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婚約者の浮気相手と鉢合わせしてしまったんだが②
しおりを挟む「どなた?」
令嬢が私に訊ねる。
こちらのセリフだと思いつつ、自己紹介した。
「あなたこそ、どなたですか?なぜあなたはこちらにいらっしゃったのですか?」
と令嬢に訊ねる。
「私はスタンディング子爵の娘、リアと申します。アレグザンダー様と交際していますのよ。恋人のお家に来るのに理由なんてないでしょう?」
「恋人?」
アレグザンダーの方を見ると、気まずそうに目を逸らした。
「あなたこそ、なぜここに?」
「私はアレグザンダー様の婚約者なのです。恋人がいるなんて知りませんでしたわ」
怒りで声が低くなった。
リアは信じられないという顔をして、アレグザンダーに迫った。
「本当ですか、アレグザンダー様!?私を騙していたのですか?」
「……………………………………………すまない」
アレグザンダーは長い沈黙の後、絞り出すように謝罪の言葉を口にした。
「ふざけてんじゃねーぞ!この浮気屑野郎!」
あらあらどこで覚えたの?という言葉遣いでアレグザンダーを罵倒したリアは、彼の頬に平手打ちした。
アレグザンダーが「イヒャア」と気持ち悪い悲鳴を上げた。
大きな目に涙の膜が張って赤くなっている。頬も赤くなっている。
なんとも情けない姿だ。
「もう二度と会うことはないでしょう!さようなら!」
リアがドンッと大きなを音を出して玄関のドアを閉める。
シーンと静かになった玄関ホール。
「あ、あの……、申し訳ない」
アレグザンダーが首を垂れる。
「用事とは、さっきの方と会うことだったんですね」
彼は何も答えない。
「浮気をする人と結婚できません。このことはお父様に話して、婚約は破棄させていただきますので」
「そんな……」
「では、帰ります」
そう言い、私は彼の家から出て行った。
浮気のことを話すと父親は激怒。
当然、婚約破棄となった。
その後、私はとあるパーティーで知り合った男性と親しくなった。
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顔はそんなにかっこよくないし、口下手だけど、私を楽しませようといろんな話題を振ってくる。
話は面白くないけど、私と話したいという意志は伝わってきた。
会話をするたび、どんどんニコライに対する好意が大きくなっていった。
出会って半年ほど経った頃、ニコライにプロポーズをされた。
突然のことでびっくりしたけれど、私もニコライに好意を持っているから求婚を受け入れ、結婚した。
今はニコライと同じ家で暮らしている。
毎日幸せだ。
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