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魔王、実績解除する
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俺、魔王トラゴス・ビケット・オーデーが乙女ゲームの王子ジーヴル・ポエジーと恋人になって一か月後の話。
俺達はほぼ毎日デートを重ねてきた。
町でショッピングしたり、馬で野原まで遠駆けしたり、互いの寮室でのんびり過ごしたり。
ジーヴルは、欲しい物があれば買ってくれるし、やってほしいことはなんでもやってくれる。
何でも叶えてくれる溺愛彼氏と言えるだろう。
元々乙女ゲームの王子なのだから、恋愛スキルはまあ高い高い。
勇者と戦うために生まれてきた俺とは雲泥の差だ。
実は最初は、何でもしてもらって当たり前だと思っていた。
何故なら俺は最強の魔王なのだから、それにかしずくのは当然だろう?
しかし、だんだんある考えがよぎるようになっていたのだ。
俺はジーヴルに何かしてやらなくていいのか?
俺がジーヴルにしてやったことと言えば……決闘を持ちかけて迷惑をかけてやったことくらいか?
恋人としてそれは如何なものか!? と寮室で椅子に腰掛け一人悩んでいたその時であった。
「大切なことに気付いたようね」
女の声がした。
「誰だ!?」
声がした方を振り向き、少し見上げる。
赤い髪の女が、空中に浮かんで微笑んでいた。
「私は愛の女神シャルルよ。
トラゴス君、ステータスをご覧なさい」
この世界のシステムである女神は、信頼に値する存在だ。
大人しく従い、俺が念じると目の前にあらゆる物理法則を無視してステータス画面が表示された。
いつもは空腹度などのどうでもいいことしか書いていないステータスに、何か表示が増えている。
なになに……「恋人とやることリストハードモード」?
このリストに書いてあることを率先してやれば、ジーヴルに何かしてやれたことになるのか!?
俺の頭にはそんな名案が浮かんだ。
しかし。
「何故いきなりハードモードなのだ!」
「イージーとノーマルはジーヴル君のエスコートで全部こなしちゃってるじゃないの。
私から提案出来るのはこれだけよ」
シャルルからの容赦ない断言。
むう……。
ハードモードの項目は恋人繋ぎ、キス、一緒にお風呂、夜伽の四つか。
めちゃくちゃハードルが高い。
しかし、ジーヴルに恋人らしいことをしてやるならこれしか無い。
簡単なことはもう先を越されてしまっているのだから!
「じゃあ頑張るのよ、トラゴス君」
シャルルはそれだけ言い残して、掻き消えてしまった。
今日のデートは、ダンジョンへの素材集めであった。
行き先は俺の案……というか、どこに行きたいかと言われておねだりしただけだ。
そういうところだぞ、魔王トラゴス。
後の展開で挽回しなくては、またやってもらいっぱなしになってしまう。
しかし背中を預けあってモンスターと戦うなど、俺達らしくて良いデートだと思う。
暮れていく陽の中、二人でダンジョンの出入り口まで戻ってきた。
モンスターからドロップした素材を詰めた籠を提げたジーヴルが言う。
「明日は休みだし、今日は王城に泊まっていくか。ここからならその方が近い」
王城はジーヴルの実家だが、馬鹿みたいに広いのであまり気を遣わなくていい。
王も王妃も優しいので、居心地が良い。
俺にとっても楽な場所だ。
「うむ」
俺は相槌一つ打つと、ジーヴルの手を取り、さっと指と指を絡めた。
所謂恋人繋ぎの完成だ。
ジーヴルは少し目を瞠り、それから微笑むと歩き出した。
まずは一つ、実績解除出来ただろうか。
ジーヴルが喜んでくれていれば良いのだが……。
王城に迎えられ、俺達は早速ジーヴルの私室に向かう。
「汗をかいたな……風呂に入りたい」
俺はさりげなく呟いた。
風呂は私室の中に備え付けられている。
「お先にどうぞ」
そう言うジーヴルの肩を抱き、俺は耳元で囁いてやる。
cvベテラン声優なラスボス様の吐息の威力を喰らえ!
