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火神 翔華。
小さな悪夢。
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ふわふわと天井に視線を彷徨わせる。
何もする気が起きない。
寝ようと思っても、寝すぎで頭が痛くなってしまったのでこれ以上は寝たくなかった。
麗には体調不良と言って闇狩りを休ませて貰っている。
ぼーっとする頭で考える。
…僕には生きてる意味があるのだろうか。
ヒーローになったところで人から感謝される訳では無い。
僕だって普通の生活をしていた時はヒーローの存在なんて気づいたりしなかった。
それなら、このまま、誰にも迷惑をかけないまま…息の根を、止めて欲しい。
もしも生まれ変わって気の強い子になれたなら。
自分の言いたいことも言えて。
嫌なことも断れて。
きっと友達だってたくさんできたんだろうな。
ネガティブ思考はヒーローになっても結局変わることはないらしい。
はっと目が覚める。
どうやら知らないうちに寝てしまったようだ。
煙たい空気。熱い熱気。嫌な予感。
…焦げた匂いがする。
目の前に広がる火の海。
寝ぼけた目でもハッキリと分かるそれは、紛れもない火事だった。
驚きすぎて逃げるどころか後ずさりしかできない。
息苦しくなり咳き込む。
逃げなきゃ。窓から…
ベットから降りようとしてふと、眠る前の考えが頭をよぎる。
「…息の根を、止めて欲しい。」
つぅっと涙が流れる。
神様は願いを叶えてくれた。
それと同時に、僕を…見捨てたのだ。
「もう少し、友達が欲しかったなぁ。」
自分から、火の海に入る。
とっても勇気がいるし、普通に辛いし。
だけど。自分が焼け死ぬのを待つなんてそっちの方が苦しく感じて。
最後くらい、自分から行動したくて。
未練ばかりの人生で、それでも、少しだけ救われた気がした。
心臓の、奥の、名前も知らない部分。
音を立てて黒く青い不思議な液体が出てくる。
痛みはもう居ないな。もう、戻れない。
溢れ出したのは「後悔」の色。
何もする気が起きない。
寝ようと思っても、寝すぎで頭が痛くなってしまったのでこれ以上は寝たくなかった。
麗には体調不良と言って闇狩りを休ませて貰っている。
ぼーっとする頭で考える。
…僕には生きてる意味があるのだろうか。
ヒーローになったところで人から感謝される訳では無い。
僕だって普通の生活をしていた時はヒーローの存在なんて気づいたりしなかった。
それなら、このまま、誰にも迷惑をかけないまま…息の根を、止めて欲しい。
もしも生まれ変わって気の強い子になれたなら。
自分の言いたいことも言えて。
嫌なことも断れて。
きっと友達だってたくさんできたんだろうな。
ネガティブ思考はヒーローになっても結局変わることはないらしい。
はっと目が覚める。
どうやら知らないうちに寝てしまったようだ。
煙たい空気。熱い熱気。嫌な予感。
…焦げた匂いがする。
目の前に広がる火の海。
寝ぼけた目でもハッキリと分かるそれは、紛れもない火事だった。
驚きすぎて逃げるどころか後ずさりしかできない。
息苦しくなり咳き込む。
逃げなきゃ。窓から…
ベットから降りようとしてふと、眠る前の考えが頭をよぎる。
「…息の根を、止めて欲しい。」
つぅっと涙が流れる。
神様は願いを叶えてくれた。
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「もう少し、友達が欲しかったなぁ。」
自分から、火の海に入る。
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だけど。自分が焼け死ぬのを待つなんてそっちの方が苦しく感じて。
最後くらい、自分から行動したくて。
未練ばかりの人生で、それでも、少しだけ救われた気がした。
心臓の、奥の、名前も知らない部分。
音を立てて黒く青い不思議な液体が出てくる。
痛みはもう居ないな。もう、戻れない。
溢れ出したのは「後悔」の色。
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