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第一部
あれから
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――あれから三か月くらい経ったでしょうか。
私は聖魔の森でいつものように過ごしていました。
いつもと変化のない日常は退屈。そんなことを言う人もいるそうですが、私はそんなこと思いません。
あの忙しかった日々に比べれば、ここでの生活がどれほど有意義か。
楽しい毎日を優雅に過ごせています。とてもいいです。
そうです。
クィンサス王国について少しお話ししましょう。
あの後、王太子様方は最速で王国まで戻ったそうです。
しかし王太子様は呆然自失のまま、王宮の部屋に籠ってしまったとか。
その上、国民たちの反乱に帝国と共和国の介入。かなり大変だったみたいです。
そのような状況下でカラン様は盛大に名を挙げることになりました。
国民の反乱を収める手腕、帝国と共和国との交渉、そして貴族たちをまとめ上げるカリスマ。
皆口々に素晴らしいと讃えていると聞きました。
カラン様お力によって、クィンサス王国はなくならずに済んだそうです。
帝国と共和国双方の属国として難を逃れたそうですわ。
そうなるのも仕方ないとは思いますが、割譲とまでいかなかったことはお見事、と言えるでしょう。
あとは混乱を極めた王室と貴族を何とかあるべき形にしようと尽力しているみたいです。
私とミシェルも罪人ではなく国賓扱いらしいです。
なんでも、私が神獣と契を交わしたからだとか。大出世、と言うよりも大げさな気がします。
しかし、カラン様が事を成した暁には、私も一度王国に足を運んでみたいと思います。
そうなる日を楽しみにしていましょう。
……そう言えば、私の実家はどうなったのでしょうか?
何の情報もありませんからどうなったのかわかりません。正直興味もないのでいいのですが。
まあ、結末くらいは知ってもいいかな、とは思います。
「――お嬢様、今日はコーヒーですよ~。何を読んでいらっしゃるのですか?」
「ミシェル、ありがとう。これはカラン様からのお手紙よ」
なんとカラン様は週に一度ガッフの街までお手紙を送ってくれるのです。
手紙は冒険者ギルドを通じて魔法で送れるので意外と便利ですよね。
そういうわけなので私がこんなにも王国の情勢に詳しいのです。
「へー。あの人意外とできる人だったんですねぇ」
「そうね。まああの王太子様を支えていた人だもの」
「そう言われると納得ですね」
「でしょ? ……このクッキー美味しいわね」
「ありがとうございます。先日街で珍しいものを見つけたので買ってみたんです。お口にあってよかったです」
「ええ。とても好きよ。なんていうものなの?」
「もの自体の名前は聞いてないのですが……そうですね。桜クッキーとでも言いましょうか。東洋国家から仕入れたものらしいですよ」
「東洋国家……。聞いたことないわね。どんなところなのかしら」
「今度、全力で調べて参ります」
「ほどほどにね」
うん、美味しいです。
こういうのも悪くないですね。
『あー!! あたしに内緒でお菓子食べてる! ずるいわ。あたしのも寄こしなさい!』
「もちろんです。ティアもどうぞ」
『わーい』
「あなたたちもどうですか?」
『お菓子だー』
『ミシェルのはうめーからな』
『俺たちが遠慮なく』
『もらってやるぜ!』
ティアと四大精霊さんたちがクッキーを頬張っています。
なんだか微笑ましいですね。
『主、動物たちが騒がしい。何とかしてくれ』
カイが困ったような声で訴えてきました。
気が付くといつの間にか大量の動物さんたちが集まっていました。
よく見ると家の周りもたくさんの動物さんたちに囲まれていました。
「まあ。それなら今日はピクニックですね。ミシェル、準備を」
「すでに整っております」
「さすがね。では、行きましょうか。みんな行きますよ~!」
私すぐ後ろにミシェルとカイが。精霊さんたちは私たちの周りを飛び回っています。
その後ろを動物さんたちが和気藹々とついてきます。みんな仲良しですね。とても良いことです。
なんだか私もうれしい気持ちでいっぱいです。
今日も楽しい一日になりそうです!
