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第二部
ここは……? *アリア視点
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「……………んぅ……ここは……?」
「あ。ミシェル、起きたみたいですよ~」
なんだか気の抜けるような女の子の声。
えーと、何をしてたんだっけ?
たしか……――――そうだっ!
「シュウ!? みんな!?」
飛び起きて周囲を見渡し騎士たちを探す。
何やらカフェのような内装。それより騎士たちは何処に。
「あ、あの! 私の他に騎士が数人いたと思うのですが!?」
「一旦落ち着いてください。大丈夫ですよ。みんな生きてます。今は別の場所で寝かせてます。酷い怪我でしたので」
「そ、そうですか……よかった……本当に」
みんなが無事と聞いて気が抜けたのか、涙があふれてきました。
お、おかしいですね。いつもならこんなことないのに。
涙が止まってくれません。
金糸の華麗な刺繍の入って高級そうなハンカチが差し出された。
顔を上げると、そこには作り物のような美少女の顔が。
落ち着いて見るとこの方すごい美少女ですね。
金の髪に真っ赤な瞳が幻想的な雰囲気を感じさせる。
「ありがとうございます……」
「いえいえ。今私のメイドが紅茶の準備をしているんです。お茶でもしながらお話ししませんか?」
「……」
思わず見つめてしまった。
何この子。笑顔の破壊力がとんでもないわ。
なんでか胸がドキドキしてきました。
ふとシュウがいつも言っていたことを思い出しました。たしか『美少女の微笑み爆弾は男女問わず』とか。
その言葉の意味を理解してしまった気がします。
「あの、どうかしましたか……?」
「い、いえっ。何でも、ありません。お言葉に甘えて……」
「よかった! ミシェルの淹れてくれる紅茶はとても美味しいんですよ。それにクッキーも。それに私、こうして女の子とお茶するの憧れてたんですっ!」
美少女が飛び跳ねんばかりに喜んでいる。
何だろう、この可愛い生き物は。
なんだか抱きしめたくなってくる。頭を撫でてあげたいわ。
ていうか、美少女の周囲に何か水晶のようなものが飛び回っているのだけれど。
一体何――――キッチンの方で鼻血を出しているメイドさんがいた。
え? 何? 何なのほんと。
「あのぉ、後ろでメイドさんが大変なことになっているのですが……」
「? あ、ミシェル何してるの? 鼻血だしてないで準備は? お客様を待たせたらいけないわ」
美少女はいつものことなのでと言ってメイドの下に行った。
お茶の準備ができるまで、私は状況の整理をすることにした。
◇◇◇
「まずは自己紹介からかしら。私はユミエラと申します。こっちが」
「ユミエラお嬢様のメイドをしております、ミシェルです」
金髪の美少女がユミエラ、黒髪の美人メイドがミシェルね。
所作からどこかのお嬢様だということがうかがえる。
これだけでもシュウが興奮しそうね。情景が目に浮かぶようだわ。
「私はアリアと申します。この度は我々をお救いくださりありがとうございます」
「気にしないでください。たまたまお散歩中に見つけただけですから。怪我している人を見捨てることもできませんし。何か事情もおありのようですしね」
それは分かってしまうか。
隠し通せるものでもないし、元々隠すつもりもない。
しかし、それより先に聞きたいことがある。
「私たちのことも全てお話しします。ですが、その前に一つお聞きしてもよろしいですか?」
「ええ、どうぞ」
「ここは一体どこなのでしょうか? 気づいたらあの花畑にいたもので」
「そうでしたね。ティアが突然転移してきたと言っていたので場所は知らないですよね」
「ティア? 転移?」
「ええ。ここは――『聖魔の森』の中心。聖樹によって守られた聖域です。聞いたことありますか?」
「へ?」
い、今なんと……?
聖魔の森ってあの? というか聖樹ってあの伝説の?
「ど、どうしよう、ミシェルっ。アリアさん固まってしまったわ。私何か変な事言ったかしら」
「いや、突然聖魔の森の中心で、しかも聖樹の聖域に転移してきたなんて言われたら思考停止もしますよ。
……それにしてもアリア様もかなりの美人、いや美少女?ですね。まあ、お嬢様には負けますが」
「そんなこと言っている場合ではないでしょ。それにしても、転移ってどこから来たのかしら。このお洋服、私見たことないわ」
「あー……それはあれですね。クィンサス王国から帝国に向かって西のさらに先にある、砂漠の大国の民族衣装ですね。国というか砂漠に作られたオアシスのようなものだとか」
「へぇ。そんな遠いところから。砂漠ってあれよね。確か辺り一面砂だらけで過酷な環境って本に書いてあったわ。そんなところにも人が住んでいるのね」
「当たり前じゃないですか。ていうかそこは結構有名ですよ。確か魔王戦記にも記載されているほどでした」
「まあ! そうなのね」
なんだか私を置いて話が進んでいる。
しかし、現実を受け入れるのにもう少し時間をください。
ああ、神よ……………………。
「あ。ミシェル、起きたみたいですよ~」
なんだか気の抜けるような女の子の声。
えーと、何をしてたんだっけ?
