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第1章【覚醒編】
第1章2話 [妖精の加護]
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《3月14日》
兄たちが見舞いに来た次の日のお昼に俺は退院した。
「相変わらず黒い部屋だな~、黒魔術師でも住んでんのかって思うな」
「……」
自宅の2階にある自室で俺と兄の2人で部屋を見渡している。
ここが俺の部屋か…結構綺麗だ。部屋にはベッドに勉強机と漫画しか入ってない本棚があるだけで特徴がそんなにない。
強いて言うなら兄も言ったように全部黒い。ベッドも勉強机も本棚もカーテンも黒い。記憶無くす前の俺は病んでたのか?
「俺とマリアは夕方には帰らないといけないからな、ちゃっちゃと入れ替えて帰るぜ」
そう言いながら兄は持っていた紙袋から白いヘルメットのような物を取り出す。
「これがマリアのヘッドギアだ、そんでそこに置いてあるのがお前のヘッドギアだろ?」
指を指す方向を見ると机の上に段ボール箱と兄が出したヘッドギアとは色が違う黒色のヘッドギアが置いてある。どんだけ黒色好きなんだよ。
「これをどうするんだ?」
机の上に置いてあるヘッドギアを両手で持ち兄に差し出す。
「何にもしねぇよ、ただ単にマリアのとお前のヘッドギアを入れ替えるだけだ」
データとかをゴチャゴチャしたりするのかと考えていたが案外簡単だった。
兄が差し出している白いヘッドギアを受け取り黒いヘッドギアを渡す。
「これで良いな。どうだ?今からゲーム内でマリアと会ってみたらどうだ?」
「良いのか?今日帰るんだろ?帰る時間とか大丈夫なのか?」
「2、30分なら大丈夫だよ、先にお前はジョブとか色々決めないといけないから早く準備しろ」
何故こんなにも焦ってやらないといけないのかと思いながら準備をする。
「これってどうやってやるんだ?」
「このコードをパソコンに繋いで携帯もゲーム中にイジりたいならこのコードとも繋いでおけ」
テキパキと線を繋げていく。そういえばマリアがいないけど何処にいるんだろう?
「そういえばマリアは?」
「下で母さんとケーキ食ってるよ、初孫だからな甘々に可愛がられてるよっ…とセット終わりだ!あとはベットに横になってヘッドギアのおでこ部分にある電源ボタンを長押ししたらゲームできる」
そう言われてベットに横になりヘッドギアを被る。
「チュートリアルが終わってジョブとかの設定が終わったらマリアに連絡してくれ。ゲームん中のメニューかなんかでパソコンに繋いであるスマホでゲームしてても電話かメールができたはずだから」
「OK、色々とありがと」
電源ボタンを長押しする。
「あと俺がゲームしてる間に変なことすんなよ」
冗談を言っているとキィーーンと音がして眠たくなってくる。薄れゆく意識の中で「するかバカ」と兄貴の声が聞こえ意識がなくなる。
目を開ける。真っ黒な空間。見渡しても何も見えない。
『ようこそ、【New Equip Adventure World】へ』
機械的な女性の声が聞こえると目の前に発光した半透明な11インチほどの白いパネルが浮かび上がる。
『キャラクターの名前を入力してください』
白いパネルに名前が入るであろう場所と下にキーボードが現れる。文字を打とうとするが指が存在しない。まず目線を下にしても身体自体が存在しない。
「どうやって打つんだよ…」
とりあえずで何となく〈A〉を押すイメージでキーボードを見つめたらキャラクターの名前の箇所に〈A〉と文字が打たれた。
なるほど、念じたら打てるのか。でも名前どうしようかな…。
「安直かもしれないけど見た目マリアだし『マリー』で良いか」
文字を念じて打つ。キャラクターの名前はマリーっと。打ち終わるとパネルの下に大きく《次へ》と表示される。次へを念じて押す。
『メインジョブとサブジョブを選択して下さい』
白いパネルに『剣士』や『闇魔法使い』などのジョブが羅列して表示される。上にスクロールするイメージをしたらスクロールした。
「何個あるんだよ…」
スクロールしてもしても1番下に到達しない。スクロール中に1つ気になるのが見つかった。
「召喚士…」
召喚士を選択すると説明文が現れる。
