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元パーティメンバーたち

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「――やあ、アリス。しばらく見ない内に、随分と雰囲気が変わったね」

 街へと入る門の列に並んでいると、後ろから聞き覚えのある声がかかる。
 かつて、私が所属していたエドワードのパーティー四名が後ろに並んでいた。
 数ヶ月彼らと共に行動していたとはいえ、好意的なのはエドワードだけだった。

 重装備で大きな盾を持った長身の男、クロス。
 妖艶で掴みどころのないスタイルのいい美女弓士、シェリー。
 直情的で高慢な攻撃魔法使いの美少女、ノンノ。

 エドワード率いる金ランクパーティー、「光輝なる空オーロラ・スカイ」。
 ニコニコ顔で話しかけてくるエドワードを除いて、ノンノとクロスは私を睨んできている。
 シェリーは正直、何を考えているのかわからない。時々よくわからない話をする時もあったし。
 まあ、確実にわかるのは一つ。私は、彼らに好かれてなどいない。むしろノンノは、なぜか目の敵にしているような、そんな気がする。

「久しぶりね、エド。ちょっとした心境の変化、ってところかしら。そっちの調子も良さそうね。もうすぐ虹ランクに昇格するみたいだし」

「まだ決まったわけじゃないけどね。でもまあ、近いうちに答えは出ると思うよ」

 そう自信たっぷりの表情でエドワードは言う。
 驕っているというわけではない。自分の力量を弁えたうえで彼は言っているんだ。
 まあ、彼の実力に疑う余地はない。今の私なら、彼の力がどれほどのものか正確に判断できるようになった。
 ……彼はすごい。
 そうして二人で話していると、割り込んでくる甲高い声。

「――ちょっと! 何許可なく馴れ馴れしくしてるのよッ! あんたなんか、お呼びじゃないんだから!!」

「……ノンノ。相変わらずね」

「何よ、その目。エドのお情けでパーティーに入れてもらった役立たずが、随分と生意気になったみたいね。それと……懲りずに探索者を続けているみたいだけど、実力が無いんだから、とっとと田舎に帰りなさいよ」

「生憎だけど、まだ帰るつもりはないわ。少しやることが出来てしまったし」

「はぁ!? 何があったか知らないけど、あんた、少し調子に乗りすぎじゃない? ――ぶっ潰すわよ」

 いきなり不機嫌になったノンノが、杖を構え魔法の準備を始めた。
 エドが止めようと声をかけるが、どうやら聞こえていないようだ。
 他の二人は一切止める気が無い。
 クロスはずっと私を睨んでいるし、シェリーは何やら空を見上げている。
 バラバラなのに、よくパーティーとして成り立っていると思うわ。
 私が何もせず黙って立っているのを見て、ノンノは憎らし気に舌打ちをした。

「雑魚のくせにっ……馬鹿にするんじゃないわよ――――!」

「まったく。もう少し冷静さというものを持つべきじゃないかな。そんなお転婆では、彼氏なんて出来やしないよ」

 やれやれ、と肩を竦めたミルフィが私の頭の上で両手を合わせた。
 ポンッ! という肉球がぶつかり合った音が鳴ると、ノンノが放った巨大な火球が音もなく消え去った。
 ミルフィって何でもできるのね。放たれた魔法も消せるなんて。
 ノンノが呆然とし、混乱していた。

「え、なんで……私の魔法が、消えた……?」

「こんな往来で使うような魔法ではないよ。エドワード君、だったかな? 君のパーティーメンバーは随分と非常識みたいだ。ちゃんと教育はした方がいいと思うな」

「あ、ああ……すまない。迷惑をかけた」

「ふむ。素直な人間は嫌いじゃないよ。それと――そこの魔法使いの女の子。名前は……忘れてしまったよ。好みじゃないからね。その高慢な態度は非常によくない。女の子とは、お淑やかで純情で可愛らしくないと。君のはそれが見られない。そんな君が、ボクの御主人を害そうだなんて千年早いよ。生まれる前から出直しておいで。
 ――行こうか、アリス。そろそろボクらの番だからね」

 わぁ……辛辣。
 言いたいことだけ言って、ミルフィは私を促した。
 ちらりと後ろに視線を向けると、顔を真っ赤にしたノンノが憎悪の眼差しで私を睨んでいた。
 正直、あそこまで言わなくてもよかったのではないかと。とばっちりが私に来そうな予感……。

「あの程度のレベルでは、アリスをどうこうできるはずもないさ。君は堂々としていればいい。なんてったって、このボクが認めた魔法少女なんだから」




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