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第一部
予定 *王太子視点あり
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ふぅ。
家もできて、一息ついたし、これから何しましょうか。
「何しましょうかって……決めてたのでは?」
「いえ。ゆっくりしたいと思っていただけで、特に何か考えていたわけではありませんよ。基本的にはカフェですが、こんなところに人なんて来ないでしょう。お客様になるのは精霊さんと動物たちですよ。……それはそれで楽しそうですね。しかし、それ以外に何をしたらいいのでしょうか」
私がそう言うとミシェルも少し考えこみます。
あてのないスローライフ。それもまた良いものでしょうが、暇すぎるのはいけません。
何か楽しいことをしたいと思います。
『こんなところですることなんて、狩りとか採集とか? あとは冒険ならできそうよ』
「狩りはしませんよ。この森も動物たちとは仲良くしようと思っているのです。そんなことをしたら嫌われてしまいますわ。ですが、冒険というのは楽しそうですね。確かにこの広大な森の中を探索するのはいいかもしれません」
「お嬢様。あまり危険な事をなさるのはオススメしません。お嬢様に対して友好的な魔物ばかりではないのです。ここを拠点に近くをお散歩する程度にしてください」
「もう。ミシェルは過保護ね」
私はムスーっとした顔でミシェルに抗議の視線を送ります。
「ゴハァッ!? そのお顔……いい……尊いです……」
『ちょっと。あんたのメイド大丈夫なの? 何かやばいんじゃないの?』
「いえ、いつものことですよ。大丈夫です」
ミシェルが急に吐血することなんて日常茶飯事です。
いや、それが日常って改めて考えるとおかしい気がしてきました。
しかし、そう言う時のミシェルはいつもうれしそうなので問題ないと思います。
「ミシェルが心配してくれるのは分かっているわ。だから、ミシェルが私を守ってくれるのなら大丈夫。そうでしょう?」
「っ! もちろんです! この命に代えましてもお守りいたしますとも!!」
『我もいるぞ。主と契を交わした身、主を守るのは我の義務だ』
「ありがとう、カイ。信頼していますよ」
『ちょ、ちょっと! あたしもいるんだからねっ。そこんとこ忘れないでよねっ』
「わかってますよ、ティア。一緒に冒険しましょうね」
『ふんっ。わかってるならいいのよ……』
ふふふ。嬉しいですね。
こういうのをおとぎ話では仲間というのでしょうか。
私、結構憧れていたのですよ。あの窮屈な世界でどれだけ自由に生きることを渇望していたか。
ですから、私は今、とても幸せです――。
◇◇◇
*王太子視点
「――まだ神獣は帰ってこないのか!!」
かれこれ一週間は帰ってこないではないか。
神獣がこんなに長く聖域を離れるなど前代未聞だ。
「鋭意捜索中ではありますが、神獣様のお力すら感じることもできず、現在難航しております」
「グダグダと言葉を並べてないでさっさと見つけてこい! これ以上神獣が帰ってこなければ聖域の効果も薄れてしまうではないか」
神獣が居座る地には聖域と呼ばれる場所が生まれる。
その聖域に守護された地では繁栄が約束されると言われている。
そのためクィンサス王国は大国として認知されているが、その守護がなくなればどうなることか。
私の代でなぜこのような事が起こるのだ!
苛立っていたところでノックもなしに勢いよく扉が開かれた。
「た、大変です!」
「こんな時に何事だ。ノックもなしに無礼な」
「そのような事を言っている場合ではありません! せ、聖域……聖域がっ!」
「聖域がどうしたというのだ」
「聖域がなくなりました!!」
は?
聖域がなくなった?
意味が分からない。それとも脳が理解することを拒んでいるのだろうか。
言葉を失った私は、ただ茫然と立ち尽くしていた……。
家もできて、一息ついたし、これから何しましょうか。
「何しましょうかって……決めてたのでは?」
「いえ。ゆっくりしたいと思っていただけで、特に何か考えていたわけではありませんよ。基本的にはカフェですが、こんなところに人なんて来ないでしょう。お客様になるのは精霊さんと動物たちですよ。……それはそれで楽しそうですね。しかし、それ以外に何をしたらいいのでしょうか」
私がそう言うとミシェルも少し考えこみます。
あてのないスローライフ。それもまた良いものでしょうが、暇すぎるのはいけません。
何か楽しいことをしたいと思います。
『こんなところですることなんて、狩りとか採集とか? あとは冒険ならできそうよ』
「狩りはしませんよ。この森も動物たちとは仲良くしようと思っているのです。そんなことをしたら嫌われてしまいますわ。ですが、冒険というのは楽しそうですね。確かにこの広大な森の中を探索するのはいいかもしれません」
「お嬢様。あまり危険な事をなさるのはオススメしません。お嬢様に対して友好的な魔物ばかりではないのです。ここを拠点に近くをお散歩する程度にしてください」
「もう。ミシェルは過保護ね」
私はムスーっとした顔でミシェルに抗議の視線を送ります。
「ゴハァッ!? そのお顔……いい……尊いです……」
『ちょっと。あんたのメイド大丈夫なの? 何かやばいんじゃないの?』
「いえ、いつものことですよ。大丈夫です」
ミシェルが急に吐血することなんて日常茶飯事です。
いや、それが日常って改めて考えるとおかしい気がしてきました。
しかし、そう言う時のミシェルはいつもうれしそうなので問題ないと思います。
「ミシェルが心配してくれるのは分かっているわ。だから、ミシェルが私を守ってくれるのなら大丈夫。そうでしょう?」
「っ! もちろんです! この命に代えましてもお守りいたしますとも!!」
『我もいるぞ。主と契を交わした身、主を守るのは我の義務だ』
「ありがとう、カイ。信頼していますよ」
『ちょ、ちょっと! あたしもいるんだからねっ。そこんとこ忘れないでよねっ』
「わかってますよ、ティア。一緒に冒険しましょうね」
『ふんっ。わかってるならいいのよ……』
ふふふ。嬉しいですね。
こういうのをおとぎ話では仲間というのでしょうか。
私、結構憧れていたのですよ。あの窮屈な世界でどれだけ自由に生きることを渇望していたか。
ですから、私は今、とても幸せです――。
◇◇◇
*王太子視点
「――まだ神獣は帰ってこないのか!!」
かれこれ一週間は帰ってこないではないか。
神獣がこんなに長く聖域を離れるなど前代未聞だ。
「鋭意捜索中ではありますが、神獣様のお力すら感じることもできず、現在難航しております」
「グダグダと言葉を並べてないでさっさと見つけてこい! これ以上神獣が帰ってこなければ聖域の効果も薄れてしまうではないか」
神獣が居座る地には聖域と呼ばれる場所が生まれる。
その聖域に守護された地では繁栄が約束されると言われている。
そのためクィンサス王国は大国として認知されているが、その守護がなくなればどうなることか。
私の代でなぜこのような事が起こるのだ!
苛立っていたところでノックもなしに勢いよく扉が開かれた。
「た、大変です!」
「こんな時に何事だ。ノックもなしに無礼な」
「そのような事を言っている場合ではありません! せ、聖域……聖域がっ!」
「聖域がどうしたというのだ」
「聖域がなくなりました!!」
は?
聖域がなくなった?
意味が分からない。それとも脳が理解することを拒んでいるのだろうか。
言葉を失った私は、ただ茫然と立ち尽くしていた……。
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