「一緒に入らないか? その方が長くジーヴルと居られるだろう」
「……ああ、ビケットがそう言うなら」
少し驚いた後、ジーヴルは笑顔で了承した。
ふふふ、この調子だ! なんだ、まるでRTAではないか!
あとはジーヴルとキ、キスして……夜伽をするだけ……だけ?
前言撤回! 難しいのはここからだ……。
一応夜伽の仕方などは書物で勉強してきたので、大丈夫だとは思う……多分。
「トラゴスの身体はどこもかしこも綺麗だな」
湯船の中で座ったまま、俺達は向かい合う。
ムード満点な沈黙の中、俺から切り出してやる。
「俺の肉体美を堪能することを特別に許す……!」
「本当か? 嬉しいよ」
すぐにジーヴルの右腕がするりと伸びてきて、俺の胸を触り、あえかな突起を弾いた。
「ふ……ぅん」
くすぐったさに身を捩る俺を凝視しながら、ジーヴルは俺の胸を撫で回し、突起を指先で摘み、押し潰した。
「ぁ……っ」
ジーヴルの手は腋、脇腹、骨盤を撫で下ろし、とうとう股間へと向かう。
俺は覚悟を決めた。
王子のわりに戦いで少し荒れた手が、俺の竿を包み込んだ。
俺は生物ですらない概念系の魔王だし、排泄の必要すらないから、そんなところ風呂で洗う以外に触る機会は無いわけで……!
時に握り込んで大胆に、時に細かく這うように、ジーヴルの手はなんともテクニカルに動く。
雁首の周りも擦られ、腰がびくびくと跳ねた。
「触るの、楽しいか?」
「ああ、とても……!」
恥ずかしすぎてジーヴルの方を全然見れていなかったが、よく見たらこいつもおっ勃てていた。
太くて長くて、湯よりも熱そうなもの。
「俺も触ってやる」
やってもらいっぱなしは良くないという本来の目的を思い出した俺は、ジーヴルの竿を握ってゆるゆると擦り始めた。
しかし俺のやり方が下手なのか、ジーヴルが強すぎるのか、ジーヴルは余裕綽々だ。
解せぬ。
もっとこちらから仕掛けていかねば。
例えば……そうだ、今がキスのタイミングではないか!
「ジーヴル、俺に口づける許可を出してやっても良いのだぞ……!」
「では許可を」
「ん、許す……」
柔らかな唇が触れ合い、二人にしか聞こえない程度の水音を立てた。
お上品なキスはすぐに終わり、ジーヴルの舌が俺の口の中に侵入してくる。
長い舌が器用に、俺の舌を絡め取って舐め上げた。
「ん、むぅっ……」
舌だけではない、陰茎同士も擦れている。
先端同士が触れ合い、硬度が勝るジーヴルの方が俺のものを押し潰す。
先走りだけがだらだらと流れ、湯に混ざっていく。
ジーヴルは顔を上げると、俺の顔を覗き込んできた。
「激しくしすぎたか」
「はあっ、はあ……苛烈なる魔王の初体験に、ふさわしい口づけであったぞ」
はい、強がりです。予想の何百倍も激しくて腰が砕けました。
「居てくれるだけでも嬉しいのに、どうして今日の君は私が喜ぶことばかりするんだ?
