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プロローグ
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「死ねよデブ! いつもいつも邪魔しやがって」
夕焼けの淡く焦がす光が包む中学の教室で、三人の学生がいつもの調子で青春を謳歌していた。
三人の中で唯一の女性である明るい茶髪のショートヘア―な超ド級の美少女は、自分の腰に抱き着きお尻に顔を当てスリスリしている豚の様な男に怒鳴る。
「そんな酷いこと言わんといてー、パイを揉みますぞよ~」
お尻を顔面で触れながら胸まで揉もうとする卑しき豚。
黒髪をセンター分けにし、分厚いレンズの眼鏡をかけた太った学ランの男は醜く笑う。彼のセクハラは今日に限った話では無い。
「キモイ!」
まあ、まあ――と宥める優しそうなイケメンの男を振り切り、美少女は腰に抱き着く豚を殴った。
セーラー服の上から分かる大きい胸は衝撃で揺れ、短めに穿いたスカートがハラりと捲れパンチラをした。
「ゲフっ――はっ!」
殴られた豚は教室の壁に後頭部を打った。その衝撃で過去十四年半の人生の記憶とは違う、二十八年も生きた記憶が流れ込んできた。そう、思い出したのだ。
(ここは――あの――ギャルゲーの――)
壁にもたれ掛かりながら辺りを見渡す。掃除用具が入ったロッカーに付いた鏡を見る。そこに映るの豚の様に太った眼鏡の男。
そう――あのギャルゲーにおいて主人公の親友にして、お邪魔虫キャラ。各ヒロインに対するセクハラ、主人公への嫌がらせ、時に敵勢力に加担し、時に裏切る。最悪なのはヒロインを〇〇〇疑惑である。実際に描写された訳でもなくイベントやヒロインたちの態度による考察の域を出ないが。
教室の後方、最後尾の席と生徒のロッカーの間でこちらを睨む女性。間違いなくあのギャルゲーの幼馴染(元)ヒロインポジのキャラだ。
二役成美――この豚が中学一年のころに同じクラスになり出会ったキャラだ。当時は黒髪を長く伸ばして清楚な娘だった。が、豚がプールの授業中に彼女の下着を盗んだことから全てが始まった。彼女は仕方なくノーパンで教室に戻ったのだが、豚は何とスカートを思いっきり捲ったのだ。クラス中に下半身を露出した彼女はそのままイジメられることになった。
一か月後、イジメはエスカレートするかと思いきや彼女は豹変した。髪を染め短くし、制服を着崩し不良の様な姿のなったのだ。驚愕するクラスメートを他所に、彼女は豚に詰め寄りボコボコにした。それ以来彼女がイジメられることは無くなった。そして学年が上がり豚の幼馴染の主人公と出会い、三人でつるむ様になる。
何故幼馴染(元)かと言うと、最初は彼女は幼馴染キャラと紹介されていた。発売前のPVやオープニングアニメーションのところにも幼馴染と記載されていた。しかし発売されてしばらくし、多くのプレイヤーたちが疑問を呈してきた――中学からの付き合いを幼馴染って言うの? と。確かに大人になれば中学から仲の良い者は幼馴染で通じるだろう、しかしこのゲームは高校入学から始まる。つまり二年ちょっとしか付き合いが無いのだ。キャラ属性詐欺だろ、とクレームが来た彼女はアップデートで中学の同級生に属性変更されたのだ。――哀れ。
そんな清楚と不良の二面性を持った、一度に二度おいしい彼女の横に居るのがギャルゲーの主人公その人である。
黒崎正義――ギャルゲー史上最高傑作と名高いこのゲームの主人公。黒い髪を適度にワックスで遊ばせ、目じりの下がった優しい笑みを常に浮かべる気配り長身イケメン主人公。勉強してないのに学年トップの成績、部活に入らずとも学年トップの運動神経、空気の読めまくる気配り上手な性格。非の打ちどころが無さすぎる完璧超人、それ故に最初の方(共通ルート)まではプレイヤーに嫌われていた。しかし個別ルートに入ると打って変わって過去のトラウマ、ヒロインとのやり取りや敵に対する漢らしき戦いっぷりで逆に人気になった。
この世界で生きた記憶も持ち合わせる俺は当然知っている。俺たち三人はこうやって成美が正義にアプローチをかけ、俺がセクハラをしてうやむやにする。そんな日常をなんだかんだ言って楽しんでいた。こんな日々が高校に行っても続くだろう、この時は三人ともそう思っていた。が、このギャルゲーはそんな生易しいものでは無い。
(こ、このゲーム……全ルートで豚(俺)は死ぬじゃねーか!)