~第一部 完~
私は聖魔の森でいつものように過ごしていました。
いつもと変化のない日常は退屈。そんなことを言う人もいるそうですが、私はそんなこと思いません。
あの忙しかった日々に比べれば、ここでの生活がどれほど有意義か。
楽しい毎日を優雅に過ごせています。とてもいいです。
そうです。
クィンサス王国について少しお話ししましょう。
あの後、王太子様方は最速で王国まで戻ったそうです。
しかし王太子様は呆然自失のまま、王宮の部屋に籠ってしまったとか。
その上、国民たちの反乱に帝国と共和国の介入。かなり大変だったみたいです。
そのような状況下でカラン様は盛大に名を挙げることになりました。
国民の反乱を収める手腕、帝国と共和国との交渉、そして貴族たちをまとめ上げるカリスマ。
皆口々に素晴らしいと讃えていると聞きました。
カラン様お力によって、クィンサス王国はなくならずに済んだそうです。
帝国と共和国双方の属国として難を逃れたそうですわ。
そうなるのも仕方ないとは思いますが、割譲とまでいかなかったことはお見事、と言えるでしょう。
あとは混乱を極めた王室と貴族を何とかあるべき形にしようと尽力しているみたいです。
私とミシェルも罪人ではなく国賓扱いらしいです。
なんでも、私が神獣と契を交わしたからだとか。大出世、と言うよりも大げさな気がします。
しかし、カラン様が事を成した暁には、私も一度王国に足を運んでみたいと思います。
そうなる日を楽しみにしていましょう。
……そう言えば、私の実家はどうなったのでしょうか?
何の情報もありませんからどうなったのかわかりません。正直興味もないのでいいのですが。
まあ、結末くらいは知ってもいいかな、とは思います。
「――お嬢様、今日はコーヒーですよ~。何を読んでいらっしゃるのですか?」
「ミシェル、ありがとう。これはカラン様からのお手紙よ」
なんとカラン様は週に一度ガッフの街までお手紙を送ってくれるのです。
手紙は冒険者ギルドを通じて魔法で送れるので意外と便利ですよね。
そういうわけなので私がこんなにも王国の情勢に詳しいのです。
「へー。あの人意外とできる人だったんですねぇ」
「そうね。まああの王太子様を支えていた人だもの」
「そう言われると納得ですね」
「でしょ? ……このクッキー美味しいわね」
「ありがとうございます。先日街で珍しいものを見つけたので買ってみたんです。お口にあってよかったです」
「ええ。とても好きよ。なんていうものなの?」
「もの自体の名前は聞いてないのですが……そうですね。桜クッキーとでも言いましょうか。東洋国家から仕入れたものらしいですよ」
「東洋国家……。聞いたことないわね。どんなところなのかしら」
「今度、全力で調べて参ります」
「ほどほどにね」
うん、美味しいです。
こういうのも悪くないですね。
『あー!! あたしに内緒でお菓子食べてる! ずるいわ。あたしのも寄こしなさい!』
「もちろんです。ティアもどうぞ」
『わーい』
「あなたたちもどうですか?」
『お菓子だー』
『ミシェルのはうめーからな』
『俺たちが遠慮なく』
『もらってやるぜ!』
ティアと四大精霊さんたちがクッキーを頬張っています。
なんだか微笑ましいですね。
『主、動物たちが騒がしい。何とかしてくれ』
カイが困ったような声で訴えてきました。
気が付くといつの間にか大量の動物さんたちが集まっていました。
よく見ると家の周りもたくさんの動物さんたちに囲まれていました。
「まあ。それなら今日はピクニックですね。ミシェル、準備を」
「すでに整っております」
「さすがね。では、行きましょうか。みんな行きますよ~!」
私すぐ後ろにミシェルとカイが。精霊さんたちは私たちの周りを飛び回っています。
その後ろを動物さんたちが和気藹々とついてきます。みんな仲良しですね。とても良いことです。
なんだか私もうれしい気持ちでいっぱいです。
今日も楽しい一日になりそうです!
~第一部 完~
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