もう少しゆっくりリードしてあげようと思っていたのに……我慢出来ない」
湯から上がったジーヴルはバスローブを着ると、俺を抱え上げてバスタオルでわしわしと拭いてきた。
そしてベッドにダイブする。
ベッド中が、爽やかなサボンの香りで満たされる。
「ビケット。君をもっと深い所で可愛がらせてくれないだろうか」
俺を押し倒しながらジーヴルが言った。
「俺こそ、可愛がってやる」
俺がジーヴルの股間を撫でると、奴は少し困ったような笑みを浮かべながら、サイドボードから潤滑剤の瓶を取り出した。
準備の良いことだ。
この変態と思うよりも、スパダリ来たこれ……と思ってしまう俺は、かなりの重症と言えよう。
「君は消化管はあるが排泄が無いんだったな。
ではこのまま慣らすぞ」
「っ……!」
四つん這いにされたかと思うと、粘液を纏った中指と人差し指を後孔に突っ込まれる。
同時に、親指が尻尾の付け根をくすぐった。
正直、尻の穴なんぞに心地良い感触など無い。
だが尻尾の付け根は、丹念に弄られ続けると少しくるものがある。
尻尾が心地良いせいか、身体が勘違いして尻の奥まで疼くようだ。
尻尾を弄るのをやめたかと思えば、中で指をぐるんと回される。
「ぅああっ!」
……一瞬、頭が真っ白になった。
悦いところに当たった、というやつか……?
「ビケット」
指を抜かれ、仰向けに横たえられる。
「なるべく優しくする……」
自分に言い聞かせるように囁いて、ジーヴルは剛直を俺の尻のあわいにあてがった。
「あ……っ」
期待感で切ない声を漏らしてしまった俺の痴態をその目に収めながら、ジーヴルはゆっくり腰を進めた。
「うあっ、ああっ……!」
指とは比べものにならない質量に思わず腰が引けそうになるが、ジーヴルに腰骨を掴まれたために逃げられない。
「あっ、ああっ!やぁっ!」
容赦なく侵入してくるジーヴルの圧迫感で息が止まりそうになる。
皮膚がめりめりと広がって少し怖いが、慣らしたお陰で案外すんなり入るものなのだな。
むしろ、孔を広げられるのが心地良くすらある。
これは生理的な反応なのか、それともナカまでジーヴルに暴かれているという被征服感のせいなのか。
「はぁ……っ、あっ……」
もうこれ以上は入らないというところまで押し込んで、ジーヴルは一旦動きを止めた。
「半分くらい入ったが……大丈夫か?」
「は、半分」
その事実に軽く目眩を覚えた。
感覚としてはいっぱいいっぱいなのだが、まだ半分とは。
「まあ……痛くはないが」
むしろ、ちょっと腰がゾクゾクしている。
するとジーヴルは俺の反応を見ながら、ゆっくりと抽挿を始めた。
「ふぁっ、ああっ」
動き自体はゆっくりなのに、凶悪な形の雁首が内壁をこそげるせいで、身体がびくつく。
ジーヴルも俺の中で満足してくれている……筈だ。
少し眉を顰めて、しかしうっとりと俺を見つめている。
ジーヴルが俺を串刺しにしたまま、軽く腰を揺らす。
ああ、奥がジーヴルを受け入れようとふわふわに弛んできているのが自分でも分かる。
ずるり、と熱いものが俺の奥まで侵入してきた。
同時に、再び頭が真っ白になった。
今度は指で弄られていた時よりも強烈に意識が飛んだ。
尻尾がぶわっと毛羽立ち、脚は快感を逃そうと宙を彷徨う。
「~~~っ! あ、ぁ……」
硬い肉棒に前立腺をごりごり潰されている。
弱々しく喘ぐ俺に煽られたのか、ジーヴルは俺を正面から抱き締めると更に激しく俺を喰らい始めた。
艶かしい水音、肌と肌がぶつかる音が、耳まで犯してくる。
それに、高められたまま一度も達していない俺の陰茎が、ジーヴルの腹筋に擦れている。
裏筋まで余すことなく擦られているのに、決定的な刺激が無くてもどかしい!
