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11.幸福

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翌日。
クリフォードと絵を描くために、彼の家に行った。
以前から約束していたんだ。 

「何か悩んでる?」

クリフォードが声をかけてきた。

「え」

「眉間にシワ寄ってるよ」

「えぇ~、そうかな?」

「悩んでるなら、僕に話してよ。幼馴染なんだし」

クリフォードは本当に優しい。

「あのね、私お見合いしたの」

クリフォードが目を見開いた。どこかショックを受けているような顔をしている。

「でも、私、結婚しようって気にならなくて」

「そんな気持ちなら、結婚しない方がいいよ」

「そうだよね。僕としてはエミリに結婚してほしくない」
 
そう言って、私の手をぎゅっと掴んだ。
掴まれた瞬間、ドキッとした。

「僕と結婚してほしい。できるなら、だけど」

びっくりして、クリフォードの方を見たけれど、彼の真剣な瞳と目が会った時、胸が高鳴ってバッと顔を背けてしまった。

「これが僕の本心だから」

こういうこと言われるとだめだ。
ずっと胸が高鳴っている。


もしかして、私……。

「私、クリフのこと好き」

クリフォードの顔を見れなくて、背けたまま言った。
彼からは何の返事もない。

「クリフ?」

「あ、ごめん、あの、それ本当?」

「ずっと胸がドキドキしているの」

「えっと、唐突すぎて」

「今、自覚したから」

「信じられない。僕の顔見て言ってくれないと」

「無理だよ。私、今、クリフの顔見れないから」 

すると、クリフォードが私の顔を覗き込んできた。
また、バッと顔を背けてしまう。

すると、クリフがははっと笑って、

「本当なんだね。嬉しい。凄く」

彼の口元が緩んでいる。可愛い顔。

「私も嬉しい」





それから、数ヶ月経ち、私はクリフォードと結婚した。

結婚してからも、絵を描く趣味は変わってない。

隣で真剣な顔をしてキャンバスに向かう彼を見て、ふふっと笑い声が漏れてしまう。

「どうしたの?」

「ううん。幸せだなと思っただけ」

「そうか。良かったね」

と言いつつ、彼の口元も緩んでいる。
そんなクリフォードを見て、また笑い声が漏れた。
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