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第2章 【仲間探し編(アカリ)】

第2章37話 [妖精の髪飾り]

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 ミツハとの戯れを終えて、エリーに付いて歩いているとアイテム屋を見つけた。
 防具屋【アジェーン】と看板に書いてある。

「エリー、あそこに防具屋さんがあるけど違うのか?」
「え?あ~、あそこはプレイヤーの人がやってる店だと思うよ。掘り出し物が欲しいとか今後も行くなら行っても良いかもね」
「へ~、じゃあ良いや」

 何となく人と話すのが面倒くさそうだったので寄るのをやめた。
 エリーに付いて行くこと10分程で防具屋【アクセス】に到着する。

「マリー、この前みたいに店の前で自分の姿に魅入っちゃうのはやめてね」
「うっ、もうあんな事はない!」
「え?何の話?」
「なんにもない!早く店の中に入ろうぜ!」

 俺は急いで店の中に入る。

「いらっしゃい!!」

 声のする方を見ると、白いエプロンと白いタオルを巻いたをムキムキのオッサンがカウンターに居た。一瞬、ラーメン屋と間違えたのかと思った。
 頭の上を見ると名前が緑色で『アクロス』と表示されている。この店の店主はAIがやっているのか。
 カウンターの後ろには、引き出しが大量にある大きな棚が置いてある。
 店は広いのにお客さんは1人もおらず、経営が心配になる。

「ちなみに、ミツハっていくら持ってるんだ?」
「僕はー…19800Gかな。マリーは?」

 俺もメニューを開いて所持金を確認する。

「俺は43000Gだな」
「なんでそんなに持ってるの?」
「ミッションクエストを2つの報酬で結構貰ったからな。逆にミツハは少なくないか?」
「僕は最初の頃に所持金を全部回復薬や装備に使っちゃったからね…」
「あ~、そうだったな」

 最初の頃のミツハは1人で頑張ってたから金欠だったんだな。
 たぶん、キングオークと今回のガブゴブの報酬しかないのだろう。
 気を取り直して店の中を見渡すと、色々な鎧やアクセサリーが陳列棚に並んでいる。

「ねぇねぇ!マリー!あのビキニアーマー良くない?!」
「良くないな。俺は防御力重視で冒険するから」
「マリー!この『闇の白布』って良くないか?!」
「絶対に腕とか足に巻くなよ。それ巻いたら本当に痛い子になるからな」

 ただの包帯をミツハが目を輝かせて見ている。何が闇の白布だ!包帯だろ!
 俺もブラブラしながら店の中を見て回るが、あんまりコレってのがないな…。

「お嬢ちゃんのお眼鏡に叶うのはないかな?」
「え?」

 さっきまでカウンターに居たムキムキの店主が俺の横に移動していた。
 横に並ぶとデカイ。2メートルくらいあるんじゃないだろうか。

「良い物がある。こっちに来な」

 店主はカウンターのところにある店の引き出しを開ける。

 「あった、あった…」

   引き出しから取り出したものをカウンターの上に置く。

「これは?」

 俺とミツハ、エリーは置かれた物を覗き込む。

「これは『妖精の髪飾り』レア度7の、この店の1番の目玉商品だ」
「『妖精の髪飾り』…」

 俺がキングオークの宝箱で手に入れた『妖精の聖衣』と同じシリーズの物か?
 髪飾りはエリーの羽根を3枚重ねたような形の銀色のヘアピンだ。

「この髪飾りは妖精が特殊な金属を加工して作ったと言われている一品だ!何と装備すればMPがプラス500される超優れものだ!」
「エリー、こんなの作ったのか?」
「私は作った事ないよ」

 エリーとは別の妖精が作ったのかな?まずエリー以外にも妖精って存在するのか?

「誰が作ったとかは置いといて、これがあったらミツハに装備を借りなくてもゴッドが召喚できるようになるな!」
「お嬢ちゃん、MPが増えるだけじゃないぜ!この装備にはアビリティもある!」
「どういう効果なんだ?」
「それは買ってからのお楽しみだ!」

 店主はニヤリと笑う。買うかどうかなんて決まっている。

「いくらだ?!」
「毎度!10万Gだ!」
「10万…」
「なんだ?持ってないのか?」

 当たり前だ。そんな大金持っているわけない。

「それって今日1日取り置きってできるか?」
「普通はしないが、お嬢ちゃんの態度が気に入ったから取り置きしてやる」
「え?どう意味だ?」
「今までの冒険者は値段を値切ってきて悪態を吐くヤツらばかりだったが、値段をそのままで頑張って買おうって態度が気に入った!」

 やった!やっぱり普段から態度は良くしておくべきだ!

「今日1日は取り置きしておいてやる!早く稼いで来な!」
「おう!ありがとう!」
「じゃあ僕はコレを買おうかな!」
「毎度!」

 横から意気揚々とミツハが闇の白布を買った。
 店の外に出ると早速ミツハの左の太腿には闇の白布が装備されていた。

「どう?マリー似合ってるかな?」
「ああ、めちゃくちゃ闇の魔法を使いそうなかんじになった」

 ミツハの太腿から視線を下に下げると靴を装備していた。

「あれ?その白布を装備したら足の装備で履いてる靴が装備できなくなるんじゃないのか?」
「この闇の白布は特殊装備だよ。特殊装備は装備枠を使わずに装備できる特殊な装備なんだ」

 ミツハは俺の方を見ず包帯を巻いた太腿をさすりながら教えてくれた。アカリもおしゃぶりを咥えていたのに頭の装備がそのままだったのは、おしゃぶりが特殊装備だったからか。

「なるほどな、このゲームで知らないことはまだまだ多いな。そんな包帯が」
「闇の白布ね」

 ミツハの訂正が早い。

「ねぇねぇ、マリー。残り5万Gはどうやって稼ぐつもりなの?」
「え?…ああ、それなら大丈夫だ。良いアイデアがあるから」

 エリーが不思議そうに小首を傾げる。
 メニューを開くと『11時45分』だったので、そろそろログインするか。

「エリー、ミツハ。午前の部はこの辺にしておくか」
「もうそんな時間?」

 ミツハもメニューを開き時間を確認する。

「昼からはミツハのクエストを終わらせるかんじで良いだろ?」
「うん、良いけど…マリーはお金を稼がなくても良いの?」
「ああ、エリーにも言ったけど稼ぐ方法は考えてるから多分大丈夫だ」
「それなら良いけど」

 ミツハも渋々納得してくれた。

「宿屋でログアウトするか。エリー、道案内頼む」
「そろそろ自分で道とか覚えてよね」

 文句を言いながらも道案内をしてくれる。
 宿屋『やっとい亭』に到着し宿屋に入る

「それじゃあ、13時にマイルームでな」
「りょーかい!それじゃあね!」

 ミツハがログアウトしてマイルームから居なくなった。

「やっと2人っきりだね…」
「だからなんだよ」
「えー!こういう風に言ったらドキッとしない?」
「全然しない。それじゃあ13時にな」

 エリーが「冷たい!」っと言っているのを聞き流し、俺はメニューを開きログアウトを選択する。

「それじゃ!」
「うん!早く来てね!」

 俺はログアウトした。
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