ひときわ強く、ジーヴルが俺を抱き締めた。
同時に、ごちゅんっと最奥を突かれた。
「んおぉっ!?」
魔王なのにみっともない声を出して、全身が痙攣している俺。
全身とは勿論体内も含んでいる。
ジーヴルのものをきゅんきゅんと締め付け、その形を覚えようとしている。
同時に俺のものから勢いなく流れ出た白濁が、二人の腹を濡らした。
魔王だから射精自体初めてなのに、結腸をぶち抜かれたついでのようにだらだらと溢してしまうなんて……アブノーマルで、凄く興奮している……。
あっちもこっちも絶頂して、俺の性感帯は神経が剥き出しになったかのように敏感になっている。
それなのにジーヴルはより激しく腰を揺り動かすのだから、たまったものではない。
「あっ、ジーヴルっ、もっとゆっくりぃ!」
「意地悪を言うな。
俺ももう少しで、っ……」
ジーヴルは息を詰め、ほんのり赤らんだ顔で言った。
まるで俺に懇願するように。
ジーヴルも俺で感じてくれているのだな……。
ジーヴルは数度強く杭打ったかと思うと、俺の中に熱いものを注ぎ、満たす。
「ふぅっ、ふーっ……」
息を落ち着かせているジーヴルを、下からそっと抱き締める。
「ジーヴルに身を捧げられたことを、光栄に思ってやる……」
すると、ジーヴルは微笑んだ。
「ありがとう、俺のビケット」
人のために何かをするというのも悪くない。
相手が大好きな人なら尚更。
すると、枕元でばさっと音がした。
さっきまでは無かった筈のものが落ちている。
白い、布。
心当たりならある。
これは実績解除の報酬だ。
で、それが何かと言うと……白いベビードールだった。
「何だこれは」
立ち上がったジーヴルが布を拾い、不思議そうに首を傾げている。
「あー、多分愛の女神からのプレゼントではないか……」
どう説明していいか分からず、曖昧なことしか言えない。
するとジーヴルはベビードールを広げながら、俺に振り向いた。
「ふむ。君に似合いそうだな」
「あはは……ご冗談」
愛の女神からの贈り物が俺達の愛にスパイスをぶち込むのは、もう少し先の話。
俺達はほぼ毎日デートを重ねてきた。
町でショッピングしたり、馬で野原まで遠駆けしたり、互いの寮室でのんびり過ごしたり。
ジーヴルは、欲しい物があれば買ってくれるし、やってほしいことはなんでもやってくれる。
何でも叶えてくれる溺愛彼氏と言えるだろう。
元々乙女ゲームの王子なのだから、恋愛スキルはまあ高い高い。
勇者と戦うために生まれてきた俺とは雲泥の差だ。
実は最初は、何でもしてもらって当たり前だと思っていた。
何故なら俺は最強の魔王なのだから、それにかしずくのは当然だろう?
しかし、だんだんある考えがよぎるようになっていたのだ。
俺はジーヴルに何かしてやらなくていいのか?
俺がジーヴルにしてやったことと言えば……決闘を持ちかけて迷惑をかけてやったことくらいか?
恋人としてそれは如何なものか!? と寮室で椅子に腰掛け一人悩んでいたその時であった。
「大切なことに気付いたようね」
女の声がした。
「誰だ!?」
声がした方を振り向き、少し見上げる。
赤い髪の女が、空中に浮かんで微笑んでいた。
「私は愛の女神シャルルよ。
トラゴス君、ステータスをご覧なさい」
この世界のシステムである女神は、信頼に値する存在だ。
大人しく従い、俺が念じると目の前にあらゆる物理法則を無視してステータス画面が表示された。
いつもは空腹度などのどうでもいいことしか書いていないステータスに、何か表示が増えている。
なになに……「恋人とやることリストハードモード」?
このリストに書いてあることを率先してやれば、ジーヴルに何かしてやれたことになるのか!?
