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第2話

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婚約を破棄されて、ショックだった。
だけど、ニコラは私のことを罵倒したし、結婚したら毎日罵倒されていたかもしれない。
だから、彼と結婚せずに済んで良かったんだ。
そう思うと、気持ちも晴れてくる。


婚約破棄から二ヶ月ほど経って、ニコラとサーラが結婚したと聞いても、そんなにショックは受けなかった。
幸せを祝う気にはなれないが。





ニコラとサーラが結婚して、しばらく経った頃、私はある人物と再会した。
五歳年上の幼馴染・リーンハルトだ。

私が街を歩いていた時、彼に話しかけられたんだ。

「ヴェロニカだよね?久しぶり」

微笑みかける彼は、やはり綺麗だった。
リーンハルトは昔から綺麗な人で、私の初恋だった。
でも、彼が家の仕事を手伝い始めてから、会う機会がなくなった。

「リーンハルト!久しぶりね」

私がそう応じると、彼はニコニコと笑った。

「今日は買い物に来たの?」
「うん。あ、でも、買い物終わったから、これから家に帰るつもりなの」
「そうか。もう用事はない?」
「ないよ」
「久々に会ったんだし、どこかでお茶していかないか?」

私はリーンハルトの誘いに乗ることにした。



リーンハルトに誘われるがまま、おしゃれな喫茶店に入った。
二人で席に座って、店員に注文する。
私は紅茶とケーキを頼んだ。

リーンハルトと互いの近況を話した。
彼は先月、婚約者にフラれたという。

「私も、婚約が破談になったの」
「俺と同じだね」

リーンハルトは笑う。
私とリーンハルトの共通点。
婚約破棄されていること。
少し切ない共通点だ。

でも、喫茶店を出た時にリーンハルトから、

「また会おう」

と言ってもらえたことが嬉しかった。

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