3 / 34
王立貴族学院 一年目
3
しおりを挟む
決められた席に着くとホッと一息。廊下側、一番後ろの端っこの席でラッキー!
この席なら全体が見渡せるし、何かあった時に逃げやすいよね!
そんな風に思いながらも視線はさっきからある場所へ惹き付けられてる。
うん、絶対これは何か起こるようなクラス編成だよね。
……というのも教室への移動中からキラキラした人たちが目に入ってた。
このクラス、かねがねお噂の方々がいるっぽい。
わたしの席から斜め前方に視線を向ければ中央には妙にオーラを放つ大きな塊。
その中でも瑞々しい黄緑がかった金色の髪で見目麗しい姿のひと際キラキラした少年が目に映る。
同じ制服着てるのに仕立てが違うように見えるのは何故だろう?
うぉ~、あの神々しさは正に王子然としている。きっと彼が第二王子だろうよ。
オーラが違うっていうかこれだけ離れていてもとにかくかっこよさが伝わってくる。
あの男子が王子でなかったら誰が王子様かって!
そんな王子様に負けじと違った存在感をアピールする人。
その隣に座るこれまた赤みがかった銀色の髪をなびかせ、物凄い美人さんがいる。
座っているだけなのに姿勢が綺麗で妙な圧倒感がある。綺麗だけどなんか怖い。
どうして綺麗な人って黙っていると怖そうに見えちゃうかなぁ。
ま、実際に怖かったりもする場合もあるけどね。
あの男子が王子様であればおそらくこちらが婚約者様であろうご令嬢かな。
で、王子(仮)の横の席にいる濃い紫の髪を一つに纏めた銀縁を光らせた眼鏡男子。
きっちりと制服を着こなす清潔感のある真面目な雰囲気。クラス委員長とかやらされそうなタイプ。
優等生感を醸し出した利発そうな感じから攻略対象者感が溢れてる気がする。
そして王子(仮)の後ろにはとオレンジ色の髪を持つガタイの良い男子がいる。
制服を着ていても鍛えてるよと言わんばかりの筋肉質な身体つきが顕著だし。
オレ、体育会系ッス!的な反面、精悍な顔付きには隙がない。
防御感のあるその存在はう~ん、これまた攻略対象者っぽい感じがする。
ゲームでの定番的人員につい当てはめてしまうけど、皆も凛としていて存在感が半端ない。
キングマーク国の王子入学は間違いないのだし、他のクラスじゃないと思う。
悲しいことにこの国の王子の顔すら知らないわたし。
だけどそうじゃないかなと肌で感じてしまうのも無理はないと思う。
ホント、攻略対象者って空気感が滲み出ている。今のところ、確かめるすべはないけどね。
ちなみに今朝のマリアさんとソフィアさんも同じクラス。
ちょうど斜め前の席でちょっと嬉しい。目が合った時、ニコって微笑んだ顔も可愛かったし。
ソフィアさんはその隣の席でオーラグループに近い。ちょうどオレンジ髪男子の隣になる。
そうこうするうちに教室の扉が開き、男性が入ってきた。
「私はロバート・キルシェだ。このクラスの担当だ。よろしく頼む。それでは自己紹介をしてもらおう」
教壇の前にわたしたちを探してくれた先生が立っていた。
出会った時、担当って言ってたし、当たり前か。
それにしても一体、いくつぐらいなんだろうか。まだ若そうだけど、落ち着いた雰囲気を持ってるよなぁ。
こんなやんごとなさげな生徒のいる担当教員とか重責があり過ぎるでしょ。
それなのに堂々としていてちょっと尊敬する。
自己紹介が始まり、顔と名前を覚えようと集中する。
ここぞとばかりに確認できるチャンス到来ってやつだ。
予想はたてたものの、勘違いってこともある。まあ、ほぼ当たってるとは思うけど。
それにこれからの生活、関わらないように注意すべき人物には近寄らないようにしないと。
地味に目立たず、騒がず、大人しく。
オホホ、こう見えてエセ貴族なんですもの! 擬態して平穏なキャンパスライフを送らないと!
で、予想通り、キラキラ男子は第二王子確定だった訳でメラオン・キングマークと名のった。
やっぱりその婚約者だった美人はセレーヌ・フラーグム公爵令嬢。はは、上級貴族だね。
利発そうな眼鏡男子は宰相の息子のリック・ヴアインで、ガタイのいい男子は騎士団長の息子のカイン・ケラスム。将来、第二王子の側近ってことだよね?
って怖い怖い怖い怖い怖い。
傍観的に当てはめてはみたものの、普通はこんな偶然なんてありえない。
同じクラスに王子、宰相、騎士に、圧迫感のある婚約者令嬢だなんて悪役令嬢っぽい設定、見事ハマってるよね?
どう考えても妹のやってたゲーム設定にドンピシャだよ。
何のゲームか知らんけど、もう正に攻略対象者認定、確実じゃんか! 怖い、怖すぎる!!
ってことはわたしはヒロイン設定って考えても可笑しくないよね、多分。
いや、仮にそうだとしても擬態するんだった。参加予定のないゲームは始まるわけないんだし!
そう言い聞かせながらも重い気持ちは消えなかった。
この席なら全体が見渡せるし、何かあった時に逃げやすいよね!