俺の頭にはそんな名案が浮かんだ。
しかし。
「何故いきなりハードモードなのだ!」
「イージーとノーマルはジーヴル君のエスコートで全部こなしちゃってるじゃないの。
私から提案出来るのはこれだけよ」
シャルルからの容赦ない断言。
むう……。
ハードモードの項目は恋人繋ぎ、キス、一緒にお風呂、夜伽の四つか。
めちゃくちゃハードルが高い。
しかし、ジーヴルに恋人らしいことをしてやるならこれしか無い。
簡単なことはもう先を越されてしまっているのだから!
「じゃあ頑張るのよ、トラゴス君」
シャルルはそれだけ言い残して、掻き消えてしまった。
今日のデートは、ダンジョンへの素材集めであった。
行き先は俺の案……というか、どこに行きたいかと言われておねだりしただけだ。
そういうところだぞ、魔王トラゴス。
後の展開で挽回しなくては、またやってもらいっぱなしになってしまう。
しかし背中を預けあってモンスターと戦うなど、俺達らしくて良いデートだと思う。
暮れていく陽の中、二人でダンジョンの出入り口まで戻ってきた。
モンスターからドロップした素材を詰めた籠を提げたジーヴルが言う。
「明日は休みだし、今日は王城に泊まっていくか。ここからならその方が近い」
王城はジーヴルの実家だが、馬鹿みたいに広いのであまり気を遣わなくていい。
王も王妃も優しいので、居心地が良い。
俺にとっても楽な場所だ。
「うむ」
俺は相槌一つ打つと、ジーヴルの手を取り、さっと指と指を絡めた。
所謂恋人繋ぎの完成だ。
ジーヴルは少し目を瞠り、それから微笑むと歩き出した。
まずは一つ、実績解除出来ただろうか。
ジーヴルが喜んでくれていれば良いのだが……。
王城に迎えられ、俺達は早速ジーヴルの私室に向かう。
「汗をかいたな……風呂に入りたい」
俺はさりげなく呟いた。
風呂は私室の中に備え付けられている。
「お先にどうぞ」
そう言うジーヴルの肩を抱き、俺は耳元で囁いてやる。
cvベテラン声優なラスボス様の吐息の威力を喰らえ!
「一緒に入らないか? その方が長くジーヴルと居られるだろう」
「……ああ、ビケットがそう言うなら」
少し驚いた後、ジーヴルは笑顔で了承した。
ふふふ、この調子だ! なんだ、まるでRTAではないか!
あとはジーヴルとキ、キスして……夜伽をするだけ……だけ?
前言撤回! 難しいのはここからだ……。
一応夜伽の仕方などは書物で勉強してきたので、大丈夫だとは思う……多分。
「トラゴスの身体はどこもかしこも綺麗だな」
湯船の中で座ったまま、俺達は向かい合う。
ムード満点な沈黙の中、俺から切り出してやる。
「俺の肉体美を堪能することを特別に許す……!」
「本当か? 嬉しいよ」
すぐにジーヴルの右腕がするりと伸びてきて、俺の胸を触り、あえかな突起を弾いた。
「ふ……ぅん」
くすぐったさに身を捩る俺を凝視しながら、ジーヴルは俺の胸を撫で回し、突起を指先で摘み、押し潰した。
「ぁ……っ」
ジーヴルの手は腋、脇腹、骨盤を撫で下ろし、とうとう股間へと向かう。
俺は覚悟を決めた。
王子のわりに戦いで少し荒れた手が、俺の竿を包み込んだ。
俺は生物ですらない概念系の魔王だし、排泄の必要すらないから、そんなところ風呂で洗う以外に触る機会は無いわけで……!
時に握り込んで大胆に、時に細かく這うように、ジーヴルの手はなんともテクニカルに動く。
雁首の周りも擦られ、腰がびくびくと跳ねた。
「触るの、楽しいか?」
「ああ、とても……!」
恥ずかしすぎてジーヴルの方を全然見れていなかったが、よく見たらこいつもおっ勃てていた。
太くて長くて、湯よりも熱そうなもの。
「俺も触ってやる」
やってもらいっぱなしは良くないという本来の目的を思い出した俺は、ジーヴルの竿を握ってゆるゆると擦り始めた。
しかし俺のやり方が下手なのか、ジーヴルが強すぎるのか、ジーヴルは余裕綽々だ。
解せぬ。
もっとこちらから仕掛けていかねば。
例えば……そうだ、今がキスのタイミングではないか!
「ジーヴル、俺に口づける許可を出してやっても良いのだぞ……!」
「では許可を」
「ん、許す……」
柔らかな唇が触れ合い、二人にしか聞こえない程度の水音を立てた。
お上品なキスはすぐに終わり、ジーヴルの舌が俺の口の中に侵入してくる。
長い舌が器用に、俺の舌を絡め取って舐め上げた。
「ん、むぅっ……」
舌だけではない、陰茎同士も擦れている。
先端同士が触れ合い、硬度が勝るジーヴルの方が俺のものを押し潰す。
先走りだけがだらだらと流れ、湯に混ざっていく。
ジーヴルは顔を上げると、俺の顔を覗き込んできた。
「激しくしすぎたか」
「はあっ、はあ……苛烈なる魔王の初体験に、ふさわしい口づけであったぞ」
はい、強がりです。予想の何百倍も激しくて腰が砕けました。
「居てくれるだけでも嬉しいのに、どうして今日の君は私が喜ぶことばかりするんだ?
もう少しゆっくりリードしてあげようと思っていたのに……我慢出来ない」
湯から上がったジーヴルはバスローブを着ると、俺を抱え上げてバスタオルでわしわしと拭いてきた。
そしてベッドにダイブする。
ベッド中が、爽やかなサボンの香りで満たされる。
「ビケット。君をもっと深い所で可愛がらせてくれないだろうか」
俺を押し倒しながらジーヴルが言った。
「俺こそ、可愛がってやる」
俺がジーヴルの股間を撫でると、奴は少し困ったような笑みを浮かべながら、サイドボードから潤滑剤の瓶を取り出した。
準備の良いことだ。
この変態と思うよりも、スパダリ来たこれ……と思ってしまう俺は、かなりの重症と言えよう。
「君は消化管はあるが排泄が無いんだったな。
ではこのまま慣らすぞ」
「っ……!」
四つん這いにされたかと思うと、粘液を纏った中指と人差し指を後孔に突っ込まれる。
同時に、親指が尻尾の付け根をくすぐった。
正直、尻の穴なんぞに心地良い感触など無い。
だが尻尾の付け根は、丹念に弄られ続けると少しくるものがある。
尻尾が心地良いせいか、身体が勘違いして尻の奥まで疼くようだ。
尻尾を弄るのをやめたかと思えば、中で指をぐるんと回される。
「ぅああっ!」
……一瞬、頭が真っ白になった。
悦いところに当たった、というやつか……?
「ビケット」
指を抜かれ、仰向けに横たえられる。
「なるべく優しくする……」
自分に言い聞かせるように囁いて、ジーヴルは剛直を俺の尻のあわいにあてがった。
「あ……っ」
期待感で切ない声を漏らしてしまった俺の痴態をその目に収めながら、ジーヴルはゆっくり腰を進めた。
「うあっ、ああっ……!」
指とは比べものにならない質量に思わず腰が引けそうになるが、ジーヴルに腰骨を掴まれたために逃げられない。
「あっ、ああっ!やぁっ!」
容赦なく侵入してくるジーヴルの圧迫感で息が止まりそうになる。
皮膚がめりめりと広がって少し怖いが、慣らしたお陰で案外すんなり入るものなのだな。
むしろ、孔を広げられるのが心地良くすらある。
これは生理的な反応なのか、それともナカまでジーヴルに暴かれているという被征服感のせいなのか。
「はぁ……っ、あっ……」
もうこれ以上は入らないというところまで押し込んで、ジーヴルは一旦動きを止めた。
「半分くらい入ったが……大丈夫か?」
「は、半分」
その事実に軽く目眩を覚えた。
感覚としてはいっぱいいっぱいなのだが、まだ半分とは。
「まあ……痛くはないが」
むしろ、ちょっと腰がゾクゾクしている。
するとジーヴルは俺の反応を見ながら、ゆっくりと抽挿を始めた。
「ふぁっ、ああっ」
動き自体はゆっくりなのに、凶悪な形の雁首が内壁をこそげるせいで、身体がびくつく。
ジーヴルも俺の中で満足してくれている……筈だ。
少し眉を顰めて、しかしうっとりと俺を見つめている。
ジーヴルが俺を串刺しにしたまま、軽く腰を揺らす。
ああ、奥がジーヴルを受け入れようとふわふわに弛んできているのが自分でも分かる。
ずるり、と熱いものが俺の奥まで侵入してきた。
同時に、再び頭が真っ白になった。
今度は指で弄られていた時よりも強烈に意識が飛んだ。
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「~~~っ! あ、ぁ……」
硬い肉棒に前立腺をごりごり潰されている。
弱々しく喘ぐ俺に煽られたのか、ジーヴルは俺を正面から抱き締めると更に激しく俺を喰らい始めた。
艶かしい水音、肌と肌がぶつかる音が、耳まで犯してくる。
それに、高められたまま一度も達していない俺の陰茎が、ジーヴルの腹筋に擦れている。
裏筋まで余すことなく擦られているのに、決定的な刺激が無くてもどかしい!
ひときわ強く、ジーヴルが俺を抱き締めた。
同時に、ごちゅんっと最奥を突かれた。
「んおぉっ!?」
魔王なのにみっともない声を出して、全身が痙攣している俺。
全身とは勿論体内も含んでいる。
ジーヴルのものをきゅんきゅんと締め付け、その形を覚えようとしている。
同時に俺のものから勢いなく流れ出た白濁が、二人の腹を濡らした。
魔王だから射精自体初めてなのに、結腸をぶち抜かれたついでのようにだらだらと溢してしまうなんて……アブノーマルで、凄く興奮している……。
あっちもこっちも絶頂して、俺の性感帯は神経が剥き出しになったかのように敏感になっている。
それなのにジーヴルはより激しく腰を揺り動かすのだから、たまったものではない。
「あっ、ジーヴルっ、もっとゆっくりぃ!」
「意地悪を言うな。
俺ももう少しで、っ……」
ジーヴルは息を詰め、ほんのり赤らんだ顔で言った。
まるで俺に懇願するように。
ジーヴルも俺で感じてくれているのだな……。
ジーヴルは数度強く杭打ったかと思うと、俺の中に熱いものを注ぎ、満たす。
「ふぅっ、ふーっ……」
息を落ち着かせているジーヴルを、下からそっと抱き締める。
「ジーヴルに身を捧げられたことを、光栄に思ってやる……」
すると、ジーヴルは微笑んだ。
「ありがとう、俺のビケット」
人のために何かをするというのも悪くない。
相手が大好きな人なら尚更。
すると、枕元でばさっと音がした。
さっきまでは無かった筈のものが落ちている。
白い、布。
心当たりならある。
これは実績解除の報酬だ。
で、それが何かと言うと……白いベビードールだった。
「何だこれは」
立ち上がったジーヴルが布を拾い、不思議そうに首を傾げている。
「あー、多分愛の女神からのプレゼントではないか……」
どう説明していいか分からず、曖昧なことしか言えない。
するとジーヴルはベビードールを広げながら、俺に振り向いた。
「ふむ。君に似合いそうだな」
「あはは……ご冗談」
愛の女神からの贈り物が俺達の愛にスパイスをぶち込むのは、もう少し先の話。
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