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第三部
伝説の存在
しおりを挟む「……えっと……?」
ちょっと待って。一旦落ち着くから。
あの女性は一体? ていうか羽生えてない? それに光ってるし。
よく見たら人間じゃないわ。
ただなんでだろう。不思議と懐かしいって気持ちがある。
あったこともないのに。
「ティア、おかえりなさい。ちゃんとできた?」
『当ったり前じゃない。あの子たちにぴったりの場所で埋葬してきたわ。……これで変な奴らに悪用されることもない。安心して眠っていてくれることを祈るわ』
「そう……。ありがとう、ティア」
ユミエラさんは親し気に話しかけている。
その様子だけでとても信頼し合っていることがわかる。
「お姉さん、とーっても綺麗ですね!」
『あら、見る目あるわね。もっと褒めるといいわ!』
いやいや、それより聞くことがあるでしょ。
カナモは少し静かにしてなさい。
「あの……お姉さんは一体……」
『あたし? あたしはこの森の主、精霊王ティターナ。全ての精霊たちの母よ」
「せ、せせせ精霊王!?」
そ、そんなおとぎ話の存在が実在していたなんて。
おばあちゃん、この森に精霊王がいるなんて聞いてないです。
「そんなに怖がらなくても大丈夫よ。仰々しい言い方しているけれど、ティアは普通の女の子と大差ないから。美味しいものに目がないしね」
『ちょっと。威厳がなくなるじゃない。精霊王っていうのは本来はもっと厳格な存在なんだからねっ。ユミだけよ、そんなこと言うの』
「本当のことだもの。仕方ないわぁ」
二人はほのぼのと会話をしている。
ユミエラさん、精霊王が普通の女の子なんて、それだけで普通じゃないです。
それにユミエラさんも私からしたら普通じゃ……。
『そんなことより、このちびっこたちは?』
「こっちの赤髪の子がノアちゃん、それでこっちのブラウンの髪の子がカナモちゃん。アリアとカナリアのお孫さんよ」
『へぇ、あの子たちの。確かにそうね。この子たちは巫女の力が強いわ。小さな精霊がたくさん、この子たちに寄り添っているわ。……ちょっと危ないかもしれないわね』
危ない? 何か問題でもあるのかな。
って、あれ? カナモがいなくなっているわ。
あの子本当に自由過ぎない?
「ノアちゃん、ハヤトお兄ちゃんが……」
「ハヤト兄がどうしたの――」
ハヤト兄は口をポカーンと開けて硬直していました。
精霊王の存在がそれほど衝撃だったのか、何をしても反応がないです。
ちゃんと息はしていましたけど。
「気になることもあるけれど、続きはミシェルも交えて話しましょう。大事なことなのでしょう?」
『そうね。この子たちにも関わる話だから、全員に理解していてほしいわ』
「そう。では、戻りましょうか。ノアちゃんカナモちゃん、魔法の練習はまた今度ね」
そう言ってユミエラさんはタマモを連れて家に向かいました。
私たちもそれに付いていこう……ハヤト兄どうしよう。
ハヤト兄は精霊王様が魔法でつれて行ってくれました。
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