《召喚士。召喚獣を召喚して戦う後衛ジョブ。レベルが1つ上がるごと召喚できる召喚獣が1体増えていく。最初に召喚できる召喚獣は3体。召喚する召喚獣のレアリティ率はランダム性で再度召喚のやり直しは不可。最大レベル15。進化あり》
「良いかも…。マリアの見た目だし後方で戦いたいと思っていたし、召喚士にしよう」
メインジョブを召喚士にしサブジョブを一応接近戦でも戦える《格闘家》にして次へを押す。
『それではキャラクター設定を終わります。装備を選んでください。
【初心者冒険者の装備】【格闘家の装備】【召喚士の装備】
「どれ選んでいいか分からないし、適当に見た目が良いのにしよう」
パパッと見てみると、初心者冒険者の装備は駆け出しの冒険者感があって嫌だし、格闘家の装備は短パンでヘソが出てて恥ずかしいから嫌だし、召喚士の装備は黒いフード付きのローブか…。ローブの中はシャツと黒い長ズボンに茶色いブーツ。露出が少ない召喚し
士の装備にしよう。召喚士の装備を選択する。
白いパネルに〈YES/NO〉と表示される。YESを選択する。
『これでキャラクターの設定を終了致します』
やっと終わりか…長かったような短かったような。設定の終了の余韻に浸る。
『おめでとうございます《覚醒ジョブ》を獲得しました』
「覚醒ジョブ?」
『覚醒ジョブとは、覚醒すると使えるようになる強力なジョブです』
「覚醒したら使えるジョブ?」
『おめでとうございます。EXスキル《絶対装備》を獲得しました』
「またなにか貰った!」
『絶対装備は全ての武器防具を装備できるスキルです。ただしプレイヤーのステータス値はプラスされません》
「つまり俺の元々のステータスがどんだけ強くても装備した装備の数値にステータスがなるってことのなのか?」
『おめでとうございます《妖精女王の加護》の加護を与えられました』
「もう良いよ!」
『妖精女王の加護は、あらゆる確率が関わるものに100%勝利する加護です》
「これは…低確率なるとか高確率で起きるみたいのに俺は絶対に勝つってことかな?」
強い加護とかを3つも貰ったな。会った時にマリアに自慢してやろう。
『キャラクターの設定を変更しますか?』
白いパネルに《Yes》と《No》が表示される。《No》を選択する。
『本当に宜しいですか?』
白いパネルにまた《Yes》と《No》が表示される。《Yes》を選択する。
すると白いパネルが消えて真っ暗になる。
『いざ冒険の旅へ!』
兄たちが見舞いに来た次の日のお昼に俺は退院した。
「相変わらず黒い部屋だな~、黒魔術師でも住んでんのかって思うな」
「……」
自宅の2階にある自室で俺と兄の2人で部屋を見渡している。
ここが俺の部屋か…結構綺麗だ。部屋にはベッドに勉強机と漫画しか入ってない本棚があるだけで特徴がそんなにない。
強いて言うなら兄も言ったように全部黒い。ベッドも勉強机も本棚もカーテンも黒い。記憶無くす前の俺は病んでたのか?
「俺とマリアは夕方には帰らないといけないからな、ちゃっちゃと入れ替えて帰るぜ」
そう言いながら兄は持っていた紙袋から白いヘルメットのような物を取り出す。
「これがマリアのヘッドギアだ、そんでそこに置いてあるのがお前のヘッドギアだろ?」
指を指す方向を見ると机の上に段ボール箱と兄が出したヘッドギアとは色が違う黒色のヘッドギアが置いてある。どんだけ黒色好きなんだよ。
「これをどうするんだ?」
机の上に置いてあるヘッドギアを両手で持ち兄に差し出す。
「何にもしねぇよ、ただ単にマリアのとお前のヘッドギアを入れ替えるだけだ」
データとかをゴチャゴチャしたりするのかと考えていたが案外簡単だった。
兄が差し出している白いヘッドギアを受け取り黒いヘッドギアを渡す。
「これで良いな。どうだ?今からゲーム内でマリアと会ってみたらどうだ?」
「良いのか?今日帰るんだろ?帰る時間とか大丈夫なのか?」
「2、30分なら大丈夫だよ、先にお前はジョブとか色々決めないといけないから早く準備しろ」
何故こんなにも焦ってやらないといけないのかと思いながら準備をする。
「これってどうやってやるんだ?」
「このコードをパソコンに繋いで携帯もゲーム中にイジりたいならこのコードとも繋いでおけ」
テキパキと線を繋げていく。そういえばマリアがいないけど何処にいるんだろう?
