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第一部
解決
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「さて皆様、これからどうなさいますか?」
私は呆然としている王太子様を無視して他の方々に問いかけます。
ガッフの街の冒険者はおそらく報酬に釣られてきたのでしょう。お互いに顔を見合わせてからこの場を去っていきました。
残ったのはアルフレッド様が王国から連れてこられた騎士や部下の方々です。
「あなた方が王国に戻ったとしても殺される、なんてことはないと思います。しかし、今のような生活ができるとは思えないでしょう。おそらく帝国と共和国で王国を分割するのではないかと。そうなったとき、王国の貴族たちは必要なですからね」
こうして話しても顔色に変化はありません。
先ほどの話で御自分の立場を理解されたのでしょう。
この場にいる全員から相応の覚悟を感じます。
「私のお願いは一つ。これ以上関わらないことです。正直王国がなくなったとしても問題はないはずです。国民の皆様はお強いですから。帝国と共和国に接収されようが自分たちの力で歩いていけると思います。できれば私が罪人であるというのは訂正してほしいですが」
「……わかりました。それについては尽力しましょう」
「ありがとうございます。あとはあなたたちがどうするか、です。私としてはこのまま王国に戻ることをお勧めします。逃げ続けるのは大変ですからね」
「そうですね。大人しく王国に戻ることとします。……こうなるとは思っていましたから」
「そうなのですか?」
「ええ。ユミエラ様を婚約破棄なさったときからこうなることを覚悟していました」
なんと。
そう思っていたにも関わらず、こうして王太子様に付き従っていたのですか。
「私はアルフレッド様の側近でしたが、あなたがいた間は側にお仕えすることはできませんでした。実家のごたごたに巻き込まれまして。しかし、あなたの仕事は時々拝見させていただいていました。一人で多くのものを背負っていたそのお姿を見て、私はあなたの下で支えとなりたかった。それも叶わず。こうして最後にお会いすることができて、良かったです。……今まで王国のためにありがとうございました」
側近の方は私に向かって頭を下げました。それに合わせ他の方々も同じように。
そのようなことを思っている方がいらっしゃったなんて、何だか照れくさいですね。
「頭をお上げください。私の方こそ、そう言っていただけてうれしいです。……あなたのお名前を教えていただけますか?」
「カラン・エバースィと申します」
「カラン様。あなたのことは忘れません。いつかまた、お会いするのを楽しみにしていますわ」
カラン様は御自分の力で歩んでいけると思います。
王国がなくなっても彼は大丈夫です。
そう思うと表情は緩み笑みがこぼれます。
「っ!? あ、ありがとう、ございます……。また、どこかで」
そう言ってカラン様は最後に一礼してから、未だ呆然としたままの王太子様の手を引き、踵を返して去っていきました。
なんだか想定以上にあっさりと終わりましたね。
おそらく王太子様が思ったよりダメな方だったからでしょうか。
あの様子では少し心配になりますね。
別に怨みがあるわけではないですし、ましてやあの方のおかげで私はこうしてここにいるのです。感謝してもいいくらいです。
そんなことを言うとミシェルに怒られるので言いませんけど。
さて、無事解決しましたし、帰ってお茶にしましょう。
「――ミシェル、何をしているの?」
「さ、先ほどのお嬢様が、尊すぎて……今にも、昇天してしまいそうですっ!」
静かだと思ったら……。
ミシェルは鼻血を出しながら、祈りの体勢で恍惚とした表情をしていました。
さすがに引きました。
「変な事言ってないで、帰るわよ。今日は何か甘いものが食べたいわ」
「お任せください。私特製のケーキをお作りします」
『僕は肉が食べたい。腹が減ったぞ』
一瞬でメイドに戻ったミシェル。
……もう何も言いませんとも。
カイは数時間で王国と聖魔の森を往復してくれました。
たっぷりと労ってあげませんといけないですね。