一身にヘイトを集めるために存在するキャラが俺だ。俺は主人公たちを邪魔するために存在し、俺を殺すことによりそのルートのハッピーエンドに向かえるのだ。俺を放置しておくとバッドルートに行ってしまう。そっちに行っても結局俺は死ぬが……。
最早一刻の猶予も無かった。
(こ、こんなところで死ねるかよ!)
「ちょ――どこ行くんだー! おーい! 殴ったのを怒ってるのか!?」
「トンジ?――トンジー!!」
俺は教室を出て走り出す。後ろからは二人の声が聞こえるが無視だ無視。
ルートに入ったら俺は間違いなく死ぬ、ならば入らなければいい。
中学校を出た俺は街の大通りに出た。この時間、人だかりができた歩道の上で俺は狙いを定めた。
(ターゲットは――あの老人にしよう!)
数十メートル先を歩く老人目掛け、俺は走り出す。近づいてくると俺は飛び上がる。ドロップキック、それを老人の背中目掛けぶちかまそうとした。
これで暴力行為により俺は少年院行となるだろう。だが死ぬよりはマシだ!
スローモーションを感じながら徐々に老人との距離が縮まる。足の先があと一メートルにまで迫った瞬間――何故か割り込んできた覆面の男の頭に俺のドロップキックが炸裂した。
「――プギャ!」
「ファ!?」
夕焼けの淡く焦がす光が包む中学の教室で、三人の学生がいつもの調子で青春を謳歌していた。
三人の中で唯一の女性である明るい茶髪のショートヘア―な超ド級の美少女は、自分の腰に抱き着きお尻に顔を当てスリスリしている豚の様な男に怒鳴る。
「そんな酷いこと言わんといてー、パイを揉みますぞよ~」
お尻を顔面で触れながら胸まで揉もうとする卑しき豚。
黒髪をセンター分けにし、分厚いレンズの眼鏡をかけた太った学ランの男は醜く笑う。彼のセクハラは今日に限った話では無い。
「キモイ!」
まあ、まあ――と宥める優しそうなイケメンの男を振り切り、美少女は腰に抱き着く豚を殴った。
セーラー服の上から分かる大きい胸は衝撃で揺れ、短めに穿いたスカートがハラりと捲れパンチラをした。
「ゲフっ――はっ!」
殴られた豚は教室の壁に後頭部を打った。その衝撃で過去十四年半の人生の記憶とは違う、二十八年も生きた記憶が流れ込んできた。そう、思い出したのだ。
(ここは――あの――ギャルゲーの――)
壁にもたれ掛かりながら辺りを見渡す。掃除用具が入ったロッカーに付いた鏡を見る。そこに映るの豚の様に太った眼鏡の男。
そう――あのギャルゲーにおいて主人公の親友にして、お邪魔虫キャラ。各ヒロインに対するセクハラ、主人公への嫌がらせ、時に敵勢力に加担し、時に裏切る。最悪なのはヒロインを〇〇〇疑惑である。実際に描写された訳でもなくイベントやヒロインたちの態度による考察の域を出ないが。
教室の後方、最後尾の席と生徒のロッカーの間でこちらを睨む女性。間違いなくあのギャルゲーの幼馴染(元)ヒロインポジのキャラだ。
二役成美――この豚が中学一年のころに同じクラスになり出会ったキャラだ。当時は黒髪を長く伸ばして清楚な娘だった。が、豚がプールの授業中に彼女の下着を盗んだことから全てが始まった。彼女は仕方なくノーパンで教室に戻ったのだが、豚は何とスカートを思いっきり捲ったのだ。クラス中に下半身を露出した彼女はそのままイジメられることになった。