「そういえばマリアは?」
「下で母さんとケーキ食ってるよ、初孫だからな甘々に可愛がられてるよっ…とセット終わりだ!あとはベットに横になってヘッドギアのおでこ部分にある電源ボタンを長押ししたらゲームできる」
そう言われてベットに横になりヘッドギアを被る。
「チュートリアルが終わってジョブとかの設定が終わったらマリアに連絡してくれ。ゲームん中のメニューかなんかでパソコンに繋いであるスマホでゲームしてても電話かメールができたはずだから」
「OK、色々とありがと」
電源ボタンを長押しする。
「あと俺がゲームしてる間に変なことすんなよ」
冗談を言っているとキィーーンと音がして眠たくなってくる。薄れゆく意識の中で「するかバカ」と兄貴の声が聞こえ意識がなくなる。
目を開ける。真っ黒な空間。見渡しても何も見えない。
『ようこそ、【New Equip Adventure World】へ』
機械的な女性の声が聞こえると目の前に発光した半透明な11インチほどの白いパネルが浮かび上がる。
『キャラクターの名前を入力してください』
白いパネルに名前が入るであろう場所と下にキーボードが現れる。文字を打とうとするが指が存在しない。まず目線を下にしても身体自体が存在しない。
「どうやって打つんだよ…」
とりあえずで何となく〈A〉を押すイメージでキーボードを見つめたらキャラクターの名前の箇所に〈A〉と文字が打たれた。
なるほど、念じたら打てるのか。でも名前どうしようかな…。
「安直かもしれないけど見た目マリアだし『マリー』で良いか」
文字を念じて打つ。キャラクターの名前はマリーっと。打ち終わるとパネルの下に大きく《次へ》と表示される。次へを念じて押す。
『メインジョブとサブジョブを選択して下さい』
白いパネルに『剣士』や『闇魔法使い』などのジョブが羅列して表示される。上にスクロールするイメージをしたらスクロールした。
「何個あるんだよ…」
スクロールしてもしても1番下に到達しない。スクロール中に1つ気になるのが見つかった。
「召喚士…」
召喚士を選択すると説明文が現れる。
《召喚士。召喚獣を召喚して戦う後衛ジョブ。レベルが1つ上がるごと召喚できる召喚獣が1体増えていく。最初に召喚できる召喚獣は3体。召喚する召喚獣のレアリティ率はランダム性で再度召喚のやり直しは不可。最大レベル15。進化あり》
「良いかも…。マリアの見た目だし後方で戦いたいと思っていたし、召喚士にしよう」
メインジョブを召喚士にしサブジョブを一応接近戦でも戦える《格闘家》にして次へを押す。
『それではキャラクター設定を終わります。装備を選んでください。
【初心者冒険者の装備】【格闘家の装備】【召喚士の装備】
「どれ選んでいいか分からないし、適当に見た目が良いのにしよう」
パパッと見てみると、初心者冒険者の装備は駆け出しの冒険者感があって嫌だし、格闘家の装備は短パンでヘソが出てて恥ずかしいから嫌だし、召喚士の装備は黒いフード付きのローブか…。ローブの中はシャツと黒い長ズボンに茶色いブーツ。露出が少ない召喚し
士の装備にしよう。召喚士の装備を選択する。
白いパネルに〈YES/NO〉と表示される。YESを選択する。
『これでキャラクターの設定を終了致します』
やっと終わりか…長かったような短かったような。設定の終了の余韻に浸る。
『おめでとうございます《覚醒ジョブ》を獲得しました』
「覚醒ジョブ?」
『覚醒ジョブとは、覚醒すると使えるようになる強力なジョブです』
「覚醒したら使えるジョブ?」
『おめでとうございます。EXスキル《絶対装備》を獲得しました』
「またなにか貰った!」
『絶対装備は全ての武器防具を装備できるスキルです。ただしプレイヤーのステータス値はプラスされません》
「つまり俺の元々のステータスがどんだけ強くても装備した装備の数値にステータスがなるってことのなのか?」
『おめでとうございます《妖精女王の加護》の加護を与えられました』
「もう良いよ!」
『妖精女王の加護は、あらゆる確率が関わるものに100%勝利する加護です》
「これは…低確率なるとか高確率で起きるみたいのに俺は絶対に勝つってことかな?」
強い加護とかを3つも貰ったな。会った時にマリアに自慢してやろう。
『キャラクターの設定を変更しますか?』
白いパネルに《Yes》と《No》が表示される。《No》を選択する。
『本当に宜しいですか?』
白いパネルにまた《Yes》と《No》が表示される。《Yes》を選択する。
すると白いパネルが消えて真っ暗になる。
『いざ冒険の旅へ!』
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