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第二部
作戦会議 (3)
しおりを挟む「それじゃ、そろそろ遊んでないでまじめに作戦会議と行きますか」
「私は遊んでなかったですよっ。最初から真面目でしたっ」
まったく。
遊んでいたのはあなた方でしょうに。
困った人たちですね。
「すまんすまん。少しお嬢様をからかっていただけさ」
「そういうのはアリアだけにしておきなさい。変な誤解をされてはかわいそうですよ」
「確かにそうか。お嬢様の言う通りだな。気を付けるとするよ」
「? えっと……どういう意味ですか?」
「なんでもない」
シュウさんが誤魔化すかのようにアリアの頭を撫でています。
アリアは嬉しいやら恥ずかしいやらと感情がごちゃ混ぜになった表情をしています。
顔は真っ赤です。
彼女の心を弄んで、そういうのは良くないと思います。
シュウさんももっと素直になればいいものを。
「それで、何か良い策はあるのかい?」
「それをこれから考えようとしていたのです。そのためにもカイに少しお仕事を頼んでいたのですから」
「そんな気軽に神獣を扱える人間なんてお嬢様くらいだろうなぁ」
そんな変な人みたいに言わないでください。
いつかアリアもそうなるかもしれないじゃないですか。
……いえ、ヴィルに振り回されるアリアが想像できました。
私と同じような想像をしたのか、シュウさんと他騎士たちが皆一様に心配そうな顔でアリアさんを見ています。
当の本人は理解できず頭にはてなマークを浮かべています。
「カイ、何か良い情報は得られましたか?」
『別に大したものはない。聞いたのは、最近聖女が顔を出さないこと、それと国中の騎士を集めているということ、あとは王子がこの森の情報を集めていること、くらいだ』
「なるほど。どうなのでしょうか」
「どうなのでしょうかって、これだけ聞けばわかると思うのですが。ですよね?」
「ああ、そうだな。この情報だけでかなり国の現状を理解できる」
そうなのですか。
私はそういうのに疎いのでしっかりと教えていただかないとわかりません。
この中でわからないのは私とアリアだけみたいです。
「簡単な話だ。
まず聖女が顔を出さないのはおそらくというか確実に魔法が使えないからだろう。あいつはアリアが側にいないと呪いの効果もなくなるからな。
あと騎士を集めているのはアリアを探しているから。それでこの森の情報を集めているのは俺たちがここにいることがバレたとみて間違いないだろう。そのための戦力集めというところか」
「「なるほどぉ」」
納得ですね。
とても分かりやすく解説してくれました。
ということは。
「その妹さんたちがこの森までやってくるということですか?」
「おそらくな。この森の話はサンドリオンの人間でも知っている。だから騎士を集めているんだろう。だがそれだけ数が多くなると移動に時間がかかる。ましてや、そんな戦力を率いてここまで来るのは困難だ。なんせここまでの道に何個か国をまたがなくてはならないからな」
「そうなったら確実に敵対行為とみなされ戦争に発展しますね。サンドリオンの位置から考えて一番近いのは帝国ですね」
「そうだ。もしそうなったらサンドリオンの軍隊に勝ち目はない。帝国の戦力に敵うはずもないからな。だからそんな愚かなことはしないだろう」
「では、どうすると思いますか?」
私の質問に皆黙り込んでしまいます。
そこまではさすがに予想できないみたいです。
まあかなりの距離がありますからね。移動手段があるとは思えません。
「……私たちのように転移してくる可能性は?」
「ない…………とは言い切れないな。あれは精霊の奇跡。愛し子の願いを精霊が叶えたものだ。もしかしたらその精霊の力を使って何かするかもしれない」
「どうやってそんな――――そう言えば怪しげな魔導士がいましたね」
そのような人がいたという話を聞きました。
未だにその正体すらわからず、目的すら不明。
一体どうして協力しているのかすらも。
つまりその魔導士が何かするかもしれないということですね。
『その怪しげな魔導士とやら、見たかもしれんな』
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