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第二部
*カナリア視点 (2)
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――サンドリオン王宮中庭。
今、私の目の前には多くの兵士たちがきれいに整列している。
ついにこの日が来た。
ああ、早く会いたいわぁ。
ここまで長かったわ。
あれからさらに一週間くらい時間がかかったもの。
理由は一つ。それもこれも王子が無能なせい。
私の話を信じなかったどころか、王様から兵を使う許可ももらえなかった。
そのせいで余計な時間を使ってしまったし、無駄に私が動き回ることになってしまった。
まったく、今回で力を取り戻したらこの王子は用済みね。
どうにかして処分の方法を考えましょう。
そんなことよりも、今はお姉様ね。
待ち遠しくて今も胸が高鳴って落ち着かないわ。
ここにいる兵士たちは集められた理由もそれなりにしか聞かされていない。
これから王子よりその説明を受ける。
「皆の者、よく集まってくれた。これよりある大規模な計画を実行する。しかし、大規模と言っても目的は逃亡者を捕らえることだ。皆も知っての通り、先日我が国から偽聖女が逃亡し、皆の協力の下捜索していたが未だ捕らえることはできていない。だが、ようやくその尻尾を掴むことができた。偽聖女の潜伏先を我らが聖女カナリアが見つけ出したからだ。
奴は現在聖魔の森に潜伏しているらしい。ここより遥か東の地にあるあの森だ。皆も聞いたことがあると思うが、かなり危険な場所だという。そこに偽聖女はいる。そして最近では気になる噂も耳にした。
そこで、今回我々は偽聖女を捕らえると共に噂の真相を究明すべく、聖魔の森の探索を決行する!
噂が確かなものなら、その少女たちを我が国に迎え入れ、我が国のさらなる発展に協力してもらおうと思う。
そのためにも我が国精鋭たちの力を借りたい。諸君らの奮戦を期待する!」
予定通りね。
こうやって言っておけば、兵士たちのやる気も上がるし私の好感度も上がる。
なんせ聖女である私が偽聖女を見つけたのだから。
完璧だわ。まあ、王子が失態を誤魔化しているのは少し気になるけど。
それは今は良しとしましょう。
「恐れながら、殿下。一つ質問をしてもよろしいでしょうか?」
「将軍か。構わん、申せ」
「ありがたく。今回の大規模計画については了承いたしました。しかし、今作戦を行うにあたって準備不足が否めないのですが、それについてはどうお考えか?」
そんなものどうにかしなさいよ。
あたしは早くお姉様に会いたいのよ。
これ以上引き延ばされたりなんかしたら許さないわよ。
「それについては問題ない。すでに準備は万全である。……そうであろう、魔導士殿?」
「ええ、ええ。そうですとも。全てこちらで準備をさせていただきました。移動手段も確保してあります。皆さんはご自分の支度を整え、二時間後に東門に再度集合なさってください」
「……承った」
将軍がそう言うと、兵士たちは何を言われるでもなく散開した。
二時間後にまた東門に集まるために。
「では、我々も準備をするとしましょう。聖女様もご支度をなさっては? あなたも行くのでしょう?」
「ええ、もちろんです。お姉様は私の手で捕まえたいのです」
早々にその場を立ち去る。
早く、早く、行かなきゃ。
あと二時間。その二時間が長く感じる。
それくらいなぜか高揚している。
自分で自分がわからない。どうしたのだろうか。
そして二時間が経ち――。
「殿下、一切の欠員なく御前に」
「うむ、ご苦労。では、魔導士殿」
「はい。これより皆様を聖魔の森まで転移させます。初の試み故何か不具合が生じるかもしれません。しかし、せいぜい転移酔いするくらいかと。心配することはございません。よろしいですかな?」
「構わん。それでは、行くぞ! 目的は偽聖女の捕縛、そして聖魔の森の探索である。覚悟を決めよ! 我に続け!」
あぁ、ようやくだわ。
今、行くわ。
どんな顔をするかしら。どんな声で、どんな思いで、想像するだけで張り裂けそう。
