転生した世界に初恋の人そっくりの王子がいた

転生した世界に初恋の人そっくりの王子がいた

突然ですが、異世界に住む王子妃に転生しました。
最初の方は、異世界の王族のマナーや仕組みが分からず、苦労した。

しかし、なんとかやっていけている。


もとの世界に戻りたいとは思っていない。
この世界で私の夫である王子が、イケメンな初恋の人とそっくりだから。

初恋の人ではないのだけど、でも、彼と手をつないだり、抱きついたりしても拒絶されないのが嬉しい。
それに、王子は私に指輪を渡してくれた。

「きみに似合うと思って」

指輪には緑色の宝石がついていた。




もとの世界に帰ったら、初恋の人から冷たくされるのがオチだ。

それなら、この世界にいた方がいい。



この世界の人々はみんな優しい。

もとの世界だったら、こんなふうにはならない。

嬉しいな。

ずっと、この世界での生活が続けば良いのになと思ったけれど。



私は夢から覚めてしまった。

もとの世界。自分の家の天井が視界に広がる。
真っ白でつまらない天井だ。
異世界だと、天井にもシンプルな模様があった。


起きる。
しょうがないから。

ふと、指を見たら、指輪がはまっていた。

王子からもらった、緑色の宝石がついた指輪。

異世界に行ったのは夢じゃないのかもしれない。



それから、寝ると異世界に行けるようになっていた。

王子と少し話してた時、

私は、

「ずっと、ここにいたい」

と呟いた。

王子は、

「ずっといたら良いよ」

と言ってくれた。


それから、私は夢から覚めていない。