婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ

あげは

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第二部

探索

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 今、私の目の前には色鮮やかなお花畑が広がっています。
 前に来てから私のお散歩コースの定番となりました。
 いつ来てもこの景色は綺麗です。うっとりします。

 しかし。
 今日の目的は違います。
 今日は探索です。新しい場所の発見です。新規開拓なのです。
 今まで行ったことのないお花畑の先に行ってみたいと思います。

 他の動物さんたちとはここで一旦お別れです。
 この先には私とアリア、そしてカイのみで行きます。
 動物さんたちにはここで私たちが戻ってくるまで待機してもらいます。

「……あの、大丈夫なんですか? なんだかこの先の森、不穏な感じがするんですけど」

 アリアが不安そうに言います。
 確かにこの先の森はなんだか薄暗くていかにもな感じです。

「問題ありません。何事も挑戦です。やってみなければわからないのです。ええ。そのためにカイを連れてきたと言っても過言ではありません」

『主よ、ミシェルには言ってあるのだろうか?』

「もちろん、言ってませんとも。普通にお散歩と言ってきました」

『……後で怒られるのが分かっているのに、なぜいつも』

「カイ、あなたにいいことを教えてあげます。人間怒られることを恐れていては成長できないのです。新しいことをするにはまず、一歩踏み出すことが肝要なのです!」

 ふっふーん、とドヤ顔で言い切ってやりました。
 カイが呆れ顔を浮かべてますが知りません気にしません。
 アリアもどうして不安そうな顔をしていらっしゃるのですか?

「……神獣様。これは本当に大丈夫なのでしょうか?」

『安全ではある。しかし帰ってからが怖い』

 何も怖いことなんてありませんよ。
 それでは早速行きましょう。
 二人とも、私についてきなさい。



 ◇◇◇



 ――――――……一時間後。

「えっと……、ユミさん? ここは一体どこなのでしょうか……?」

「さあ、私にもわかりませんよ」

 さて、とりあえず道なりに歩いてきましたが、まったく景色の変わらない森の中で私たちは迷子になっていました。

『安心しろ。帰る方向はわかっている』

「……私たちの現在地については?」

『…………』

 カイが黙ってしまいました。
「わからないんですかぁぁぁ!?」とアリアが叫んでいますがご愛嬌です。

「カイ、近くに何かありませんか?」

『湖に繋がっている川が五百メートル先。その周囲に穴倉のような何か』

「なるほど。湖に繋がっている川であれば帰るのは容易ですね。今日はその周囲を探索しましょう」

「……うっ……よかったですぅ……帰り道が分かって……」

 なぜかアリアは泣いていました。
 案外涙脆いのですね。ミシェルが言っていました。女の涙は武器だと。
 意味は分かりませんでしたが。

「それでは行きますよ。レッツ探索です♬」

 ウキウキな私を先頭に一行は暗い森を進んでいきます。






 …………それを見つめる影があることも知らずに。








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