たしか……――――そうだっ!
「シュウ!? みんな!?」
飛び起きて周囲を見渡し騎士たちを探す。
何やらカフェのような内装。それより騎士たちは何処に。
「あ、あの! 私の他に騎士が数人いたと思うのですが!?」
「一旦落ち着いてください。大丈夫ですよ。みんな生きてます。今は別の場所で寝かせてます。酷い怪我でしたので」
「そ、そうですか……よかった……本当に」
みんなが無事と聞いて気が抜けたのか、涙があふれてきました。
お、おかしいですね。いつもならこんなことないのに。
涙が止まってくれません。
金糸の華麗な刺繍の入って高級そうなハンカチが差し出された。
顔を上げると、そこには作り物のような美少女の顔が。
落ち着いて見るとこの方すごい美少女ですね。
金の髪に真っ赤な瞳が幻想的な雰囲気を感じさせる。
「ありがとうございます……」
「いえいえ。今私のメイドが紅茶の準備をしているんです。お茶でもしながらお話ししませんか?」
「……」
思わず見つめてしまった。
何この子。笑顔の破壊力がとんでもないわ。
なんでか胸がドキドキしてきました。
ふとシュウがいつも言っていたことを思い出しました。たしか『美少女の微笑み爆弾は男女問わず』とか。
その言葉の意味を理解してしまった気がします。
「あの、どうかしましたか……?」
「い、いえっ。何でも、ありません。お言葉に甘えて……」
「よかった! ミシェルの淹れてくれる紅茶はとても美味しいんですよ。それにクッキーも。それに私、こうして女の子とお茶するの憧れてたんですっ!」
美少女が飛び跳ねんばかりに喜んでいる。
何だろう、この可愛い生き物は。
なんだか抱きしめたくなってくる。頭を撫でてあげたいわ。
ていうか、美少女の周囲に何か水晶のようなものが飛び回っているのだけれど。
一体何――――キッチンの方で鼻血を出しているメイドさんがいた。
え? 何? 何なのほんと。
「あのぉ、後ろでメイドさんが大変なことになっているのですが……」
「? あ、ミシェル何してるの? 鼻血だしてないで準備は? お客様を待たせたらいけないわ」
美少女はいつものことなのでと言ってメイドの下に行った。
お茶の準備ができるまで、私は状況の整理をすることにした。
◇◇◇
「まずは自己紹介からかしら。私はユミエラと申します。こっちが」
「ユミエラお嬢様のメイドをしております、ミシェルです」
金髪の美少女がユミエラ、黒髪の美人メイドがミシェルね。
所作からどこかのお嬢様だということがうかがえる。
これだけでもシュウが興奮しそうね。情景が目に浮かぶようだわ。
「私はアリアと申します。この度は我々をお救いくださりありがとうございます」
「気にしないでください。たまたまお散歩中に見つけただけですから。怪我している人を見捨てることもできませんし。何か事情もおありのようですしね」
それは分かってしまうか。
隠し通せるものでもないし、元々隠すつもりもない。
しかし、それより先に聞きたいことがある。
「私たちのことも全てお話しします。ですが、その前に一つお聞きしてもよろしいですか?」
「ええ、どうぞ」
「ここは一体どこなのでしょうか? 気づいたらあの花畑にいたもので」
「そうでしたね。ティアが突然転移してきたと言っていたので場所は知らないですよね」
「ティア? 転移?」
「ええ。ここは――『聖魔の森』の中心。聖樹によって守られた聖域です。聞いたことありますか?」
「へ?」
い、今なんと……?
聖魔の森ってあの? というか聖樹ってあの伝説の?
「ど、どうしよう、ミシェルっ。アリアさん固まってしまったわ。私何か変な事言ったかしら」
「いや、突然聖魔の森の中心で、しかも聖樹の聖域に転移してきたなんて言われたら思考停止もしますよ。
……それにしてもアリア様もかなりの美人、いや美少女?ですね。まあ、お嬢様には負けますが」
「そんなこと言っている場合ではないでしょ。それにしても、転移ってどこから来たのかしら。このお洋服、私見たことないわ」
「あー……それはあれですね。クィンサス王国から帝国に向かって西のさらに先にある、砂漠の大国の民族衣装ですね。国というか砂漠に作られたオアシスのようなものだとか」
「へぇ。そんな遠いところから。砂漠ってあれよね。確か辺り一面砂だらけで過酷な環境って本に書いてあったわ。そんなところにも人が住んでいるのね」
「当たり前じゃないですか。ていうかそこは結構有名ですよ。確か魔王戦記にも記載されているほどでした」
「まあ! そうなのね」
なんだか私を置いて話が進んでいる。
しかし、現実を受け入れるのにもう少し時間をください。
ああ、神よ……………………。
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