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第三部
予想外の再会
しおりを挟む「あなたたちがここに来た経緯を話してくれるかしら?」
そう言われても、正直私たちでは詳細が分からない。
どうして逃げなければならないのか。私たちが国に狙われているのか。
私たちを捕まえて国が何をしようとしているのか全く。
それでもなんとなくわかることだけ、ママに言われたことをそのまま話した。
ちゃんと伝わったのか分からないけれど、ユミエラさんは何も言わずに聞いてくれた。……タマモはずっとクッキーをかじってたけど。
「……なるほどね」
「どうして私たちが逃げなければならないんですか? ユミエラさんは何かわかりますか?」
「ふふっ」
「?」
「まったく分からないわ。一体なんででしょうねぇ~」
わからないんかーい。
意味深な笑みを浮かべ優雅に紅茶を飲んでいたのは何だったの。
「ごめんなさいね。私、そう言うの苦手で。ここにミシェルがいれば簡単にわかったのでしょうけど」
「ミシェルさん……?」
「私のメイドよ。私が小さい頃からずっとお世話してくれてたの」
「小さい頃って……今何歳なんですか?」
カナモが聞きにくいことをズバッと質問する。
そこには踏み込んではいけないと思うんだけど!?
「何歳…………そう言えばあれから何年たっているのかしら?」
「「へ?」」
「私この森からあまり出ないから、時間の感覚って分からないのよね。アリアのお孫さんがここにいるってことは、それなりに時間が経っているとは思うのだけれど……」
頬に手を当てやんわりとそう言うユミエラさん。
そんなのほほ~んとした雰囲気で言うことじゃないですよ、それ。
「でも、そうね。この子を保護してから十年くらい?だから、七十歳くらいは言ってるんじゃないかしら?」
「「な、七十……」」
いやいやいやいやいやいや。
七十て。絶対に違うでしょ。
どう見たって十八歳の深窓の御令嬢ですよ。
若作りにもほどがありますって。
「そうは見えない? 嬉しいわぁ」
「ほ、本当に七十歳……?」
「おそらくね。ミシェルに聞けばすぐわかるのだけど、今いないから」
どこかに言っているのかな。
寂しそうに言うからもう……なんてことも。
「――――お嬢様ぁぁぁぁぁぁぁぁl!!! たっだいま、戻りましたよー!!」
突然、大きな声が響いた。
そして勢いよくドアが開き、黒髪の美人なメイドさんが入ってきた。
「あら、ミシェル。ちょうどよかったわ」
「……お嬢様、久しぶりに帰ってきたメイドに何か言うことはないのですか?」
「久しぶりって言っても、この前帰って来てから三日も経ってないじゃない。……まあ、おかえりなさい」
「はいっ! ただいまです! はぁ……三日ぶりのお嬢様の匂い。たまらんですねぇ」
メイドさん――――ミシェルさんがユミエラさんに抱き着き、すんごい匂いを嗅いでいる。
というか、鼻血出てない? 大丈夫ですか?
「ミシェル、子どもたちが見てるから変なことしない。あなたのそれは教育に悪いわ」
「え……? 児ポ扱いされるのはさすがの私でも傷つきますよ……」
「……お姉おかえり。ハンバーグ」
「帰って早々作れと? タマモ、あなた私の後輩なのだけど? 自分で作れるでしょ?」
「……めんど――お姉のがいい……」
「今、めんどくさいって言おうとしたわね? ちゃんと聞いているのですからね?」
「それよりミシェル? ちゃんと仕事はしてきたの?」
「抜かりなく。しっかりとお守りして連れてきました」
ミシェルさんがそう言うと、開け放たれたドアから数人の男女が入ってきた。
というか、それはもう知っている顔ぶれでした。
「――ママ!?」
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