婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ

あげは

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第三部

二人の神獣

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「………………少し出かけてきます」

「………………同じく」

 ものすごく怖い顔でミシェルさんとタマモが歩きだしました。
 一体どこへ――って聞くまでもなかったですね。
 おそらく東洋国家に行こうとしていました。

「待ちなさい。まだそうと決まったわけじゃないのよ。一旦落ち着いて……というかタマモまで、ミシェルの真似しなくてもいいのよ」

「……真似じゃない。お嬢に何かする奴は消す……」

「そうです。お嬢様を害そうとする輩は完全消滅させます。此度はその魔法の作成に関わったもの全てを排除します」

 もうやる気満々です。
 二人の周囲の精霊たちもざわざわしています。
 ユミエラさんはみんなに愛されているのですね。

「……そんな魔法作ったって神獣には意味ないわよ。知っているでしょ? その人たちは神獣がどんなものかよくわかっていないのよ」

「そうかもしれませんが……」

「それに、やるなら徹底的にやるのよ。だから今こうして話し合いをしているの。こんな子供たちを利用しようだなんて、許せないもの」

 あれ? ユミエラさんも意外とやる気あったみたいです。
 ここの人たちはみんな過激でした。

『まあまあ、ミシェルもタマちゃんも落ち着きなさいって。もぐもぐ。結局殲滅するんだから、焦っても仕方ないじゃない。もぐもぐ。どうせ黒幕はあのじじいなんだから。もぐもぐ』

「ティア様……カレー頬張りながら言うことじゃないですよ。というかお行儀が悪いです」

『気にしない、気にしなーい。あたし精霊王だし~』

 と言って、カレーとスプーンを両手にふわふわしている精霊王様。
 まったく威厳を感じられませんでした。
 その様子を見て、ママたちも少し緊張が和らいだみたい。

「……ねぇねぇ、ノアちゃん」

「どうしたの?」

「……今って何のお話ししているの?」

 カナモは今までのお話を全く理解していませんでした。
 改めてこの子にわかりやすく説明してあげました。

「えぇぇぇぇぇ!? そうなの!? びっくり~!」

「急に大声出さないでよ!」

「ご、ごめんね~。でも、タマモちゃんとユミお姉ちゃんはどうして悪い人に狙われるの?」

「今説明したじゃない! ちゃんと聞いてた?!」

「う、うん。ちょっと難しくて……」

 もうこれ以上わかりやすく説明することはできないわよっ。
 また同じ話をすることに。

「ふふっ。カナモちゃんがもーっとわかりやすいようにお話ししてあげる。そのためにも……カイ、おいでなさい」

 ユミエラさんが手をパンパンと叩き誰かを呼んだ。
 この前の虎さんかな。
 私たちの下へ来たのは引き締まった体をした長身の男性だった。
 執事のような服を着ていて凛々しい雰囲気を感じた。
 しかし……虎耳と尻尾が付いていた。

「「「えっ??」」」

 ユミエラさんたち以外の声が重なった。
 誰もが驚いた。こんな人ここにいたかと。

「タマモ、あの子呼べる?」

「……もち。キュウちゃん、お嬢がお呼び。出る……」

 タマモがそう言うと、突然髪が金色に変化した。
 そして狐耳と九本の尻尾が生えた。

「主、全て聞いている。俺はいつでもいけるぞ」

「ふっふっふ。わらわの大事なタマモを狙う不届き物がおるとは。姫、加減はせずともよいのだろう?」

 二人は好戦的な目を浮かべ、ユミエラさんにそう言いました。





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