そんな風に思いながらも視線はさっきからある場所へ惹き付けられてる。
うん、絶対これは何か起こるようなクラス編成だよね。
……というのも教室への移動中からキラキラした人たちが目に入ってた。
このクラス、かねがねお噂の方々がいるっぽい。
わたしの席から斜め前方に視線を向ければ中央には妙にオーラを放つ大きな塊。
その中でも瑞々しい黄緑がかった金色の髪で見目麗しい姿のひと際キラキラした少年が目に映る。
同じ制服着てるのに仕立てが違うように見えるのは何故だろう?
うぉ~、あの神々しさは正に王子然としている。きっと彼が第二王子だろうよ。
オーラが違うっていうかこれだけ離れていてもとにかくかっこよさが伝わってくる。
あの男子が王子でなかったら誰が王子様かって!
そんな王子様に負けじと違った存在感をアピールする人。
その隣に座るこれまた赤みがかった銀色の髪をなびかせ、物凄い美人さんがいる。
座っているだけなのに姿勢が綺麗で妙な圧倒感がある。綺麗だけどなんか怖い。
どうして綺麗な人って黙っていると怖そうに見えちゃうかなぁ。
ま、実際に怖かったりもする場合もあるけどね。
あの男子が王子様であればおそらくこちらが婚約者様であろうご令嬢かな。
で、王子(仮)の横の席にいる濃い紫の髪を一つに纏めた銀縁を光らせた眼鏡男子。
きっちりと制服を着こなす清潔感のある真面目な雰囲気。クラス委員長とかやらされそうなタイプ。
優等生感を醸し出した利発そうな感じから攻略対象者感が溢れてる気がする。
そして王子(仮)の後ろにはとオレンジ色の髪を持つガタイの良い男子がいる。
制服を着ていても鍛えてるよと言わんばかりの筋肉質な身体つきが顕著だし。
オレ、体育会系ッス!的な反面、精悍な顔付きには隙がない。
防御感のあるその存在はう~ん、これまた攻略対象者っぽい感じがする。
ゲームでの定番的人員につい当てはめてしまうけど、皆も凛としていて存在感が半端ない。
キングマーク国の王子入学は間違いないのだし、他のクラスじゃないと思う。
悲しいことにこの国の王子の顔すら知らないわたし。
だけどそうじゃないかなと肌で感じてしまうのも無理はないと思う。
ホント、攻略対象者って空気感が滲み出ている。今のところ、確かめるすべはないけどね。
ちなみに今朝のマリアさんとソフィアさんも同じクラス。
ちょうど斜め前の席でちょっと嬉しい。目が合った時、ニコって微笑んだ顔も可愛かったし。
ソフィアさんはその隣の席でオーラグループに近い。ちょうどオレンジ髪男子の隣になる。
そうこうするうちに教室の扉が開き、男性が入ってきた。
「私はロバート・キルシェだ。このクラスの担当だ。よろしく頼む。それでは自己紹介をしてもらおう」
教壇の前にわたしたちを探してくれた先生が立っていた。
出会った時、担当って言ってたし、当たり前か。
それにしても一体、いくつぐらいなんだろうか。まだ若そうだけど、落ち着いた雰囲気を持ってるよなぁ。
こんなやんごとなさげな生徒のいる担当教員とか重責があり過ぎるでしょ。
それなのに堂々としていてちょっと尊敬する。
自己紹介が始まり、顔と名前を覚えようと集中する。
ここぞとばかりに確認できるチャンス到来ってやつだ。
予想はたてたものの、勘違いってこともある。まあ、ほぼ当たってるとは思うけど。
それにこれからの生活、関わらないように注意すべき人物には近寄らないようにしないと。
地味に目立たず、騒がず、大人しく。
オホホ、こう見えてエセ貴族なんですもの! 擬態して平穏なキャンパスライフを送らないと!
で、予想通り、キラキラ男子は第二王子確定だった訳でメラオン・キングマークと名のった。
やっぱりその婚約者だった美人はセレーヌ・フラーグム公爵令嬢。はは、上級貴族だね。
利発そうな眼鏡男子は宰相の息子のリック・ヴアインで、ガタイのいい男子は騎士団長の息子のカイン・ケラスム。将来、第二王子の側近ってことだよね?
って怖い怖い怖い怖い怖い。
傍観的に当てはめてはみたものの、普通はこんな偶然なんてありえない。
同じクラスに王子、宰相、騎士に、圧迫感のある婚約者令嬢だなんて悪役令嬢っぽい設定、見事ハマってるよね?
どう考えても妹のやってたゲーム設定にドンピシャだよ。
何のゲームか知らんけど、もう正に攻略対象者認定、確実じゃんか! 怖い、怖すぎる!!
ってことはわたしはヒロイン設定って考えても可笑しくないよね、多分。
いや、仮にそうだとしても擬態するんだった。参加予定のないゲームは始まるわけないんだし!
そう言い聞かせながらも重い気持ちは消えなかった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

もう尽くして耐えるのは辞めます!!
月居 結深
恋愛
国のために決められた婚約者。私は彼のことが好きだったけど、彼が恋したのは第二皇女殿下。振り向いて欲しくて努力したけど、無駄だったみたい。
婚約者に蔑ろにされて、それを令嬢達に蔑まれて。もう耐えられない。私は我慢してきた。国のため、身を粉にしてきた。
こんなにも報われないのなら、自由になってもいいでしょう?
小説家になろうの方でも公開しています。
2024/08/27
なろうと合わせるために、ちょこちょこいじりました。大筋は変わっていません。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる