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第二部

第十二話

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「この三つの依頼を受けてきたから、誰がどれを受けるか決めよう」



 冒険者ギルドは入ってすぐのスペースは酒場となっている。奥に受付があり、横の壁の掲示板に依頼の張り紙が張り出されている。二階にはギルドマスター室や資料室、応接室などがある。



 まあ皆が想像するオーソドックスなギルド内装だ。ウーフンの支部を含めた全ての支部がこういった造りであり、王都総本部はこれを豪勢にした様なものらしい。

 俺は王都には行ったことないのだ。



 酒場にて昼間から飲み交わす俺たちの前に、依頼の紙を三枚持ってきた我がパーティのリーダー『チーン・サーン』は気まずそうに笑う。



 数日前に行われた大乱交。

 俺は媚薬の効果が強すぎて、中に入ってからの記憶がない。



 まあいつか覚えている奴が、詳細を語ってくれるだろう。



 若干覚えているらしいチーンは、とてもぎこちない。



「――見せてー」



 副リーダーの痴女みたいな恰好の、赤髪爆乳魔法使い『マンビーラ・スーラ』は紙を受け取る。



 女性陣は皆記憶がはっきりしているみたいだが、平然としていた。

 こいつらからしてみたら好きな男とヤれたから、結果オーライなのだろう。









難易度――☆



報酬――9000G



募集人数――1人



内容――絵のモデル。スタイルの良い女性。



依頼者――エオカクン・ラタイヲ



備考――格好によって増額あり。







難易度――☆☆



報酬――16000G



募集人数――最低3人



内容――王都までの護衛。道中馬車で三日。



依頼者――オナホル商会



備考――最近ヤライカ盗賊団が王都までの街道に出没中。









難易度――☆☆



報酬――2000G~



募集人数――1人~



内容――ウーフン北東の森にオークを確認した。討伐せよ。



依頼者――冒険者ギルド・ウーフン支部



備考――一体につき2000G。





「……まあ最初の依頼以外は分かるけどー、モデルは私たちがやる必要ある?」



 マンビーラはモデルの依頼の紙を片手でヒラヒラ揺らし、チーンに不満をあらわにする。



 彼女の気持ちは分からなくもない。

 難易度の星マークは多いほど高難易度だ。この星マークは魔物の強さ、指名手配犯の強さ、ダンジョンの難易度にも用いられる。



 基本的に☆一個は五等級や四等級がやる難易度だ。



☆――五等級~四等級向け。冒険者でなくとも対処可能。



☆☆――四等級~三等級向け。冒険者としての経験や実力の高さが求められる。



☆☆☆――二等級が一人は必須。支部のエース格。最悪支部総出で対処。



☆☆☆☆――一等級が一人は必須。いない支部は本部に救援。町民の避難も想定。



☆☆☆☆☆――一等級のみ複数で挑む。災害級。



☆☆☆☆☆☆――全人類で対処必須。世界の危機。



 とまあこんな感じである。ちなみに1G=十円くらいと考えてもらっていい。



「まあそうなんだけどさ、もうすぐ丁稚も昇格でしょ?」



「……もうそんなに経ってたのね。こいつがいてもいなくても変わらないから意識してなかったわ」



 薄紫の姫カット、二言目に煽るデカ尻貧乳の『ビラカケニマン・コージュッポ』の一言は俺にグサッと突き刺さる。

 お前もうオナニー手伝わないからな。



 五等級は冒険者一年間のを指す。この間にある程度の依頼をこなすことにより、昇格試験が受けられる。依頼をサボっていたりしたら冒険者不適切判断で、ライセンスが取り消しとなる。



 冒険者の六割が四等級で止まり、選ばれし実力者が三等級に上がれる。

 二等級に至っては王都の総本部で試験を受けるらしい。俺が入った時点では既にチーンは二等級だったので、王都に行った時のことは知らないが。



 一等級は世界有数の実力者の証明であり、一等級の数がその国の戦力の測りとなる。

 数十人しかいない一等級。わが国には十八人もいるらしい。



 冒険者だけが実力者では無いので、冒険者以外の者は☆で表されたりする。

 うちの臨時? メンバーのクールも一等級と同等の評価を貰っている。というかあいつは間違いなくここら辺では最強の実力者だろう。

 実力だけは……。



「私はあと三か月くらいありますね! 早く皆様に並びたいです」



 両手を合わせ、輝く聖女スマイルで皆を照らすのは『イーヤン・マーラ』である。金髪の全身にぴっちり張り付いた黒いタイツ姿の、一応の常識人。



「丁稚って半ば寄生プレイで昇格だよねー」



 冗談と分かる程度に煽って笑うのは、黒髪の露出度高めの軽装の盗賊『ナトリ・ネトラレ』だ。

 不満そうに睨めば、頬を指で突っついてくる。



「あら、居たのね。存在感が希薄だから気づかなかったわ」



 俺を無視すること一年のダークエルフ『ビンカーン・ダーク』は興味なさそうに酒を飲む。

 こんなに俺に興味ないくせに、ストレスが溜まれば逆セクハラしてくるのだ。



「まあそんな訳だから、分担しようか」



「ちなみにチーンさん的にはどう振り分けるのかしら?」



 可愛らしく小さい顔を傾け、身長に不釣り合いの爆乳を揺らす金髪縦巻きロール『マーキ・パコル』はチーンに問いかける。

 可愛いのは本当なんだがなー。



「護衛のほうは経験値も礼儀も必要だし俺とマンビーラは必要だと思う。オーク討伐は数日森に泊まり込むことになると思うから、丁稚に荷物を持ってもらった方がいいだろう。モデルは……うーん」



 このスタイルの良い女性ってのがキモだな。

 そもそもそれは何を指すのだ?



 一部の男性にのみクリティカルのロリボディーのナトリや、良く言えばトランジスタグラマー、悪く言えばバランスの悪い身体付きのマーキ、太っている訳では無いがムチムチのビンカーンは今回のスタイルが良い女性には該当しないだろう。



 今回の場合は身長がそこそこ高く、胸や尻が大きく腰が細いマンビーラやクールみたいなのを指すのか、高身長であまり出っ張った所がなくスレンダーな、いわゆるモデル体型と呼ばれるのを指すのか。



 まあモデル体型の奴なんてうちのパーティに居ないんだけどね。



「でしたら私がモデルに立候補しますね」



 優しき聖女イーヤンが手を上げる。

 こいつ、露出したいだけでは?



 俺は知っているんだ。モデル募集? いかにもエロ同人RPGに出てきそうな依頼やんけ。

 ぜひ付いていきたいが、無理だろうな。



 あっ、ちなみにクールは今居ませんよ。

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