私はミシェルとカイを伴って、森の奥へと戻っていきました――。
私は呆然としている王太子様を無視して他の方々に問いかけます。
ガッフの街の冒険者はおそらく報酬に釣られてきたのでしょう。お互いに顔を見合わせてからこの場を去っていきました。
残ったのはアルフレッド様が王国から連れてこられた騎士や部下の方々です。
「あなた方が王国に戻ったとしても殺される、なんてことはないと思います。しかし、今のような生活ができるとは思えないでしょう。おそらく帝国と共和国で王国を分割するのではないかと。そうなったとき、王国の貴族たちは必要なですからね」
こうして話しても顔色に変化はありません。
先ほどの話で御自分の立場を理解されたのでしょう。
この場にいる全員から相応の覚悟を感じます。
「私のお願いは一つ。これ以上関わらないことです。正直王国がなくなったとしても問題はないはずです。国民の皆様はお強いですから。帝国と共和国に接収されようが自分たちの力で歩いていけると思います。できれば私が罪人であるというのは訂正してほしいですが」
「……わかりました。それについては尽力しましょう」
「ありがとうございます。あとはあなたたちがどうするか、です。私としてはこのまま王国に戻ることをお勧めします。逃げ続けるのは大変ですからね」
「そうですね。大人しく王国に戻ることとします。……こうなるとは思っていましたから」
「そうなのですか?」
「ええ。ユミエラ様を婚約破棄なさったときからこうなることを覚悟していました」
なんと。
そう思っていたにも関わらず、こうして王太子様に付き従っていたのですか。
「私はアルフレッド様の側近でしたが、あなたがいた間は側にお仕えすることはできませんでした。実家のごたごたに巻き込まれまして。しかし、あなたの仕事は時々拝見させていただいていました。一人で多くのものを背負っていたそのお姿を見て、私はあなたの下で支えとなりたかった。それも叶わず。こうして最後にお会いすることができて、良かったです。……今まで王国のためにありがとうございました」
側近の方は私に向かって頭を下げました。それに合わせ他の方々も同じように。
そのようなことを思っている方がいらっしゃったなんて、何だか照れくさいですね。
「頭をお上げください。私の方こそ、そう言っていただけてうれしいです。……あなたのお名前を教えていただけますか?」
「カラン・エバースィと申します」
「カラン様。あなたのことは忘れません。いつかまた、お会いするのを楽しみにしていますわ」
カラン様は御自分の力で歩んでいけると思います。
王国がなくなっても彼は大丈夫です。
そう思うと表情は緩み笑みがこぼれます。
「っ!? あ、ありがとう、ございます……。また、どこかで」
そう言ってカラン様は最後に一礼してから、未だ呆然としたままの王太子様の手を引き、踵を返して去っていきました。
なんだか想定以上にあっさりと終わりましたね。
おそらく王太子様が思ったよりダメな方だったからでしょうか。
あの様子では少し心配になりますね。
別に怨みがあるわけではないですし、ましてやあの方のおかげで私はこうしてここにいるのです。感謝してもいいくらいです。
そんなことを言うとミシェルに怒られるので言いませんけど。
さて、無事解決しましたし、帰ってお茶にしましょう。
「――ミシェル、何をしているの?」
「さ、先ほどのお嬢様が、尊すぎて……今にも、昇天してしまいそうですっ!」
静かだと思ったら……。
ミシェルは鼻血を出しながら、祈りの体勢で恍惚とした表情をしていました。
さすがに引きました。
「変な事言ってないで、帰るわよ。今日は何か甘いものが食べたいわ」
「お任せください。私特製のケーキをお作りします」
『僕は肉が食べたい。腹が減ったぞ』
一瞬でメイドに戻ったミシェル。
……もう何も言いませんとも。
カイは数時間で王国と聖魔の森を往復してくれました。
たっぷりと労ってあげませんといけないですね。
私はミシェルとカイを伴って、森の奥へと戻っていきました――。
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