待っててね、お姉様ぁ。
「――――その必要はございません。私はここにいます」
今、私の目の前には多くの兵士たちがきれいに整列している。
ついにこの日が来た。
ああ、早く会いたいわぁ。
ここまで長かったわ。
あれからさらに一週間くらい時間がかかったもの。
理由は一つ。それもこれも王子が無能なせい。
私の話を信じなかったどころか、王様から兵を使う許可ももらえなかった。
そのせいで余計な時間を使ってしまったし、無駄に私が動き回ることになってしまった。
まったく、今回で力を取り戻したらこの王子は用済みね。
どうにかして処分の方法を考えましょう。
そんなことよりも、今はお姉様ね。
待ち遠しくて今も胸が高鳴って落ち着かないわ。
ここにいる兵士たちは集められた理由もそれなりにしか聞かされていない。
これから王子よりその説明を受ける。
「皆の者、よく集まってくれた。これよりある大規模な計画を実行する。しかし、大規模と言っても目的は逃亡者を捕らえることだ。皆も知っての通り、先日我が国から偽聖女が逃亡し、皆の協力の下捜索していたが未だ捕らえることはできていない。だが、ようやくその尻尾を掴むことができた。偽聖女の潜伏先を我らが聖女カナリアが見つけ出したからだ。
奴は現在聖魔の森に潜伏しているらしい。ここより遥か東の地にあるあの森だ。皆も聞いたことがあると思うが、かなり危険な場所だという。そこに偽聖女はいる。そして最近では気になる噂も耳にした。
そこで、今回我々は偽聖女を捕らえると共に噂の真相を究明すべく、聖魔の森の探索を決行する!
噂が確かなものなら、その少女たちを我が国に迎え入れ、我が国のさらなる発展に協力してもらおうと思う。
そのためにも我が国精鋭たちの力を借りたい。諸君らの奮戦を期待する!」
予定通りね。
こうやって言っておけば、兵士たちのやる気も上がるし私の好感度も上がる。
なんせ聖女である私が偽聖女を見つけたのだから。
完璧だわ。まあ、王子が失態を誤魔化しているのは少し気になるけど。
それは今は良しとしましょう。
「恐れながら、殿下。一つ質問をしてもよろしいでしょうか?」
「将軍か。構わん、申せ」
「ありがたく。今回の大規模計画については了承いたしました。しかし、今作戦を行うにあたって準備不足が否めないのですが、それについてはどうお考えか?」
そんなものどうにかしなさいよ。
あたしは早くお姉様に会いたいのよ。
これ以上引き延ばされたりなんかしたら許さないわよ。
「それについては問題ない。すでに準備は万全である。……そうであろう、魔導士殿?」
「ええ、ええ。そうですとも。全てこちらで準備をさせていただきました。移動手段も確保してあります。皆さんはご自分の支度を整え、二時間後に東門に再度集合なさってください」
「……承った」
将軍がそう言うと、兵士たちは何を言われるでもなく散開した。
二時間後にまた東門に集まるために。
「では、我々も準備をするとしましょう。聖女様もご支度をなさっては? あなたも行くのでしょう?」
「ええ、もちろんです。お姉様は私の手で捕まえたいのです」
早々にその場を立ち去る。
早く、早く、行かなきゃ。
あと二時間。その二時間が長く感じる。
それくらいなぜか高揚している。
自分で自分がわからない。どうしたのだろうか。
そして二時間が経ち――。
「殿下、一切の欠員なく御前に」
「うむ、ご苦労。では、魔導士殿」
「はい。これより皆様を聖魔の森まで転移させます。初の試み故何か不具合が生じるかもしれません。しかし、せいぜい転移酔いするくらいかと。心配することはございません。よろしいですかな?」
「構わん。それでは、行くぞ! 目的は偽聖女の捕縛、そして聖魔の森の探索である。覚悟を決めよ! 我に続け!」
あぁ、ようやくだわ。
今、行くわ。
どんな顔をするかしら。どんな声で、どんな思いで、想像するだけで張り裂けそう。
待っててね、お姉様ぁ。
「――――その必要はございません。私はここにいます」
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