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第二部

作戦会議

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「作・戦・会・議・です!」

 そう声を掛けますが、緊張感なんてかけらもありません。
 それにはちゃんと理由があります。

 まず騎士たち。彼らは勝手に始めた大食い勝負でミシェルの作った料理を全て平らげてしまったのです。
 かなりの量があったのに全てです。
 そのため大きく膨らんだお腹を押さえ、苦しそうに呻いています。

 そしてティア。
 地面に伏せているカイを枕にして眠っています。
 ピクニックの前まで寝ていたのにまだ寝るのですか。
 そう言ったのですが、睡眠は大事なのよ~と言って眠りに入りました。
 精霊王でも睡眠て大事なんですね。初耳です。

 最後にアリアたち。彼らが一番酷いです。
 シュウはアリアの膝枕で眠ってしまいました。
 確かにお疲れなのは理解しますが、今はその時ではないのです。
 そしてその眠ったシュウの頭を撫で、時々ヘラ~っと笑うアリアはまるで女の顔をしていました。
 なんであれで恋人ではないのですか。おかしいです。意義を表明します。
 それとミシェル。なぜか彼らに対抗して私の膝を枕にするのはやめてください。
 危険なのです。スリスリと撫でる手つきが怪しいです。
 あと、鼻血をどうにかしなさい。

「もうっ! ちゃんと聞いてくださいよっ!」

「ご、ごめんなさいっ。私たちのためにお力を貸してくださるのにこんな……」

 アリアだけがちゃんと私の話を聞いてくれるのです。
 しかし、頬を赤く染めシュウの頭を撫でる手は止まりませんが。

「それにしても、お嬢様はやけにやる気ですね。一体どうなさったのですか?」

「いい質問です、ミシェル。頭をなでなでしてあげます」

「はうっ。さ、最上級のご褒美。……いい……最高です……もう死んでもいい……」

 何を言っているのですかこのメイドは。
 ぺしっと頭を叩いてやりました。

「私が今回やる気なのにはちゃんとした理由があるのです」

「そ、そうなのですか……?」

「はい。その理由は……――――本で読んだのです」

「………………はい?」

「だから、本で読んだのです」

「……え~と……つまり?」

 ここまで言っても伝わらないとは。難儀なものですね。
 しっかりと説明しなくてはいけませんね。

「いえ、お嬢様。説明も何も、理由が本で読んだと言われては何が何やら。まず理由として成り立っていないのですよ」

「そうでしょうか。いえ、わかりました。説明しますとも。
 本で読んだというのはですね、いわゆるそういう娯楽本を読んだということです。アリアのような女の子が立場を奪われ逃げた先で力を得る。そして元の場所に戻りまた返り咲く。
 こんな内容の本でした。そんなことが現実に実際あるとは思わなかったのです、少し楽しみなんです。……少々不謹慎かもしれないのは分かっていますが」

 私がそう言うと、アリアも微妙な表情を浮かべていますね。
 ミシェルはなぜか慈愛の籠った視線で私を見上げています。
 ミシェルのその顔の意味は分かりますよ。どうせ、お嬢様ったら本当に尊いですね、とか思っている顔です。

「まさにその通りです。よくわかりましたね」

「だから、心を読むんじゃないと、言っているでしょう」

 ミシェルの額にチョップ。
 痛っ、と声をあげミシェルは額を押さえました。

「アリア、気を悪くしたのなら謝罪します。ですが、しっかりと協力はするつもりです。そこだけは疑いのないようお願いいたします」

「い、いえ、気を悪くしたとかそんなことではなくて」

「ではそのように考えこんでどうしたのですか?」

「その……ユミさんの読んだ本では、物語の少女は元の地位に返り咲いたというのですよね?」

「そうですね。元々いた場所に戻り幸せになったと」

「そこです。……果たして私は妹を止め、元の聖女の地位に戻って幸せになれるのかと…………」

 アリアが悲痛そうな表情でそう言いました。
 確かにそれは私ではどうにもならないかもしれませんね。
 一旦、気分を変えるため、ミシェルにお茶を入れてもらいましょうか。









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