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「復縁したい」と言ってくる元婚約者
「復縁したい」と言ってくる元婚約者
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公爵家に生まれた私は、17歳の時に両親が決めた男性と婚約した。
婚約者は侯爵のヴィレム。
初めて会った時、綺麗な顔立ちをしていてびっくりした。
それと同時に彼に恋心を抱いたんだ。
ヴィレムは優しい人だった。
緊張している私に、にっこりと笑って話しかけてくれたし、贈り物もくれた。
だけど、ヴィレムは浮気していたんだ。
それが分かったのは、ヴィレム本人が、
「私はあなたよりも好きな人がいるんです。結婚してからも、その人と今まで通り会うつもりです。良いデスよね?」
と言ったからだ。
良いはずがないだろう。
「私と結婚するのに、その方と関係を続けるということですか?」
「そうですね」
「はっきり言って、不愉快です。その方とは別れていただけませんか?」
「別れることはできません。どうしても嫌だというなら、婚約は破談するしかないかもしれませんね」
ヴィレムは困ったように笑う。
「そんな、婚約破棄だなんて」
「では、我慢してください」
そのため、私は我慢しようとした。
だが、彼は知らない香水の香りをまとっていたり、家に浮気相手を呼んだりしているようだ。
実際、一度だけ彼の家で浮気相手と鉢合わせしたことがある。
浮気相手はとても綺麗な人だった。そして、すれ違いざまに、
「さっさと破談になればいいのに」
私に聞こえるように小声で呟いた。
そこで、私は心が折れた。
結婚したら、私は彼女の存在を感じながら、ヴィレムと生活していかなければならない。
それに耐えられそうになかった。
そこで、私は彼に婚約破棄を申し入れた。
「そうか。わかったよ」
彼はそう言うだけだった。
それから数ヶ月。
ヴィレムは浮気相手と結婚した。両親を説得して、結婚までこぎつけたそうだ。
しかし、すぐに離婚した。
浮気相手の金遣いが荒く、ヴィレムは嫌気がさしたらしい。
そして、ヴィレムが私のところに来た。
「君と復縁したい。またやり直そう」
復縁を要求された。
都合が良い男だなと思って、彼に対する気持ちがさーっと冷めていくのが分かった。
「あなた、よく私に復縁したいって言えますね。復縁は無理です。私はあなたのことが嫌いになりましたから」
そう言って追い出した。
その後、私は別の男性と出会い、結婚して、幸せに暮らしている。
ヴィレムも再婚したらしいが、ヴィレムの方が浮気して離婚危機なのだという。
~end~
婚約者は侯爵のヴィレム。
初めて会った時、綺麗な顔立ちをしていてびっくりした。
それと同時に彼に恋心を抱いたんだ。
ヴィレムは優しい人だった。
緊張している私に、にっこりと笑って話しかけてくれたし、贈り物もくれた。
だけど、ヴィレムは浮気していたんだ。
それが分かったのは、ヴィレム本人が、
「私はあなたよりも好きな人がいるんです。結婚してからも、その人と今まで通り会うつもりです。良いデスよね?」
と言ったからだ。
良いはずがないだろう。
「私と結婚するのに、その方と関係を続けるということですか?」
「そうですね」
「はっきり言って、不愉快です。その方とは別れていただけませんか?」
「別れることはできません。どうしても嫌だというなら、婚約は破談するしかないかもしれませんね」
ヴィレムは困ったように笑う。
「そんな、婚約破棄だなんて」
「では、我慢してください」
そのため、私は我慢しようとした。
だが、彼は知らない香水の香りをまとっていたり、家に浮気相手を呼んだりしているようだ。
実際、一度だけ彼の家で浮気相手と鉢合わせしたことがある。
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「さっさと破談になればいいのに」
私に聞こえるように小声で呟いた。
そこで、私は心が折れた。
結婚したら、私は彼女の存在を感じながら、ヴィレムと生活していかなければならない。
それに耐えられそうになかった。
そこで、私は彼に婚約破棄を申し入れた。
「そうか。わかったよ」
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それから数ヶ月。
ヴィレムは浮気相手と結婚した。両親を説得して、結婚までこぎつけたそうだ。
しかし、すぐに離婚した。
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そして、ヴィレムが私のところに来た。
「君と復縁したい。またやり直そう」
復縁を要求された。
都合が良い男だなと思って、彼に対する気持ちがさーっと冷めていくのが分かった。
「あなた、よく私に復縁したいって言えますね。復縁は無理です。私はあなたのことが嫌いになりましたから」
そう言って追い出した。
その後、私は別の男性と出会い、結婚して、幸せに暮らしている。
ヴィレムも再婚したらしいが、ヴィレムの方が浮気して離婚危機なのだという。
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