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第2章 【仲間探し編(ミツハ)】

第2章8話 [ミツハの願い]

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 ミツハは苦しそうにキングオークの攻撃を魔法で生み出した黒い壁で防ぐ。

「このままだとミツハの作った壁が壊れるのは時間の問題だ…!」
「くっ…!『ダークバレット!』」

 壁から飛び出してキングオークの顔に魔法を放つ。

「グオオオオオォォォーー!!」

 魔法は直撃したが何事もなかったようにキングオークはミツハに拳を振るう。

「『ダーク…』がはっ…!!!」

 防御魔法が間に合わず、キングオークの拳がミツハに直撃して勢いよく数メートルほど吹き飛ぶ。

「ミツハ!!」
「ぐうぅ…」
「もう無理だ!俺も一緒に戦う!『召喚!』」
「やめてくれ…!マリー!僕は一人で戦う…!」

 ミツハは俺の召喚を制止して、必死に立ち上がろうとする。
 HPを見れば残り僅かだ。次にキングオークの攻撃を受けたら終わりだ。

「グオオオオオ!!!」
「まずい!ミツハ、逃げろ!」

 キングオークがミツハに向かっていく。

「ダ…『ダークペイント…』」

 ミツハの震えながら突き出した手から、ダークバレットほどの大きさの黒いヘドロが飛び出しキングオークの顔に当たる。

「グ…グオオオオ…!!」

 キングオークは目を擦りながら、ミツハの居る場所とは別の場所に歩いていく。

「キングオークのやつ、どうしたんだ?」
「マリー、あれは『ダークペイント』って闇魔法だよ。相手の顔に当たったら低確率で《盲目》の状態異常にすることができるんだよ」

 なるほど。あのキングオークは目が見えなくなったのか。

「はぁ…はぁ…」

 ミツハは何とか立ち上がり、キングオークと戦う姿勢をとる。

「ミツハ、どうしてそこまで…?」
「どうして、そこまでだって?決まってるだろ…マリー、君の仲間になりたいからだ。くっ…!」

 HPが少ないせいかミツハはフラフラしている。

「マリーは…の闇魔法を見て『カッコイイ』と言ってくれた…本当に涙が出そうなくらい嬉しかった…。は、このゲームを始めてから大変な思いしかいてこなかったから…今まで頑張ったのが、その一言で報われた気がした…」
「ミツハ……」
はマリーと冒険がしたい…!!ダンジョンに向ってる時…このゲームをしていて楽しいと思ったのは、初めて闇魔法を使った時以来だった。だから、コイツを倒して私は…!マリーの仲間になって一緒に闇魔法の可能性を探すんだ!」

 ミツハの目から涙が溢れる。

「闇魔法の可能性か…」
「グ、グオオオオオーーー!」

 目が見えるようになったキングオークが、見失なっていたミツハを見つけて向かっていく。

「来い…!キングオーク!」
「『召喚!』スピカ!ナイト!」

 泣きながら懸命に戦うミツハを見て俺は見ていることをやめた。

「スピカ!少しだけキングオークの気を引いててくれ!」
「キュイ!」

 スピカが、キングオークに頭突きをして吹き飛ばす。

「おい!私の話を聞いていたのか!コイツは私1人で倒すんだ!!それで私は、マリーの仲間になるんだ…!」
「お前は俺の仲間だ」
「え?」
「ミツハの懸命に戦う姿、仲間になりたいって真剣な思いを見て忘れかけてたぜ…!仲間ってのはな、傷ついている仲間を放って置けないんだよ!ミツハ、俺はお前を認めてる!仲間の俺が一緒に戦ったらダメか?」
「うぅ…!良いの?まだ、ボスを倒してないし…、私は喋り方も変だし、闇魔法しか使えない役立たずだよ…?」

 エリーを見ると、笑顔でエリーは両腕で大きな丸を作っている。

「役立たずなんかじゃないさ!闇魔法の可能性ってやつを一緒に見つけようぜ!」
「うん!!ありがとう…マリ~!!」

 泣きながら喜んでいる。よほど今まで辛かったんだろう。
 オークキングは防御力が高い。スピードのスピカよりもナイトの方が良いか。

「ナイト、悪いが合成させてもらうぞ!
「ワウ!」
「エリー、見せてやるよ合成士の力を!」
「やったー!やっと合成士が見れる~!」
「それと、ミツハ!パーティーになった祝いに俺のスキルを見せてやるよ!」
「え?」

 俺はメニュー画面を開き、合成士の項目からスキルの『合成』を選択する。
 そこから『ナイト』と『剣士の軽装備一式』を選び『YES』を押す。

 目の前に『剣士の軽装備一式』が浮かんで現れる。軽装備なだけに、黒いヘアゴムと鉄の胸当てと黒い短めのヘソが出るシャツ、赤いスカートに鉄の籠手と皮のブーツ。安そうなショートソードの一式が発光って空中に浮かんでいる。

「ワウ?」

 側に召喚していたナイトも、発光しながら空中に浮かんでいる。
 ナイトと剣士の軽装備一式が勢いよく目の前でぶつかり合い激しい光が生まれる。

「今回はカッコ良くしてくれ…!」

 俺は祈りながら、ナイトと剣士の軽装備が1つになり姿を変えていくのを見守る。
 頭の中で『ピポーン』と音が鳴る。
 ポンっと軽快な音がして光が消えると、そこには黒く美しいライトアーマーが浮かんでいた。
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