一か月後、イジメはエスカレートするかと思いきや彼女は豹変した。髪を染め短くし、制服を着崩し不良の様な姿のなったのだ。驚愕するクラスメートを他所に、彼女は豚に詰め寄りボコボコにした。それ以来彼女がイジメられることは無くなった。そして学年が上がり豚の幼馴染の主人公と出会い、三人でつるむ様になる。
何故幼馴染(元)かと言うと、最初は彼女は幼馴染キャラと紹介されていた。発売前のPVやオープニングアニメーションのところにも幼馴染と記載されていた。しかし発売されてしばらくし、多くのプレイヤーたちが疑問を呈してきた――中学からの付き合いを幼馴染って言うの? と。確かに大人になれば中学から仲の良い者は幼馴染で通じるだろう、しかしこのゲームは高校入学から始まる。つまり二年ちょっとしか付き合いが無いのだ。キャラ属性詐欺だろ、とクレームが来た彼女はアップデートで中学の同級生に属性変更されたのだ。――哀れ。
そんな清楚と不良の二面性を持った、一度に二度おいしい彼女の横に居るのがギャルゲーの主人公その人である。
黒崎正義――ギャルゲー史上最高傑作と名高いこのゲームの主人公。黒い髪を適度にワックスで遊ばせ、目じりの下がった優しい笑みを常に浮かべる気配り長身イケメン主人公。勉強してないのに学年トップの成績、部活に入らずとも学年トップの運動神経、空気の読めまくる気配り上手な性格。非の打ちどころが無さすぎる完璧超人、それ故に最初の方(共通ルート)まではプレイヤーに嫌われていた。しかし個別ルートに入ると打って変わって過去のトラウマ、ヒロインとのやり取りや敵に対する漢らしき戦いっぷりで逆に人気になった。
この世界で生きた記憶も持ち合わせる俺は当然知っている。俺たち三人はこうやって成美が正義にアプローチをかけ、俺がセクハラをしてうやむやにする。そんな日常をなんだかんだ言って楽しんでいた。こんな日々が高校に行っても続くだろう、この時は三人ともそう思っていた。が、このギャルゲーはそんな生易しいものでは無い。
(こ、このゲーム……全ルートで豚(俺)は死ぬじゃねーか!)
一身にヘイトを集めるために存在するキャラが俺だ。俺は主人公たちを邪魔するために存在し、俺を殺すことによりそのルートのハッピーエンドに向かえるのだ。俺を放置しておくとバッドルートに行ってしまう。そっちに行っても結局俺は死ぬが……。
最早一刻の猶予も無かった。
(こ、こんなところで死ねるかよ!)
「ちょ――どこ行くんだー! おーい! 殴ったのを怒ってるのか!?」
「トンジ?――トンジー!!」
俺は教室を出て走り出す。後ろからは二人の声が聞こえるが無視だ無視。
ルートに入ったら俺は間違いなく死ぬ、ならば入らなければいい。
中学校を出た俺は街の大通りに出た。この時間、人だかりができた歩道の上で俺は狙いを定めた。
(ターゲットは――あの老人にしよう!)
数十メートル先を歩く老人目掛け、俺は走り出す。近づいてくると俺は飛び上がる。ドロップキック、それを老人の背中目掛けぶちかまそうとした。
これで暴力行為により俺は少年院行となるだろう。だが死ぬよりはマシだ!
スローモーションを感じながら徐々に老人との距離が縮まる。足の先があと一メートルにまで迫った瞬間――何故か割り込んできた覆面の男の頭に俺のドロップキックが炸裂した。
「――プギャ!」
「ファ!?」
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