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しおりを挟むハビエルが来た時、ちょうどラルフは外出していた。
とりあえず、ハビエルを客間に通す。
「今日は何故ここに?」
私が聞くと、ハビエルは神妙な面持ちで頭を下げた。
「まずは謝罪を。エミュリエルには申し訳ないことをした。それで、今日は復縁をしてもらいたくて来た」
「えっ?あなたはメリメと婚約したはずでは?」
「メリメは他の男と浮気していたんだ」
「そうですか。それで私のところに?」
「ああ。君は凄く僕のことが好きだろ?」
「私が好きなのは今の夫です」
きっぱりと言った。
私はラルフを愛しているし、今の幸せを壊す気などさらさらない。
「本当に?愛していると言えるの?」
「ええ。夫はあなたほど酷い人ではありませんからね。私はあなたとのことはもう終わったと思っています。他を当たってくださる?」
ハビエルはくっと奥歯を噛み締めた後、
「君もその夫とやらに不倫されてしまえばいいんだ!」
捨て台詞を吐き、家を出ていった。
ラルフが家に帰ってきて、ハビエルが来たことを話した。
「そうなんだ。大丈夫だった?なんか嫌なこと言われたりしなかった?」
「君も夫に不倫されればいいんだ!みたいなことは言われました」
「そんなことを……。自分が浮気されたから、そんなことを言ったんだろうね」
「そうだと思います」
ラルフは私の頭を撫でた。
「こう言ってはなんだけど、あの人と結婚しなくて良かったね」
「ええ。あなたと結婚して、私は幸せです」
心からそう思う。
ニコニコして言うと、ラルフが私を抱きしめてきた。
そして、
「エミュリエル、愛しているよ」
甘く低い声で愛を囁いた。
「私も愛しています」
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