっさり終了した。
そんな訳でマリアとはもともと顔見知りだったけど、自然とメアリとも親しくなっていたということで。
平民生活を送ってきた経験もあるから何となくしっくりくる部分もあったしね。
で、3人とも席も近いこともあり、既にクラスではエセ貴族のトリオとして認識されることになったよ。
……ってなにこの取って付けたような偶然感。
可愛らしい風貌で元平民の女の子って何なのさ!
何となく距離を取られ、クラスから完全に浮いた状態になってる3人組。
もう擬態することすら不可能な現状。受け入れるしかない。
エセ貴族同士、どうせなら仲良くなってやる! と開き直り、打ち解けることにした。
それに前々からヒロイン感を漂わせる二人のことをもっと知りたいとも思ったから。
さすがは元平民とあってすぐに気が合うこととなり、名前で呼び合うようにもなる。
そこで二人の事情を知った。もう完全にヒロインじゃん! と思ったのは言うまでもない。
マリアはソフィアさんより数カ月早く生まれた母親違いのスリィズ子爵の娘。
平民のお母さんと恋仲になったけど結婚に反対されて隠れるように身を引いてひっそりと二人で暮らしてたとか。
だけど子爵の方はずっとお母さんを捜していて見つけた時には既に他界。異母妹のいる子爵家に引き取られたのがちょうど1年前だったとか。
……何だか可哀そうなこの身の上の既視感よ。
メアリは商人上がりの男爵令嬢の娘。貧しくて苦労した家族と共に地道に真面目に商売をしてきて、高貴な方に気に入られ、強引にお墨付きにされたらしくちょうど1年前に爵位を貰ったとか。
……何この如何にも平民が無理やり貴族させられました感!
そしてわたし、パン屋の娘で火事で両親を亡くしたところにお母さんの父である伯爵家の祖父に引き取られる。
……ってどういう設定なんだよ。不幸な身の上からスターダムを駆け上がるとかシンデレラ?
二人とも同じくこの1年で貴族にさせられた強引感はただものじゃないよね?
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