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第5話
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メリはあの家の近所で聞き込みをするなどして、女性のことを調べるらしい。
メリが外出して暇になったレイリンは、少し買い物に出掛けることにした。
小物入れを新しく買おうと思っていたし、新しい服も買いたいと思っていたし、とレイリンは心の中で思って外出する準備をした。
使用人に外出することを伝え、家を出た。
ちなみに、今日もエイベルは外出している。
いつも行く雑貨店はここから遠い所にあるので、汽車に乗って目的地へと向かう。
久々に汽車に乗ったなと思いつつ、外の景色を眺めた。
汽車から降りて、雑貨店へと歩く。
雑貨店は商店街の中にある。人通りも多い所だ。
ふと、前を見ると見知った人物が歩いて来るのが見えた。
エイベルだ。
レイリンは咄嗟に物陰に隠れた。
エイベルの横にはシエラがいる。
彼らはまだ付き合っていたのだ。
レイリンが約束を守っているのに、彼らは約束を破っていた。
彼らを見て湧いた感情は怒りだった。
人のことを馬鹿にしていると思い、怒りがふつふつと沸き起こる。
カーっと頭に血がのぼる体験をしたのは初めてだった。
怒りのまま、彼らを問い詰めようとしたが、この人通りの中でそれは叶わなかった。
何か。
彼らに何かぎゃふんと言わせる方法はないものか。
怒りをどうにか沈め、家に帰った。
小物入れや服を買う気にはなれなくて、そのまま帰ってしまった。
家に帰り着いたのは、昼下がりの頃だった。
メリがレイリンを出迎えてくれた。
「エイベルは?」
「まだ、お帰りになっていません」
「そう。ちょっとメリに大事な話があるの」
「承知いたしました。私もお話がありますので」
レイリンはメリと一緒に自分の部屋に向かった。
「エイベルは浮気をしているみたいなの。使用人の女よ」
「やはり、そうなのですね。エイベル様が向かった家に住む女性は、貴族の使用人をしていたそうなんです」
「毎日、毎日、エイベルはシエラとかいう女と会っていたってわけね。それで、今もシエラと一緒なのかもしれないわね」
「離婚するつもりですか?」
メリが恐る恐る質問した。
レイリンの目が据わっていて、かなり怖い。メリがレイリンのそんな姿を見るのは初めてのことだった。
「離婚なんかしないわ。浮気されたってだけで離婚なんかしない!シエラからエイベルを略奪してやる!そして、エイベルをこっぴどく振ってやるの!」
レイリンがぐっと拳を握りながら言った。
それから、レイリンはメリを振り返り、
「メリ。協力してくれるわよね?!」
あまりの迫力にメリは頷くしかなかった
メリが外出して暇になったレイリンは、少し買い物に出掛けることにした。
小物入れを新しく買おうと思っていたし、新しい服も買いたいと思っていたし、とレイリンは心の中で思って外出する準備をした。
使用人に外出することを伝え、家を出た。
ちなみに、今日もエイベルは外出している。
いつも行く雑貨店はここから遠い所にあるので、汽車に乗って目的地へと向かう。
久々に汽車に乗ったなと思いつつ、外の景色を眺めた。
汽車から降りて、雑貨店へと歩く。
雑貨店は商店街の中にある。人通りも多い所だ。
ふと、前を見ると見知った人物が歩いて来るのが見えた。
エイベルだ。
レイリンは咄嗟に物陰に隠れた。
エイベルの横にはシエラがいる。
彼らはまだ付き合っていたのだ。
レイリンが約束を守っているのに、彼らは約束を破っていた。
彼らを見て湧いた感情は怒りだった。
人のことを馬鹿にしていると思い、怒りがふつふつと沸き起こる。
カーっと頭に血がのぼる体験をしたのは初めてだった。
怒りのまま、彼らを問い詰めようとしたが、この人通りの中でそれは叶わなかった。
何か。
彼らに何かぎゃふんと言わせる方法はないものか。
怒りをどうにか沈め、家に帰った。
小物入れや服を買う気にはなれなくて、そのまま帰ってしまった。
家に帰り着いたのは、昼下がりの頃だった。
メリがレイリンを出迎えてくれた。
「エイベルは?」
「まだ、お帰りになっていません」
「そう。ちょっとメリに大事な話があるの」
「承知いたしました。私もお話がありますので」
レイリンはメリと一緒に自分の部屋に向かった。
「エイベルは浮気をしているみたいなの。使用人の女よ」
「やはり、そうなのですね。エイベル様が向かった家に住む女性は、貴族の使用人をしていたそうなんです」
「毎日、毎日、エイベルはシエラとかいう女と会っていたってわけね。それで、今もシエラと一緒なのかもしれないわね」
「離婚するつもりですか?」
メリが恐る恐る質問した。
レイリンの目が据わっていて、かなり怖い。メリがレイリンのそんな姿を見るのは初めてのことだった。
「離婚なんかしないわ。浮気されたってだけで離婚なんかしない!シエラからエイベルを略奪してやる!そして、エイベルをこっぴどく振ってやるの!」
レイリンがぐっと拳を握りながら言った。
それから、レイリンはメリを振り返り、
「メリ。協力してくれるわよね?!」
あまりの迫力にメリは頷くしかなかった
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